LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

抗議文を提出しました!

2014年05月21日 | Weblog
☆5月16日に行われた兵庫県議会常任委員会の席上での井上英之県議会議員(自民党)の発言に対して、私たちつなぐ会は本日5月21日、抗議文を提出しました。

また兵庫県議会議長、及び県議会各会派に対しても、HIV/AIDS予防とともに、その根本にある社会の偏見・差別をなくすための教育と啓発に力を傾注していただくよう、要請文を提出しました。

終了後には、県の記者クラブで記者会見を行いましたのでご報告いたします。

下記は井上県議宛ての抗議文です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2014年5月21日

兵庫県議会議員
井上 英之 殿
抗議文

        
特定非営利活動法人LGBTの家族と友人をつなぐ会 
理事長  尾辻孝子
  


特定非営利活動法人「LGBTの家族と友人をつなぐ会」は、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなど多様な性を生きる人たちの総称;性的マイノリティとも呼ばれる)の家族や友人による会で、未だ社会に存在するLGBTへの偏見や差別をなくすために活動しています。
私たちは、子どもや友人からLGBTであることをカミングアウトされて(打ち明けられて)はじめて、人の数だけ性にも違いがある、ということを知り、一人ひとりの生き方を大切に、お互いが違いを認めてつながれる社会を作りたいと願って活動しているものです。

さて、私たちは5月17日付の神戸新聞NEXTで下記の貴殿の発言を知りました。
≪16日、県議会常任委員会の席上、「行政が率先してホモ(セクシュアル)の指導をする必要があるのか」(中略)「この人たちは、啓発しても、好きでやっている話だから放っておいてくれ、という世界だ」などと述べた。(中略)井上県議は神戸新聞社の取材に「がん検診の受診率向上といった重要課題がある中、ハイリスクを認識したうえで(性行為を)している少人数の啓発に税金を使うのはおかしい」と話した。≫
また同日の朝日新聞DIGITALでも下記の記事がありました。
≪井上県議は取材に対し、発言を認めた上で、「偏った性嗜好(しこう)で本来ハイリスクは承知でやっている人たちのこと。他にも重要課題がある中、行政が率先して対応する必要はない」と述べた。発言の撤回などは考えていないという。≫

私たちは、HIV/AIDS予防については、貴殿のおっしゃるような個人や特定の人たちの問題ではなく、公衆衛生の問題であり、社会全体で取り組んでいくべき問題であると考えます。また「ハイリスクを認識したうえで(性行為を)している少人数」「偏った性嗜好」などの言葉から、貴殿の考えこそが見識に欠ける「偏った考え」であると言わざるをえません。

厚生労働省告示「エイズ予防指針」(最新改定平成24年)には「国及び都道府県等は、個別施策層(感染の可能性が疫学的に懸念されながらも、感染に関する正しい知識の入手が困難であったり、偏見や差別が存在している社会的背景等から、適切な保健医療サービスを受けていないと考えられるために施策の実施において特別な配慮を必要とする人々をいう。以下同じ。)に対して、人権や社会的背景に最大限配慮したきめ細かく効果的な施策を追加的に実施することが重要である。個別施策層としては、現在の情報に鑑みれば、性に関する意思決定や行動選択に係る能力について形成過程にある青少年、言語的障壁や文化的障壁のある外国人、及び性的指向の側面で配慮の必要なMSM(男性間で性行為を行う者をいう。以下同じ。)が挙げられる。」とあります。貴殿の発言はこの指針にも反するものです。

また国(法務省)の主な人権啓発課題の一つに「性的指向」が取り上げられており、そこには「同性愛者、両性愛者の人々は少数派であるがため正常と思われず・・・(中略)このような性的指向を理由とする差別的取り扱いについては、現在では不当であるという認識が広がっていますが、いまだ偏見や差別があとを絶たないのが現状です」とあります。今回の貴殿の発言は、まさしく「性的指向を理由とする差別的取り扱い」であり、市民の代表として人権課題に取り組むべき県会議員の発言とは思えません。

貴殿の発言によって、当事者やその家族は深く傷つけられました。また貴殿のような立場の方の発言は、社会に対して誤ったメッセージを送ることになり、性的マイノリティへの差別、偏見をさらに助長することに繋がります。
当事者は、少数者であるというだけで偏見や差別にさらされる社会で育ち、働き、それでも必死に生きようとしています。家族にさえ理解されない人たちも未だに多く、理解した家族でさえも、見識のない人々の差別的発言や行動に、未だに苦しめられているのです。

「エイズ予防指針」には次のような内容もあります。「個人や社会全体において、知識や理解が深まることは、個人個人の行動に変化をもたらし、感染の予防及びまん延の防止に寄与することにもつながる。このため、厚生労働省は、文部科学省、法務省等の関連省庁や地方公共団体との連携を強化し、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律(平成 12年法律第 147 号)第七条に基づく人権教育・啓発に関する基本計画を踏まえた人権教育・啓発事業と連携し、患者等や個別施策層に対する偏見や差別の撤廃のための正しい知識の普及啓発を行うとともに、偏見や差別の撤廃に向けての具体的資料を作成することが重要である。」

まず貴殿がご自身の偏見を認め、発言を撤回し、当事者やその家族、また社会に対して謝罪をしていただきますよう、強く要望いたします。そしてHIV/AIDSの予防のためだけでなく、その根本にある社会の偏見・差別をなくすために、あらゆる教育・啓発に力を注いでいただくことを重ねて強く要望いたします。
                                       
以上


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする