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20231110 映画「風と共に去りぬ」感想など

2023-11-10 20:20:00 | 映画
本日急に寒く、高齢化で寒さに弱くなった私は更新の気力なく、
以前の下書きをもって更新とさせていただきます。

以下は20230924に書いた文章。


なぜか眠れず、
では何か映画でも観るか、と考え、
ネットで少し迷ってから
「風と共に去りぬ」を選んだ。

このあまりに有名な作品の
原作を読んだことがないことは明らかだが、
1939年制作の映画版を観た記憶もほとんどなった。

私が子供の頃はテレビくらいしかなかったから、
同じく古い長編映画「十戒」を5回くらい観ているのに、
この作品を観ていないわけがないのだが、
記憶にほとんどないのは、
子供心に面白くなく、しかも長く、
つまり何度も放映していたが、
しっかりと観なかったのではないか。
一方「十戒」は特撮もあり十分に面白かった。

さて深夜からほとんど朝までかかって、
4時間近いこの映画「風と共に去りぬ」を観たわけだが、
それで得た結論は、
この作品世界を描ききるには、
4時間でもぜんぜん足りなかったね、
であった。

原作者はマーガレット・ミッチェル。
舞台となるのはアメリカ南北戦争の時の
アトランタなど南部地方。

裕福な農場経営者の娘スカーレット・オハラの
恋と愛と絶望、そして希望などを、
当時のアメリカが南北二つに分かれて戦った
戦争を通して描かれている。

「Gone with the wind」
風とはもちろん戦争のことだろう。では、
風と共に去ったのは何か?というと、
私の今の感想では、
おそらく戦争以前の南部にあった
裕福で不安のない落ち着いた生活のことではないか。
戦争という激しい風が豊かな暮らしを吹き飛ばしてしまった。

その落差を象徴させるため映画では、
常に明るく前向きで強靭であったはずの夫レット・バトラーを
最後に失意と絶望によって去らせているが、
スカーレットはその直前まで
自分が夫を誰よりも愛していることを自覚していなかった。

それと同じようにスカーレットにとって、
生まれてから戦争が始まるまでは、
魚にとっての水であるかのように当たり前すぎて、
それを知覚さえしなかった「平和で裕福な生活」が
失われる日が来ることなども考えたことがなかった。
夫も豊かな生活も、
それこそがなにより一番大事なことであったのに。

もちろんこの作品は南部人側からの
一方的な考えに基づいた物語であり、
登場する奴隷たちの描き方もおそらく相当に甘い。

白人至上主義もKKKという存在も一切出てこないし、
当然、私刑「リンチ」も、
ビリー・ホリデイの歌うところの「奇妙な果実」も、
まったく登場しない。

しかしそういったバランスの悪さをいったん脇に置いて、
この映画(原作ではなく)は何を言いたかったか、と考えれば、
結局は「青い鳥」のことであり、
そして「だからどうした?希望を捨てるな。」
ということではないか。

そういった当時も今でも通用するテーマに帰結することは、
まったく悪いことではない。

もしくは、
我々日本人には理解できない部分があるのかもしれない。
それは例えば、荒廃した我が土地を前にして、
スカーレットの「たとえ何をしたって、ここで負けてはいられない。」
といったような激しい性格もそのひとつで、
それを理解できないわけでもないが、
やはりどちらかというと、
劇中で対比させられる義姉メラニーの
無垢で賢く控えめな性格に
日本人男子ならきっと傾くに違いない。

スカーレットは強い女なのだ。
目的のためなら平気で騙すし、敵なら殺すし、
復活のためには綺麗ごとは言っていられないという
明確な思想とリーダーシップがあるのだ。
上に書いたメラニーは聖母のような人だが、
メラニーでは一切の難を薙ぎ払って復活することは
できなかっただろう。
開拓者精神の南部アメリカ人はだから
強い女スカーレットに快哉の声を上げるのではないか。

ダイジェストではない大長編の原作小説は、
スカーレット・オハラの人生を軸に描きながら、
当時の南部の文化と生活史の記録という面が強いらしく、
じっくりと読み込めば、
今日現在にも通用するであろう、
南部的アメリカ人の考え方の理解を深められそうだが、
そうそう時間もないので、やめておきます。

私は今までずっと、
アメリカ合衆国について、なんとなくステレオタイプに、
南部は田舎で荒っぽく(テキサス、牛、カウボーイ)、
北部は都市部でリベラルかつ上品(ボストン、清教徒、商工業)、
というような大雑把な認識だったが、
この映画では、まったく逆で、
南部こそが欧州貴族文化を伝える上流で、
北部は獰猛な野蛮人のように描かれていたことに
少し驚いた。

しかし奴隷解放を旗印に戦ったのは北軍であり、
リンカーンというアメリカ史上もっとも偉大な大統領が
その先頭に立っていたことくらいは私たちも知っている。

だから、
綿花農場のために奴隷制を存続させたかった南部と、
奴隷を開放し、所得のある労働力に変え、
その購買力に期待をした北部を比べれば、
単純に北部のほうが「人間的」に思えるが、
世の中そんなに単純ではないことは
私もまあまあわかっている。

今これを書きながら、少し南北戦争などについて調べ、
資料を読んだが、深すぎてとてもとても答えなど出ない。
公開されて事実とされていることと、
陰謀論の間くらいが真実ではないだろうか。

迂闊に知ったかぶりを書くほどまでにはバカでもないので、
これくらいで終わるつもりだが、
しかし考え進めてみると、
この南北戦争の原因と影響はおそらく今日まで
終結することなく続いている気配は濃厚で、
先の大統領選の時に、アメリカ議会に突入した一群が
たしか南軍旗を掲げた記憶もあり、
そして今日の民主党政権下におけるアメリカ合衆国内の
基地外ぶりを見るにつけ、
マーガレット・ミッチェルの言いたかったことに、
そうかもしれないな、と頷く私が、いないでもない。

E V O L U C I O



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