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カート・コベイン

2018-05-22 19:06:53 | 映画
つづき。

映画を観てよくわかったが、彼は本当にただ「やりたいことをやりたいだけ」だった。
表現をしたいことがたくさんあって、それを金にならずとも外に出したかった。
金のかかることに興味はなさそうで、おそらく一番金を使ったのはドラッグにではないか。
すでに財産は一生困らないだけあるし、あとは幸せな家庭を作って、表現者として売れずとも好きなことだけをやり、齢を取ったらアコースティックで弾き語りでもしたかったのではないだろうか。

しかし業界というものはそれを許さない。

一度巨額を生み出すシステムが稼働すると、そのエンジンは休むことを許されない。

業界は違うが、バブル期に一世を風靡した画家のヒロ・ヤマガタも、「同じような絵ばかりを契約した画商に描かされていやでいやで仕方がなかった」と後に述懐していた記憶がある。

売れるものを売れる時に売れるだけ、が作る側でなく売る側の思惑であり、そのために作る側がどんなに疲弊しようが混迷に陥ろうが構わず、しかも眠らせず、考えさせず、叱咤激励というより、おだて、嘘、脅し、そしてクスリ漬けにして操ろうとまでし、最後には作り手の死さえも死者から手切れ金を奪うかのようにビジネスの種にし、全てが終わった後も、奴を育てたのはオレだと吹きまくる。これが言い過ぎなのか、それともまだやさしい方なのか、私には判断がつかないが、そうでないマネージメントは存在するにしても、上のようなそれもいくらでもあるに違いない。

そして、買う側に言及すると、悩んで死んだカート・コバーンには申し訳ないないが、買う側は作る側が考えているほど「本気」ではない。もちろん本気の人は少数いるのだが、大多数は作品の核心にまで思いを馳せようとはせず、その時々の勢いに乗りたいだけなのだ。もしくは「そこに属したい」とも言えるだろう。「それを理解する自分でありたい」という願いもあるかもしれない。だから彼は死ぬまでのこともなかったと思う。いや、死ぬまで思い詰める性格だからこそ彼なのかもしれない。ニルヴァーナの歌詞を何度もよく読み、その内容について何年も考え続けたことがあれば、もちろんあなたは本気の人である。

そういった力の入れ方、抜き方の加減が絶妙で好対照な例がローリングストーンズではないだろうか。

つづく。
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