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20200706 Ennio Morricone 「Lost Boy Calling」

2020-07-17 21:15:46 | youtube

https://www.youtube.com/watch?v=GW2_esU-axU&feature=emb_logo

20200706

イタリアの作曲家エンニオ・モリコーネ氏が亡くなった。
その作品数はあまりに膨大で、けっこう映画音楽好きの私でも百分の1も知らないだろう。
しかし私の中でのエンニオ・モリコーネ代表作を挙げさせてもらうなら、やはり「ワンスアポンナタイムインアメリカ」のあのパンフルートのメロディだろうか。いや「プラトーン」かな。とはいえ上の動画「ロスト・ボーイ・コーリング」は別の意味で私の中で一番である。

Lost Boy Callingは映画「1900」の主題曲で、主演はティム・ロス。豪華客船の中で生まれた子供がそのまま船内で育つうち、船に雇われた音楽家たちに教わったのだろう、やがてピアニストになり、天賦の才を発揮し、船の客たちが息を飲む中、超絶テクニックを披露した。しかし船はその長い役目を終えることとなり廃船となるが、それまで一度も船を降りたことがないティムは……、というようなある種のお伽噺であった。

あれはいつだったか、ミレニアムの頃ではなかったか、私は自宅のビデオでそのお伽噺を観ていたのだった。なんの前知識もなく観たのだが、全編に主題曲がアレンジを変えて随時挿入され、もちろん歌は入らず、ストリングスであったり、たしかトランペットであったり、美しく少し哀しい曲は観ている私の胸に優しく沁み込んでいくのだった。

話は変わるが、私はピンクフロイドが好きである。それもロジャー・ウォータース派ファイナル・カット至上主義という超少数派である。性格の悪いロジャー・ウォータースや、性格の良い他のメンバーのことをここに書けば時間がいくらあっても足りないから書かないが、とにかく私はロジャー・ウォータースの作品が好きであった。ロジャーが脱退した後のピンクフロイドはなぜかほとんど聴かない。もちろん残党デイブ・ギルモアたちの演奏が超一級品であることはよくわかっている。

話を元に戻そう。私はその日、映画「1900」を自宅で見終わった。エンドロールをボーッと観ていた。エンドロール中は歌のないオーケストラの主題曲がセンチメンタルに流れ、それが一転ホンキートンクのピアノに変わったりして楽しませるのだが、私は作品には満足したし、画面も真っ暗になったし、さてコーヒーでも飲むかなという気分であった。しかし物語の余韻を楽しみたかったのか、私はまだその黒い画面を見つめていた。見つめていたらそのうち音のなかった画面から「コーン、コーン」と何か潜水艦のソナーのような音が発された。

ああ、きっと映画の余韻を水のイメージがするこの音で締めくくろうとしているのだなと私は監督の演出を喜びはしたが、しかしとくに何も期待せずそのまま画面を見ていた。すると突然歌が始まったのだ。「Come, hold me now, I am not gone.」と声がした。

カムホーミナウの「ナ」で私はロジャーだと認識した。これがどれほど私に驚きを与えたかは他人にはわからないだろう。雷に撃たれたようだとはこの瞬間だった。石のように動けないとはこのことだった。それくらいに私はその頃、ロジャー・ウォータースばかりを聴いていたのだから。そしてロジャー・ウォータースはなかなか新しい作品をリリースしない人なので、まさか映画の最後にその新作を聴けるとは思いもよらなかった。しかもそれを聴かずにビデオを停止してしまった可能性は十分にあったのだ。福音とは思いがけずにやってくるものである。私はそれが現実であるかも定かでなくなり、微動だにせずロジャーの歌に聴き入った。

ロジャー・ウォータースらしいサウンドプロダクションで、約束であるように3声の女性コーラスが入り、ラスト近くではあのロジャー独特の高い声も絶妙な変拍子で入ってくる。エディ・ヴァン・ヘイレンの甘いトーンのギターソロもよかった。そして気難しいロジャーの書いた彼らしくない温もりのある歌詞は大変によかった。エンニオ・モリコーネとロジャー・ウォータースにどんな繋がりがありこの企画が生まれたか、これを書いている今でも知らないのだが、あれから20年経っても色褪せない私にとって大事な一曲である。


━━7月のモット・ストリートで
海鳥たちの声が聞こえる頃に
私は子供を抱きしめる
あの男の中にいる子供を
私たちが置き去りにしたあの子供を━━


奇しくもこの7月に亡くなったモリコーネ氏の冥福をここに祈りたい。

E V O L U C I O

※記憶で書いたので、間違いがあるかもしれません。歌詞の訳もテキトウです。

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