20200924
「黒埃虫の話」
夢の中で小さなカエルを見つけた。緑が鮮やかで目立ったのだ。じっと見ているとカエルは何かに纏わり付かれているようだった。何か。黒い埃の塊ような、いや塊というほどの密度ではなく薄煙くらいにぼんやりして大きさはタラコくらいの纏まりがカエルの足から覆い被さろうとしているのだった。
私はカエルの味方をして脇の棒を拾いその煙をカエルから払おうとした。よく見ると煙の正体は虫だった。この場合、蟲と書いたほうがイメージし易いか。5ミリほどの細く黒い糸のような、いや糸よりずっとずっと細い虫が数万匹?蠢いて密集しているのだ。それがまるで呪いの煙のようにカエルを襲っているのだった。
棒の先を揺らしながら煙に差し込んだ。すると虫は散って、まるで埃をはたいた時のように広がり私の呼吸にも進入してきた。私は途端に激しく咳をした。咳が止まらない。散った瞬間、咄嗟に顔を伏せたのだが虫が僅かにでも肺に入ったようだ。猛烈に咳が出る。しかしカエルは逃げた。よかった。私は咳をしながら虫を触った気色悪い棒を階下に捨てた。棒は下に置かれた誰かの自転車のハンドルに当たり跳ねてから落ちた。
それから目が覚めた。まだ咳が止まらない。夢の虫が入ったのだから当然か。ゲホゲホ。終り。E V O L U C I O