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サウンド・オブ・サイレンス(加筆・追記アリ)

2018-12-09 18:18:39 | youtube



サウンド・オブ・サイレンス(加筆・追記アリ)

youtubeでたまたま見つけたこの動画。どうせ自己満足いっぱいのカバーなんだろう、
と見ずに飛ばそうとしたが、まあ出会い頭の一発があるかもしれないと見たら、よかった。
実によかった。

まったく知らない歌手だが、エマ・ルイスというオーストラリア出身の人らしく、
まだ若いながらもキャリアは5年ほどあるという。

この声。甘くて投げやりな表現力。そして音感が特筆レベルに良い。
彼女が歌う他の曲(オリジナル?)も聴いたが、他はうーんという感じ。

この1966年のサイモンとガーファンクルの曲と彼女の声が化学変化を起こしたのかもしれない。
もちろん私の個人的な意見である。
これはやっぱり名曲だな、とつくづく思った。
そしてハモる男も上手い。ハスキーさん。知らないけど上手い。ギターも相当に上手い。

そして、バックを務める老練な3人男たち、この人たちが地味だがまた上手い。
おそらくカントリー系のスタジオミュージシャンなのか、
安定のリズムにヒラヒラしたテレキャスのシングルコイルの音が
歌の邪魔にならない、しかし、なくてはならない存在感で、私の好みである。
さらにベースも、よく聴くとかっこいい。

このたった5人でこの厚みだからね。

━━━━以下、追記。

それで、このエマ・ルイスを聴いた時に、誰かを思い浮かべたのだが、
それが誰だったか、なかなか思い出せず、しかしやっと思い出した。

エミリアーナ・トッリーニだ。

このエミリアーナさんの顔も私は知らないのだが、以前からけっこう好きで、
彼女の一番有名な曲はおそらく「ゴラムの歌」だろう。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」の挿入歌で、
最初はビョークが歌うはずだったが、何かの都合で、
当時、無名に近かったエミリアーナが歌うことになったという曲である。

まあそれは置いといて、
重ねて言うと、エマ・ルイスを聴いたらエミリアーナを思い出した。
それでYoutubeをあちこち見ていたら、知らなかったが、
実はエミリアーナも「サウンド・オブ・サイレンス」歌っていた。
彼女にしては、かなりクセを抑えて歌っているように感じる。



しかし、エマ・ルイスに直接に影響したのは、
以前にもここに貼ったことのあるNouelaという人が歌うバージョンだろうか。



相関に詳しくはないので、それらの影響についてまったく断定はできないわけだが、
ここで言いたいことは、誰が最初にそれをやったか、ではなく、
すでにオリジン、オリジナル、オリジナリティという意味が薄れつつある昨今、
「Sound Of Silenc」という50年以上前の名曲はスタンダード化していて、
いわばファッション業界におけるクロスやスカルと同じで、つまりモチーフになっていて、
後はそのモチーフをいかに新しい切り口で、もしくは深い部分に迫ることで、
元の魂を昇華させることが出来るか、が表現方法のひとつではないか。
と、あたりまえのことを何か凄いことのように書いてみたが、

いや、本当に言いたいことはそういったことでもなく、
エマ・ルイスとハスキーさんのデュエットでの「Sound Of Silenc」は、
そんな誰の影響とかオリジナルとかという我々の詮索に関係なく、
その到達したレベルは大変に高く、何事にも一切毀損されることはない。

ただし、それでも私が最初の方に書いたように、
あまりに「Sound Of Silence」のカバーが良すぎて、彼女の他の曲、
おそらくオリジナルだと思うが、それらが私には少し色あせて聴こえてしまう現象は、
どんな表現物、表現者にもあり得ることで、
カバーしたことを安易だったとは思わないし、ぜったいにそうは書かないが、
デュエットの良さが私たちの耳に残ってしまい、
彼女単独の歌声に何か物足りなさを感じてしまうことに今後ならないだろうか。

最初に二人のミックスした声で名曲を聴いてしまうと、今度は、
単独の声ではどうしても満足出来なくなりかねない。
もちろん、そこを超えてゆく圧倒的な何かがあればさらに世界を広げてゆけるわけだが。

今日、とくに言いたいのは、イメージという化け物の恐ろしさである。
価値は減っていない。しかし、減ったように感じる、ということ。
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