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夢の羅列<残像の庭園> 20170706

2017-07-08 20:35:55 | Dreams
夢の羅列<残像の庭園> 20170706


夢の中で、
最近よく訪ねることがある会社のビルに入ると、
顔見知りの女性スタッフがやってきて、
担当者を呼ぶのでここで少しお待ちください、と言った。

私は言葉通りに待っていたが、手持ち無沙汰もあり、あちこちを眺めていると、
この地下の受付フロントがずいぶんと奥に広いような気がして、興味が湧き、
受付が見える範囲で奥へと移動してみた。

きれいな受付から少し奥へ来てみると、なんだこれは、
廃墟になった体育館のようなホコリだらけの広い場所があり、
割れた窓から陽が斜めに入って、何十年もそのままに放って置かれたらしき
マットやら黒板やら跳び箱やらが永く眠っているかのように目についた。

きれいな受付はちょうどうまくこの廃墟を隠すようにパーテーションで区切られていて、
しかしずいぶんと広いな。私は待っていることも忘れて、さらに奥へと進んでしまった。

ドアがあり、開けると次の大きな部屋があり、なんと川が流れていた。

浅く思えたので、私は躊躇せず川に入り、さらに奥へ行こうとした。

川といっても人口的なもので、例えば地下の取水施設に迷い込んだような感じで、
もちろん水はきれいであり、周りはコンクリばかりで、他には何もなかった。

川に入ったまま歩いて進むと、今度は建物から出てしまい、
とうとう大きな庭園に辿り着いた。

なんだここは。

庭園は手入れが行き届いているとは言い難かったが、
荒れ果てているということでもなく、きれいなのだが、なぜか薄ら寂しい感じがあり、
なんとなく病院の庭のような印象を受けた。

広くて、緑が豊かで、小川があり、花があり、ベンチやオブジェや木陰があるのだが、
子供の姿が一切ない、という世界。

まあ実際は病院にも子供はいるのだろうが、なんだろう、ここは生気に欠けるというか、
死んだ人の残像の庭園といえば言い過ぎか、とにかく楽しい感じのない庭であった。

ここで私は気がついた。

それにしてもあのビルの中がなぜこんなに広いのだろう。

私はビル周辺をよく知っている。

ビルの隣にまたビルがありそして公園もあるが、ここではないし、川もないはずだ。

そして決定的なのは、私の訪れた受付は地下なのだ。

私は地下から上下には移動していないから、地下のまま外に出たわけだが、
地下がこんなに広いはずはないし、それに外に出たことの整合性がとれない。

しかも川を下ったわけで、するとやはり外に出るということは奇妙だった。
訪れた会社のビルはまったく高低差のない場所にあるのだし。

用事をすっかり忘れて考えながら歩いていると、目の前に高い鉄の柵が見えた。

柵は庭園全周を隔離している様子で、柵の際に立ち<外>を覗いてみると、
「あっ」
私がよく知っている町並みがそこにあった。

それは私が生まれ育ったあたりで、今現在住むところとそれほど遠くもないのだが、
もう何年も、いやもっともっと、子供の時以来そこには行った記憶がない場所で、
なんの変哲もない道が狭い住宅街の一角で、しかし私にはすぐにわかった。

あの場所にこんな庭園が隣接などしていないはずなのだが。

足元の伸びた草が私に踏まれて音をたてた。

子供の頃に遊んだ路地が、錆びた西洋風の装飾のある高い鉄柵のすぐ向こうに見えている。

おわり。
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