三多摩の鐘

The Bells of San Tama -関東のキリスト教会巡り-

聖母病院

2010年12月16日 | 東京のカトリック教会
聖母病院本館(社会福祉法人聖母会)
住所:東京都新宿区中落合2-5-1

西武新宿線の下落合駅を出ると、乳幼児を抱えた多くの女性が目に入る。一瞬、ここが「少子化問題に無為無策の国、ニッポン」であることを忘れてしまう(我が国の政府ときたら、政・官・財の権益は死守しても、無数の小さき人々には冷淡なのだ)。その女性たちの行き先が、聖母病院に向かっていることに気づく。 聖母坂通りを北へ進むと、2本の塔が聳える聖母病院本館が見えてきた。スイス生まれのマックス・ヒンデルが設計し、1931年竣工の歴史的建造物である。

建築家のヒンデル(Max Hinder:1887-1963年)は在日16年の間に、神田教会(千代田区)、松が峰教会(宇都宮市)、上智大学1号館(千代田区)、南山学園ライネルス館(名古屋市)など、日本のカトリック界に数々の傑作を残した。聖母病院本館もその一つである。 この歴史ある病院の初代院長は、カトリック司祭であり医師の戸塚文卿(ぶんけい)神父が就いた。当時のカトリック関係者には「聖公会の聖路加国際病院に負けない設備と陣容を」との思いもあったようだ。

現在、聖母病院は新棟を増築し、一般病床154床の総合病院に発展した。マリア様の御取次によって、安産を願う妊婦の来院も多いと聞く。病院内の大聖堂は新築されたばかりだが、プロテスタント風のシンプルな造りに当惑する。聖母坂通りの向こう側には、聖母大学(旧聖母女子短大)がある。看護学部のみの単科大学だが、2011年に上智学院との合併が予定され、上智大学の看護学科となるらしい。病院を出て駅へ引き返す。聖母坂を上ってくる何組もの母子とすれ違った。


聖母病院聖堂(現聖堂献堂:2010年)

◆主な参考文献など:
「戸塚神父伝 神に聴診器をあてた人」 小田部胤明著(中央出版社・1989年)
「聖母病院 ご利用のご案内」(社会福祉法人聖母会)
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