日本正教会 東京復活大聖堂教会
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)
(住所:東京都千代田区神田駿河台4-1-3)
11月3日(日)、正教会の東京復活大聖堂教会(通称ニコライ堂)で五旬祭後第19主日の聖体礼儀に参祷した。ところで、観光客が最も多く訪れる都内の教会といえば、おそらく「ニコライ堂」であろう。この日は「東京文化財保護ウィーク」で、ひっきりなしに人が来ていた。私も「参祷者」というよりは、「観光客」に過ぎないのかもしれないけれど・・・。午前10時、聖体礼儀の始まりを告げる鐘とともに、ダニイル府主教と司祭が厳かに入堂。ア・カペラの聖歌が流れ、乳香の煙が漂う。
福音経の誦読は、「金持ちとラザロ」の場面(ルカ16・19-31)。説教は中西裕一神父。「死後、正しい生き方をした人の霊魂は永遠の福楽に与りますが、罪人は永遠に苦しむ陰府(よみ)に落ちる。両者の境遇はかけ離れています。死後の痛悔は効果がないことを知った上で、日常生活における痛悔の機会を神の恵みと考えましょう。その痛悔の心について、聖イグナチイは『痛悔する者の心に生まれる謙遜の香りは悪魔を退ける』と言いました。神との和解を求める心が大切です」。
正教会の痛悔機密(「機密」とは「秘跡」のこと)は、カトリックの「ゆるしの秘跡(告解)」に相当する。これは「罪の告白を受けてその人を懲戒することが目的なのではなく、神の愛に満たされて、希望と勇気を抱き、生活や人生を善徳に向けて方向転換する(悔い改める)よう諭すことが、主眼となっています」(『オーソドックスとカトリック』より)。ニコライ堂では聖体礼儀が始まる前から、大聖堂の一角にあるセルギイ小聖堂で、痛悔を受ける多くの信徒が「聴罪司祭」の前に並んでいる(注)。
大聖堂入口
“ 痛悔者をして全く其の罪悪を吐露し・・・ ”
(注):「痛悔者を前に、司祭はまず聖像を指し示して、痛悔の際、見えずして主キリスト自らその人間の前に在ることを思い念じさせ、痛悔のいかに厳粛なものであるかを自覚させる。その後、司祭は神より授かった使命権をもって祈祷しつつ、この罪を赦す。痛悔の後、聖像の前にひざまずき、司祭はその頭上に『エピタラヒリ』(太いストラのような帯)を掛け、罪を解く祝文を誦える」(『ギリシア正教入門』より)。ちなみに、告解室のようなものはないので、外部から痛悔機密の執行がうかがえる。
◆主な参考文献など:
・「オーソドックスとカトリック」 及川信著(サンパウロ・2011年)
・「ギリシア正教入門」 高井寿雄著(教文館・1980年改版)