【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「武士道シックスティーン」:塩浜橋バス停付近の会話

2010-05-12 | ★業10系統(新橋~業平橋)

こんなところに自動車教習所があるのか。
若者の車離れが進んでいるっていうから、教習所もいまはたいへんでしょうね。
この際、16歳から免許が取れるようにしたらどうだろう。
ダメよ、16歳なんて、人生だってまだまだ仮免の時期なのに。
しかし、なかにはしっかりした16歳だっているぞ。
「武士道シックスティーン」の女の子たちみたいに?
ああ、高校の女子剣道部を舞台にした古厩智之監督の青春映画。
剣道部の女子なら運動神経もいいだろうから、問題ないかもしれないけどね。
ここでライバルになるのが、成海璃子と北乃きい。
ひとりでも主役を張れる若手女優のホープがダブル主演しているんだから、ある意味贅沢な映画よね。
成海璃子は、剣道は真剣勝負の武道なんだから勝たなくては意味がないと信じている、文字どおりの武士道シックスティーン。
ところが、中学時代、不覚にもいちどだけ負けた相手が北乃きい。彼女は、成海璃子とは違って、ただの遊びとして剣道をやってるだけで、勝ち負けなんてどうでもいいと思ってる。
成海璃子は、そんなふぬけに負けたのかと思うとくやしくて、くやしくて。
質実剛健、成海璃子。優柔不断、北乃きい。
このまったく対照的な二人が、物語の進行とともにお互いのことを理解していくっていうのが映画の本筋だ。
本筋というか、ほぼ全編そこに焦点を当てている。家族関係とかちらっと出てくるんだけど、いい薬味にはなっても物語の邪魔になるほどではないし、ありがちな男の子との恋愛関係なんてこれっぽちも出てこない。
グダグダした日本映画が多い中、こういう輪郭がくっきりした映画は好感が持てる。
対決場面とかラストシーンの切り上げ方とかも、決して感情過多になることなく、さっと幕を引いて、なんともすがすがしい。
そうそう、古厩監督って、感情に溺れるのがこっ恥ずかしいというか、照れちゃうというか、どうも苦手なようで、おそらく青春映画でも、「世界の中心で愛を叫ぶ」のようなあざとい映画は一生撮れないんじゃないかっていうところがあって、そこがまたごひいきにしたくなっちゃうところだ。
初期の「この窓は君のもの」とか「まぶだち」なんて彼ならではの繊細さにあふれた傑作だったもんね。
それが最近は、「奈緒子」みたいにちょっとユルい映画をつくるようになっちゃって心配していたんだけど、「武士道シックスティーン」はまだまだ健在ぶりを示しているようで安心した。
竹刀が揺れ動いたり、試合のときの足が揺れ動いたり、常に一定しないその不安定さが青春の不安定さにつながるようで、観ていて応援したくなっちゃうのよね。
自動車の運転が不安定じゃ困るけどな。
竹刀を握るのはいいけど、やっぱりハンドルを握るのは18歳になってからってことで。
原作には、「武士道セブンティーン」「武士道エイティーン」っていう後日談もあるらしいからな。
へえ。







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