
お、本屋だ。寄って行こう。

どうしたの、読み書きの大嫌いなあなたが、突然。

革命には、読み書きも必要なんだよ。

ああ、スティーヴン・ソダーバーグ監督の映画「チェ 28歳の革命」の中でチェ・ゲバラが部下に強調していたことばね。

わかってるなら、早く行こう。

でも、あなたと革命なんて、何の関係があるの?

いまのような世の中を変えるには革命しかないだろう。

それは飛躍のし過ぎよ。

そうさ、俺はチェのような生き方をして世界に飛躍するんだ。

いまから?

いまから・・・。

ムリよ。あなたみたいに、知力も、気力も、体力も、およそ力という字がつくものとは無縁な人間には。

うーん、冷静な指摘だ。俺と違って、チェには知力も気力も体力もすべて備わってたもんなあ。

そんなことないけど。喘息でぜいぜい言いながらジャングルを走り回っていたじゃない。

そんな彼をあそこまで革命に駆り立てた原動力は、何なのか。

南米の民衆よ。バイクで南米を旅するうちに民衆の置かれている状況を肌で知ったのよ。

まだ若き日のチェ・ゲバラのことか。「28歳の革命」の中ではその頃のチェは描かれていなかった。

ウォルター・サレス監督の「モーターサイクル・ダイアリーズ」っていう映画があるからね。あの映画では、若き医学生の頃のチェがいかにして世界の現実に目覚めるか、みずみずしい感覚で描かれていた。

うん。まず「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観て、それから今回のチェ2部作を観たほうが、一人のアルゼンチン生まれの男がどうしてああいう行動をとるようになっていったのか、理解できていいかもしれないな。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」を含めて初めて、チェ・人生の3部作っていう感じだもんね。

その中で、「28歳の革命」はカストロと出会ってからキューバ革命に成功するまでをじっくりと描いている。

世界を変えた英雄の栄光と挫折。その“栄光”の部分よね。

じゃあ、“挫折”の部分もあるのか。

おそらく、「チェ 39歳別れの手紙」はそうなるんじゃないの?

なるほど。栄光を極めた英雄っていうのは、ほとんど例外なく、挫折の底へ突き落とされるっていうのが歴史の必然だからな。

アラビアのロレンスなんてその典型よね。

栄光と挫折で一対だから、“挫折”の部分も観ないことには片落ちだな。「
レッド・クリフ」に続いて後編が観たくなる映画がまた現れた。

「28歳の革命」は、まだ“栄光”の部分だから、演じるベニチオ・ベル・トロはあくまで颯爽として、かっこいい。葉巻をくゆらすたたずまいなんて、本人より革命家らしい。

なんといっても信念がまったくぶれない。どこかの国の政治家とは大違いだ。

でも、ぶれなさすぎって感じもする。勝利に酔ってアメリカ車を走らせる部下をたしなめる顔には、ちょっと危険な匂いがしたわ。

あそこまで清廉潔白で、部下はついてくるのか、ってことだな。

まあ、「39歳別れの手紙」を観てみないことには、これからあの性格がどう影響していくか、わからないけどね。

わかっているのは「革命には愛が必要だ」ってことだ。

うーん、そのことば、ベニチオ・ベル・トロから聞くぶんには感動するけど、あなたの口から出ると全然説得力がないわね。

俺たちの間には、愛はないってことか?

当たらずといえど、遠からず・・・。

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