【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「銀河鉄道の夜」:新橋駅前バス停付近の会話

2006-12-29 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

新橋駅前の機関車もライトアップされるとまるで銀河鉄道みたいね。
秋原正俊監督の「銀河鉄道の夜」に登場したのは蒸気機関車じゃなく、電気機関車だったけどな。
秋原正俊って言ってもあまり知られていないんじゃないの?
この映画自体、ひっそりと公開されたしな。
主演は谷村美月。
映画館で映画が始まる前に流れる不正コピー防止のCMで黒い涙を流している女の子っていえば、映画館によく行く人にはわかるかな。
女の子がジョバンニの役、つまり男の子の役をやるんだけど、ちょっと無理があったかもね。
猫がジョバンニの役をやってもあまり違和感なかったのにな。
ああ、アニメの「銀河鉄道の夜」のことね。ますむらひろしの猫たちが登場人物になるやつ。あれはあれで幻想的でよかったわね。
今回の実写映画は、ジョバンニの役は高校生の女の子で、親友のカムパネルラの役が小学生の少年なんで、釣り合いが悪いんだよな。いっそ、カムパネルラも同年代の女の子がやったらよかったかもしれない。
そのほうが、ひとつの世界観ができあがって観るほうもかえって違和感なく観れたかもしれないわね。金子修介監督の「1999年の夏休み」なんて全員女の子が男の子をやっていたけど、不思議な効果が出ていておもしろく見られたもんね。
今回は残念なことに、どうしても男の子の役を女の子にやらせたいっていう思い入れのようなものが画面からは伝わってこなかったな。
だけど、話はいつ観てもいつ聞いてもいい話よね。
ああ。さそりが自らの身を焦がすエピソードとか、何度聞いたって泣けてくる。
そうそう、話がいいんで結局最後まで見ちゃったけど、ラストシーンももう少し余韻があってもよかったんじゃないかな。
全体にNHKのハイビジョンドラマみたいな印象だったな。
幻想的で静謐な感じがね。途中でCMをはさめない雰囲気はたしかにNHK的よね。
テレビ番組だったら秀作だったって気がするよな。
映画館ではあっという間に終わっちゃったし、これからもなかなか観れないだろうけど、DVDが出たらテレビで見るにはちょうどいい映画かもしれないわね。
宮沢賢治の世界に思いをはせるっていう意味でな。
新橋駅前の機関車を見て良き時代に思いをはせるようなものかしら。
うーん、そんなところかな。


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「鉄コン筋クリート」:新橋駅北口バス停付近の会話

2006-12-27 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

囲碁会館かあ。新橋のサラリーマンの社交場ね。
囲碁っていやあ、クロとシロだ。
クロとシロって、アニメの「鉄コン筋クリート」の主人公たちの名前じゃない。
「鉄コン筋クリート」のクロとシロは取った取られたの敵同士じゃなくて、深い絆で結ばれた味方同士だけどな。
クロとシロが住み慣れた町を再開発で変えて行こうとする悪者と戦う物語ね。
ひとことで言うとそうだけど、映像がやたら凝っていてびっくりしたよ。
彼らの住んでいる町の描写でしょ。アニメでここまでやるのかっていうくらい、陰影に富んだタッチでやたら緻密に描かれているのよね。
それがリアルっていうのともまた違って、実写でいうと「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいな頭の中にしかない懐かしい町を再現したような感じなんだよな。
私はむしろ「ブレードランナー」みたいな映像を思い出したけどね。異邦人が思い描く日本の町。監督もアメリカ人だし。
東京の浅草みたいな、大阪の新世界みたいな、あるいは東南アジアの猥雑な町のような、それらが渾然一体となった、なんとも不思議な世界だよな。
アニメってどこまで省略していくかを考えるものだと思っていたけど、この映画はどこまで緻密に描いていくかに挑戦しているような映画よね。
大友克洋の「AKIRA」にも似ているし、途中から「2001年宇宙の旅」みたいな展開になるし、画面を追いかけるだけで頭がクラクラしてくるよ。
そうそう。悪者と戦っているうちにいつか自分自身と戦っていくクロがいて、そして最後にそのクロを救うのは・・・っていうストーリーもちゃんとあるんだけど、なにしろ美術が強烈すぎて、ストーリーを蹴散らす迫力で見る者に迫ってくるからたまらないわよね。
結局、松本大洋の原作の世界がすばらしいってことなのかな。
うーん、私はコミックには興味がないからそのあたりはノー・コメントだけど、個人的な趣味で言わせてもらえば、もう少し息抜きというか、笑えるシーンなりホッとするシーンがあれば見やすかったような気がするんだけど。
まあ、万人受けする映画よりは、熱狂的なファンをターゲットにした映画なんだろうけど、俺はむしろ、ハリウッドならこれを実写でつくっちゃったんじゃないかと想像するね。
「マトリックス」みたいに?
ああ。ハリウッドのCG技術なら可能だろ?いくら金がかかるかしらないけど。
それも見てみたいわね。どこかのスタジオがリメイクしないかしらね、実写版で。
日本のアニメの技術とハリウッドのCGの技術とどっちのほうが出来がいいか、シロクロはっきりつけるっていうのはどうだい?
囲碁みたいにね。


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「リトル・ミス・サンシャイン」:西新橋一丁目バス停付近の会話

2006-12-26 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

バスだぜ、バス。
なに、感激してるの?いつも乗ってる都バスじゃない。
いや、このバスのことじゃなくて、黄色いフォルクスワーゲンのミニバス。
ああ、「リトル・ミス・サンシャイン」に出てきたバスのことね。
そうそう。9歳の娘が子どものミス・コンに出場するんで、家族みんなでミニバスに乗って海の近くのコンテスト会場まで行くんだけど、そのミニバスがおんぼろで、もう最高。
家族っていったってみんなバラバラなのよね。いい年をしてエッチなおじいちゃんとか、「世の中には勝者と敗者しかいない」とか言いながら自分は敗者になりかけているパパとか、自殺未遂したおじちゃんとか、口を利かないおにいちゃんとか。
そのバラバラな家族がおんぼろバスを一緒に押すことでひとつにまとまらざるを得なくなっていく、これ以上はない映画的シチュエーション。
ああ、あのバスはアクセルがいかれてて、みんなで押さないとエンジンがかからないのよね。走り出すときには必ず家族全員で押して一人ずつ飛び乗るっていうのは、たしかに見てておもしろいわよね。だけど、それって、そんなに映画的?
おんぼろバスをバラバラな家族がみんなで押していくうちにお互いのことを思いやり、理解していくって構図は、せりふのやりとりじゃなくて映像で彼らの状況を実感させて、これ以上ない演出じゃないか。ことばで説明するんじゃなくて、モーションするピクチャーで見せるから映画っていうんだからな。
しかも、あのバスが堂々と画面の真ん中で止まるんじゃなくて、申し訳なさそうに画面の隅で止まったりするのよね。
そうそう。その奥ゆかしさがいじらしいじゃあねえか。
まだ9歳の幼い娘を派手なミスコンに出すなんてどうなのよ、って疑問も頭をもたげるんだけど、実はそんな疑問も吹っ飛ぶどんでん返しがラストに用意されているし。
おじいさんがちょっとエッチだってことが伏線になってて最後で生きてくる。皮肉たっぷりでうまい展開だよな。
口を利かないおにいちゃんもまたひょうひょうといい味を出してるしね。途中で機嫌を損ねて9歳の妹が説得しに行くんだけど、その説得の仕方がまたいいのよね。
どう説得したかなんて言うなよ。これは観てのお楽しみなんだから。
たしかに言わないほうがいいわよね。
そうそう。自殺未遂のおじちゃんがこれまた007みたいに様になった走りを見せるし。もう、みんな最高だよ。
おかしな人ばっかり出てくるんだけど、そのアンサンブルがすばらしいから、見ていてイヤミにならないのよね。
ほのぼのとした語り口で、最後には、人生、勝者だけが偉いんじゃないって自然と納得させてくれる。とにかく、バスが出てくる映画って、やっぱり最高だな。
その映画の話を都バスの中でするっていうのもね。


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「王の男」:虎ノ門バス停付近の会話

2006-12-24 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

アジアセンターって、アジアのことなら何でも教えてくれるのかな。
たぶんね。
じゃあ、韓国のことも勉強できるのか?
たぶんね。でも、どうしたの、勉強嫌いのあなたがそんなこと言い出すなんて。雪でも降るんじゃない?
いや、「王の男」を観たら、韓国の歴史を知りたくなってな。
へえ、貧しい芸人が宮廷で芸を見せるうちに王様と重臣たちの確執にまきこまれていく16世紀韓国の歴史劇がそんなにおもしろかった?
ストーリーもおもしろいし、芸人と王様という対比もおもしろいし、狂信的な王様の性格もおもしろいし、芸人のイ・ジュンギの妖艶さもおもしろかった。
それで韓国の歴史に興味を持ったってわけね。
いや、これだけ非の打ちどころのない映画なのに、いまひとつ乗り切れなかったんだ。どうしてだろうと考えてみると、俺は韓国の歴史とか文化とかいっさい知らないんだよな。だからなんかひとごとのように見えて、心に響くものがなかったのかなと思ってな。
たしかに、この映画に出てくるヨンサングンていう王様は、韓国に実在した王様で歴史上でも有名な暴君だったらしいから、韓国の人たちはそのあたりの虚実も頭に思い浮かべながらこの映画を観ていたんでしょうね。
物語はわかりやすくて、そんな裏話知らなくても十分おもしろいんだけど、これが日本映画で日本の俳優で徳川家の話かなんかだったら、もっと身近に思えて、リアル・ジャパニーズの俺でも感動していたかもしれないと思ってな。
しかも、暴君のはずのヨンサングンがただ悪いだけじゃなくて、心に悩みを抱えた、悲劇の人物でもあったっていう描き方は、韓国の人でなければわからないおもしろさがあるのかもね。
スケールは違うけど、王という立場がいかにがんじがらめで人間性を奪い取っていくかっていうことでは、「ラスト・エンペラー」を思い出すよな。
あれも王宮の中の話だったもんね。
それにしても、俳優たちはがんばっていたな。
韓国お得意のイケメンたちというより、みんな立派な俳優よね。
切れ長の目が印象的なイ・ジュンギはもちろんイケメンなんだけど、日本でいえば大衆演劇の女形みたいな役をよくこなしていた。「王の男」なんていうタイトルだから、同性愛がからんだ映画かと思ったら、あからさまにそういうのを感じさせるところはなかったな。
けっこう品のいい映画なのよ。
正直、こういう力作をつくれる韓国映画の奥は深いよ。もっと韓国の勉強をしたくなったよ。
だから、勉強嫌いのあなたがそんな殊勝なことを言い出すなんて、信じられないって。雪でも降るんじゃない?
それもいいんじゃないか、きょうはクリスマス・イブなんだし。


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「ありがとう」:虎ノ門二丁目バス停付近の会話

2006-12-22 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

「日本消防会館」って日本中の消防士がいるのかな。
消防署じゃないから、ここにはいないと思うけど。
阪神・淡路大震災のときは、消防士も大活躍だったけどな。
消防士じゃないけど、被災者の救出に大活躍した町の写真屋さんで、その後、還暦を前にしてプロゴルファーのテストに合格したっていう凄い人がいるけどね。
その人の活躍を描いたのが「ありがとう」ってわけか。
あんな震災に遭ったのに、それを乗り越えて自分の夢に挑戦するなんて凄いわよね。
それまでは、プロゴルファーになるなんて考えてもいなかったのに、震災のせいで自分の夢に目覚めちゃったんだな。男として、わかるような気がするな。
そういうものなの?
例えが適切かどうかわからないけど、定年を前にしたサラリーマンが自分の昔の夢を思い出して第2の人生をそれに賭けるようなもんだ。ひとつのきっかけになったってわけだな。
そう言っちゃうと、感動的な物語が妙にちまちました話に見えるけど。
ちまちまというか、赤井英和が演じると、普通のオヤジに見えて、あまり偉人ぽくないんだよな。ま、そこがいいんだけど。
前半の震災シーンは迫力があって凄かったわよね。
そうか?
あれ、凄いと思わなかった?
人間関係もひとりひとりの個性も描かないまま、いきなり震災シーンが始まるから、誰が誰を助けても、あるいは助からない人が出てもあんまり感情移入できないんだよな。もう少し普段の生活を描いてから震災シーンが始まればその差が歴然として感情移入できたような気がするぜ。
そうね。そういう意味では、震災の後、いきなり、プロゴルフのテストを受けるっていうのも唐突で、普段からゴルフに接しているところを見せるとかもう少し伏線があってもよかったわよね。
きめ細やかな描写が足りないんだな。例えば、震災のあと、風呂はどうしたのかとか、食べ物はどんなだったのかとか。万田邦敏監督の映画っていままで見たことないんだけど、こういう人情話って得意だったのかな?
もしかして、山田洋次とかと比べてる?「武士の一分」でちゃんと武士の食事を描写したような。
比べてる。
比べるレベルが高すぎよ。ああいう名匠は日本に何人もいないんだから。
じゃあ、阪本順冶は?「どついたるねん」とか。
赤井英和の初主演映画ね。ああ、描き方によっては、あんな感じの映画に仕上がったかもしれないわね。もっとめりはりをつけて、個性のはっきりした人物にすればよかったのかしら。
ま、薬師丸ひろ子のキャディーが様になってたから、よしとしようか。
「セーラー服と機関銃」の頃とは隔世の感があるけどね。
それを言っちゃあ、奥さん役の田中好子だって、キャンディーズの頃とは隔世の感があるぜ。
そう、時間は止まらず、過ぎていくってことよね。
でも、震災のことは忘れちゃいけないな。映画の出来は別にしても、こういう形で災害から立ち直った人がいるっていうのは、やっぱり多くの人に勇気を与えるよ。
多くの消防士の献身的な活躍もね。


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