【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

2006年総集篇

2006-12-31 | ■2006年総集篇

2006年話した映画の一覧です。興味のある映画をクリックするとその映画の会話にとびます。

田87系統
渋谷駅前:「ハードキャンディ」
並木橋:「ヨコハマメリー」
渋谷車庫前:「蟻の兵隊」
東二丁目:「トランスアメリカ」
東三丁目:「ゲド戦記」
恵比寿駅前:「グエムル 漢江の怪物」
恵比寿一丁目:「日本沈没」
恵比寿四丁目:「ゆれる」
恵比寿二丁目:「紙屋悦子の青春」
恵比寿三丁目:「かもめ食堂」
北里研究所前:「ユナイテッド93」
三光坂下:「間宮兄弟」
白金高輪駅前:「明日の記憶」
魚籃坂下:「弓」
三田五丁目:「うつせみ」
慶応義塾大前:「出口のない海」
田町駅前:「マッチポイント」

都05系統
晴海埠頭:「太陽」
ほっとプラザはるみ入口:「フラガール」
ホテルマリナーズコート東京前:「ホテル・ルワンダ」
晴海三丁目:「薬指の標本」
勝どき駅前:「LOFT」
勝どき橋南詰:「夜のピクニック」
築地六丁目:「寝ずの番」
築地三丁目:「西瓜」
築地:「ワールド・トレード・センター」
銀座四丁目:「カポーティ」
有楽町駅前:「ストロベリーショートケイクス」
東京国際フォーラム前:「ブラックダリア」
東京駅丸の内南口:「地下鉄<メトロ>に乗って」

学01系統
東大構内:「初恋」
東大病院前:「キャッチボール屋」
竜岡門:「サンキュー・スモーキング」
上野広小路:「父親たちの星条旗」
御徒町:「百年恋歌」
上野駅前:「紀子の食卓」

渋88系統
渋谷駅前:「7月24日通りのクリスマス」
渋谷二丁目:「虹の女神」
青山学院前:「ウィンターソング」
南青山五丁目:「プラダを着た悪魔」
南青山六丁目:「麦の穂をゆらす風」
南青山七丁目:「暗いところで待ち合わせ」
西麻布:「めぐみ 引き裂かれた家族の30年」
六本木六丁目:「武士の一分」
六本木駅前:「007 カジノ・ロワイヤル」
六本木五丁目:「エコール」
麻布台:「硫黄島からの手紙」
東京タワー入口:「サラバンド」
神谷町駅前:「犬神家の一族」
虎ノ門三丁目:「エンロン」
虎ノ門二丁目:「ありがとう」
虎ノ門:「王の男」
西新橋一丁目:「リトル・ミス・サンシャイン」
新橋駅北口:「鉄コン筋クリート」
新橋駅前:「銀河鉄道の夜」

今年はここまで。よい年を。

ところで ブログランキング参加中。よろしければあたたかい一票を。







渋88系統のバス停との19本の映画たち

2006-12-30 | ■通ったバス停、観た映画(一覧)

渋谷から新橋まで行くなら地下鉄のほうが早くない?
暗闇が好きなのか?
映画ファンだからね。
でも、俺たちは都バスファンでもあるってことを忘れるなよ。
ということで、恒例のおさらいを。


渋谷駅前:「7月24日通りのクリスマス」
美人が不美人の役はできるけど。不美人が美人の役ってできない。

渋谷二丁目:「虹の女神」
上野樹里は今年最多出演賞かも。いやいや、蒼井優がいるわ。

青山学院前:「ウィンターソング」
ほんとはこういうのをラブストーリーっていうのだよな。妙に評価が低いけどね。

南青山五丁目:「プラダを着た悪魔」
アン・ハサウェイかわいすぎ。メリル・ストリープこわすぎ。

南青山六丁目:「麦の穂をゆらす風」
あたりまえだけど、戦争は悲惨。悲惨すぎる。

南青山七丁目:「暗いところで待ち合わせ」
明るいところじゃいやだってことか。すっぴんのときはね。

西麻布:「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」
これこそ多くの人に観てほしいね。世界中の人にね。

六本木六丁目:「武士の一分」
木村拓也見直したぜ。山田洋次がうまいのはわかってるけどね。

六本木駅前:「007 カジノ・ロワイヤル」
試運転中のジェームズ・ボンド。だから共感できる。

六本木五丁目:「エコール」
少女地獄。感じる映画。

麻布台:「硫黄島からの手紙」
今年の収穫は「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」に尽きるな。どちらも傑作なんて奇跡。

東京タワー入口:「サラバンド」
ベルイマン健在。でも、昔のベルイマンを知っている観客の多くはもう健在じゃないんじゃない?

神谷町駅前:「犬神家の一族」
何年前の映画だ?今年の映画よ。

虎ノ門三丁目:「エンロン」
ほんとに悪顔してるな、こいつら。下手な俳優はかなわないわよね。

虎ノ門二丁目:「ありがとう」
震災は悲惨だけど、こういう人もいるんだと思うと元気がわく。実際にあった話だからね。

虎ノ門:「王の男」
王の女みたいな男。王と王の男と王の男の男。不思議な三角関係よね。

西新橋一丁目:「リトル・ミス・サンシャイン」
バスだぜ、バス。バスがチャーミングでさあ。家族もみんなチャーミングでね。

新橋駅北口:「鉄コン筋クリート」
造形美。美しいっていうより、猥雑な造形美ね。

新橋駅前:「銀河鉄道の夜」
いつ聞いてもいい話だ。やっぱり宮沢賢治の原作はいい。


今年はこれで乗りおさめだな。
いい夢見させてもらったわ。
来年もきっといい夢見させてもらえるさ。
現実とどっちがいい?
うーん。それが問題だ。


ブログランキング参加中。よろしければあたたかい一票を。



「銀河鉄道の夜」:新橋駅前バス停付近の会話

2006-12-29 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

新橋駅前の機関車もライトアップされるとまるで銀河鉄道みたいね。
秋原正俊監督の「銀河鉄道の夜」に登場したのは蒸気機関車じゃなく、電気機関車だったけどな。
秋原正俊って言ってもあまり知られていないんじゃないの?
この映画自体、ひっそりと公開されたしな。
主演は谷村美月。
映画館で映画が始まる前に流れる不正コピー防止のCMで黒い涙を流している女の子っていえば、映画館によく行く人にはわかるかな。
女の子がジョバンニの役、つまり男の子の役をやるんだけど、ちょっと無理があったかもね。
猫がジョバンニの役をやってもあまり違和感なかったのにな。
ああ、アニメの「銀河鉄道の夜」のことね。ますむらひろしの猫たちが登場人物になるやつ。あれはあれで幻想的でよかったわね。
今回の実写映画は、ジョバンニの役は高校生の女の子で、親友のカムパネルラの役が小学生の少年なんで、釣り合いが悪いんだよな。いっそ、カムパネルラも同年代の女の子がやったらよかったかもしれない。
そのほうが、ひとつの世界観ができあがって観るほうもかえって違和感なく観れたかもしれないわね。金子修介監督の「1999年の夏休み」なんて全員女の子が男の子をやっていたけど、不思議な効果が出ていておもしろく見られたもんね。
今回は残念なことに、どうしても男の子の役を女の子にやらせたいっていう思い入れのようなものが画面からは伝わってこなかったな。
だけど、話はいつ観てもいつ聞いてもいい話よね。
ああ。さそりが自らの身を焦がすエピソードとか、何度聞いたって泣けてくる。
そうそう、話がいいんで結局最後まで見ちゃったけど、ラストシーンももう少し余韻があってもよかったんじゃないかな。
全体にNHKのハイビジョンドラマみたいな印象だったな。
幻想的で静謐な感じがね。途中でCMをはさめない雰囲気はたしかにNHK的よね。
テレビ番組だったら秀作だったって気がするよな。
映画館ではあっという間に終わっちゃったし、これからもなかなか観れないだろうけど、DVDが出たらテレビで見るにはちょうどいい映画かもしれないわね。
宮沢賢治の世界に思いをはせるっていう意味でな。
新橋駅前の機関車を見て良き時代に思いをはせるようなものかしら。
うーん、そんなところかな。


ブログランキング参加中。よろしければクリックを。


ふたりが乗ったのは、都バス<渋88系統>
渋谷駅前⇒渋谷二丁目⇒青山学院前⇒南青山五丁目⇒南青山六丁目⇒南青山七丁目⇒西麻布⇒六本木六丁目⇒六本木駅前⇒六本木五丁目⇒麻布台⇒東京タワー入口⇒神谷町駅前⇒虎ノ門三丁目⇒虎ノ門二丁目⇒虎ノ門⇒西新橋一丁目⇒新橋駅北口⇒新橋駅前



「鉄コン筋クリート」:新橋駅北口バス停付近の会話

2006-12-27 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

囲碁会館かあ。新橋のサラリーマンの社交場ね。
囲碁っていやあ、クロとシロだ。
クロとシロって、アニメの「鉄コン筋クリート」の主人公たちの名前じゃない。
「鉄コン筋クリート」のクロとシロは取った取られたの敵同士じゃなくて、深い絆で結ばれた味方同士だけどな。
クロとシロが住み慣れた町を再開発で変えて行こうとする悪者と戦う物語ね。
ひとことで言うとそうだけど、映像がやたら凝っていてびっくりしたよ。
彼らの住んでいる町の描写でしょ。アニメでここまでやるのかっていうくらい、陰影に富んだタッチでやたら緻密に描かれているのよね。
それがリアルっていうのともまた違って、実写でいうと「ALWAYS 三丁目の夕日」みたいな頭の中にしかない懐かしい町を再現したような感じなんだよな。
私はむしろ「ブレードランナー」みたいな映像を思い出したけどね。異邦人が思い描く日本の町。監督もアメリカ人だし。
東京の浅草みたいな、大阪の新世界みたいな、あるいは東南アジアの猥雑な町のような、それらが渾然一体となった、なんとも不思議な世界だよな。
アニメってどこまで省略していくかを考えるものだと思っていたけど、この映画はどこまで緻密に描いていくかに挑戦しているような映画よね。
大友克洋の「AKIRA」にも似ているし、途中から「2001年宇宙の旅」みたいな展開になるし、画面を追いかけるだけで頭がクラクラしてくるよ。
そうそう。悪者と戦っているうちにいつか自分自身と戦っていくクロがいて、そして最後にそのクロを救うのは・・・っていうストーリーもちゃんとあるんだけど、なにしろ美術が強烈すぎて、ストーリーを蹴散らす迫力で見る者に迫ってくるからたまらないわよね。
結局、松本大洋の原作の世界がすばらしいってことなのかな。
うーん、私はコミックには興味がないからそのあたりはノー・コメントだけど、個人的な趣味で言わせてもらえば、もう少し息抜きというか、笑えるシーンなりホッとするシーンがあれば見やすかったような気がするんだけど。
まあ、万人受けする映画よりは、熱狂的なファンをターゲットにした映画なんだろうけど、俺はむしろ、ハリウッドならこれを実写でつくっちゃったんじゃないかと想像するね。
「マトリックス」みたいに?
ああ。ハリウッドのCG技術なら可能だろ?いくら金がかかるかしらないけど。
それも見てみたいわね。どこかのスタジオがリメイクしないかしらね、実写版で。
日本のアニメの技術とハリウッドのCGの技術とどっちのほうが出来がいいか、シロクロはっきりつけるっていうのはどうだい?
囲碁みたいにね。


ブログランキング参加中。よろしければクリックを。


ふたりが乗ったのは、都バス<渋88系統>
渋谷駅前⇒渋谷二丁目⇒青山学院前⇒南青山五丁目⇒南青山六丁目⇒南青山七丁目⇒西麻布⇒六本木六丁目⇒六本木駅前⇒六本木五丁目⇒麻布台⇒東京タワー入口⇒神谷町駅前⇒虎ノ門三丁目⇒虎ノ門二丁目⇒虎ノ門⇒西新橋一丁目⇒新橋駅北口⇒新橋駅前



「リトル・ミス・サンシャイン」:西新橋一丁目バス停付近の会話

2006-12-26 | ★渋88系統(渋谷駅~新橋駅)

バスだぜ、バス。
なに、感激してるの?いつも乗ってる都バスじゃない。
いや、このバスのことじゃなくて、黄色いフォルクスワーゲンのミニバス。
ああ、「リトル・ミス・サンシャイン」に出てきたバスのことね。
そうそう。9歳の娘が子どものミス・コンに出場するんで、家族みんなでミニバスに乗って海の近くのコンテスト会場まで行くんだけど、そのミニバスがおんぼろで、もう最高。
家族っていったってみんなバラバラなのよね。いい年をしてエッチなおじいちゃんとか、「世の中には勝者と敗者しかいない」とか言いながら自分は敗者になりかけているパパとか、自殺未遂したおじちゃんとか、口を利かないおにいちゃんとか。
そのバラバラな家族がおんぼろバスを一緒に押すことでひとつにまとまらざるを得なくなっていく、これ以上はない映画的シチュエーション。
ああ、あのバスはアクセルがいかれてて、みんなで押さないとエンジンがかからないのよね。走り出すときには必ず家族全員で押して一人ずつ飛び乗るっていうのは、たしかに見てておもしろいわよね。だけど、それって、そんなに映画的?
おんぼろバスをバラバラな家族がみんなで押していくうちにお互いのことを思いやり、理解していくって構図は、せりふのやりとりじゃなくて映像で彼らの状況を実感させて、これ以上ない演出じゃないか。ことばで説明するんじゃなくて、モーションするピクチャーで見せるから映画っていうんだからな。
しかも、あのバスが堂々と画面の真ん中で止まるんじゃなくて、申し訳なさそうに画面の隅で止まったりするのよね。
そうそう。その奥ゆかしさがいじらしいじゃあねえか。
まだ9歳の幼い娘を派手なミスコンに出すなんてどうなのよ、って疑問も頭をもたげるんだけど、実はそんな疑問も吹っ飛ぶどんでん返しがラストに用意されているし。
おじいさんがちょっとエッチだってことが伏線になってて最後で生きてくる。皮肉たっぷりでうまい展開だよな。
口を利かないおにいちゃんもまたひょうひょうといい味を出してるしね。途中で機嫌を損ねて9歳の妹が説得しに行くんだけど、その説得の仕方がまたいいのよね。
どう説得したかなんて言うなよ。これは観てのお楽しみなんだから。
たしかに言わないほうがいいわよね。
そうそう。自殺未遂のおじちゃんがこれまた007みたいに様になった走りを見せるし。もう、みんな最高だよ。
おかしな人ばっかり出てくるんだけど、そのアンサンブルがすばらしいから、見ていてイヤミにならないのよね。
ほのぼのとした語り口で、最後には、人生、勝者だけが偉いんじゃないって自然と納得させてくれる。とにかく、バスが出てくる映画って、やっぱり最高だな。
その映画の話を都バスの中でするっていうのもね。


ブログランキング参加中。よろしければクリックを。


ふたりが乗ったのは、都バス<渋88系統>
渋谷駅前⇒渋谷二丁目⇒青山学院前⇒南青山五丁目⇒南青山六丁目⇒南青山七丁目⇒西麻布⇒六本木六丁目⇒六本木駅前⇒六本木五丁目⇒麻布台⇒東京タワー入口⇒神谷町駅前⇒虎ノ門三丁目⇒虎ノ門二丁目⇒虎ノ門⇒西新橋一丁目⇒新橋駅北口⇒新橋駅前