
表参道にあるプラダのお店って、さすが外観も個性的ね。

この中に悪魔が住んでいるんだな。

いや、「プラダを着た悪魔」って、そういう意味じゃなくてファッション誌のやり手編集長の話なんだけど。

わかってる、わかってる。メリル・ストリープという悪魔編集長にアン・ハサウェイという助手がいじめられる話なんだよな。

ファッション業界の話だけあって、華やかなファッションがふんだんに楽しめていい目の保養になったわ。

ああ、ファッションはたしかに華やかだった。アン・ハサウェイが最初はダサい服を着ているだけで非難されていたのに、着せ替え人形のようにいろんな衣装を身にまとうことで周囲からも認められていくっていう話だからな。つまり、人は見た目が九割、中身より見た目が大事だ、っていうブランド賞賛映画だ。

いや、彼女の入った世界がたまたまファッション業界だからそうだったんであって、バスガイド業界だったらバスガイドのユニフォームに身を包んだだろうし、自動車整備士業界だったら整備士の服装してただろうし、つまりわざとダサい服着て「自分は自分、チャラチャラした娘とは違うのよ」なんて甘いこと言ってないで、業界の最低のルールには従えって話なのよ。

自分を着飾るのはファション業界の最低のルールってことか。

あなた、自分の頭がボサボサの理容師を信用できる?汚いサンダル履きの靴屋を信用できる?そういう話なのよ。

つまり、ビジネスウーマンとしての心構えの問題だと。

そうそう。ビジネスで成功したいなら、自分の気に入らないこともしなきゃいけないし、上司の理不尽な要求にもこたえなきゃいけないし、先輩を蹴落とすこともしなくちゃいけないのは、当たり前なのよ。

おいおい、なんだか、お前がメリル・ストリープに見えてきたぞ。そこまでして成り上がりたくない人は、最後にアン・ハサウェイが選んだみたいな選択をするってわけだ。

でも、最後に彼女の取った選択だって、大きな視点でいえばビジネスの世界に残るってことだからね。また同じことを繰り返すだけよ。

あ、アン・ハサウェイを批判してる?

別に批判はしてないけど、社会で生きるってことはきれいごとじゃすまないってことは肝に銘じてほしいわね。

いろんなことを経験して、じゅうぶん肝に銘じたと思うよ、彼女だって。

あら、あなたは、なんかやけにアン・ハサウェイの肩を持つわね。

だって、かわいいんだもん。

これだから男はいやね。結局、見た目が九割だと思っているのは男のほうじゃない。だいたい、メリル・ストリープなんて女だから悪魔なんて言われるかもしれないけど、あれが男だったらどう?ちょっと辛らつかもしれないけど、デキるやつだからしょうがない、程度じゃないの?

なんか、いやに真面目な目つきになってるな。

単なるコメディかと思ったら、私みたいなキャリア・ウーマンには結構身につまされる映画だったってことよ。

誰がキャリア・ウーマン?

言い直すわ。キャリア・ウーマンになりたい女には結構身につまされる映画だったってことよ。

そういう意味では、案外隅に置けない映画だったかもな。

男にとっても結構身につまされる映画だったんじゃないの?

どうして?

アン・ハサウェイみたいなかわいい娘と仲良くなるには、発売前のハリー・ポッターを手に入れなきゃいけないんだから。

しかも、パリまで追いかけなきゃいけない。残念だけど俺にはムリだな。

私で我慢する?

お前もプラダじゃなくて、ユニクロで我慢する?


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