あのアメリカの旗をデザインした看板は何?
アメリカ屋。いろんなアメリカ製品を売ってる。
旗とかも売ってるのかしら。
硫黄島で最初に立てたほうの旗も売ってたりしてな。
まさか。
ほんと、「まさか」だよな。あの有名な硫黄島の星条旗の写真に写ってる旗が実は二本目の旗で、一本目の旗は誰かお偉いさんの記念にって持って帰ちゃったなんて。
で、その二本目の旗をたまたま立てただけの兵士が英雄に祭り上げられちゃうなんて。
本人たちはその欺瞞に一生悩み続ける。
監督がクリント・イーストウッドだから、ただの戦争映画にはならないだろうとは思っていたけれど、「父親たちの星条旗」って、期待を裏切らない出来よね。
あの有名な写真がどういう意味を持っていたのか、冷静に検証していて立派だよ。「男たちの大和」だって、大和がどういう意味を持っていたかもっと冷静に検証すればこれくらい立派な映画になっていただろうに、若い乗組員が海に散ってかわいそうだった、で終わってて、仲代達矢なんてただのおじさんにしか見えない。
「出口のない海」(9.18の記事)のときの会話でも出た話ね。ただ回想するだけのおじさんならいらない。
回想シーンがいまにつながっているかどうかということが大事なんだ。「父親たちの星条旗」はしっかり現在につながっていて立派だよ。
愛国心をどうとらえるかっていうのは、いままさにここにある問題だものね。
兵士のセリフに「茶番だ」っていうのがあるけど、ほんと、すべて茶番なんだよな。しかも、アメリカ的にショーアップすればするほどむなしくなってくる。アホらしくて見てられないんだけど、それが戦争ってもんなんだな。
野球場みたいなところで観客を満員にして兵士たちに旗を立てるところを再現させるなんて、背筋が凍ったわ。
硫黄島の山をかたどったケーキに赤いシロップをかける無神経さとかな。
イーストウッドって、けして誰かを大声で泣かせたり、これみよがしのクライマックスシーンをつくったりしないのに、かえって言いたいことが浮かび上がってくるのよね。
戦場の悲惨さも、銃後の悲惨さも、そして、その悲惨さは戦争が終わっても続くということまで描いて見事というしかない。
恋人の出し方も、ただの善良な女の子って感じじゃなくてまた、リアリティを感じるのよね。
結局、愛国心を煽って戦場に送って利用できるだけ利用したらポイと捨てる、っていう国のやり方はアメリカも日本も変わらないんだよな。いや、世界中が変わらない。
だから、兵士は戦友のために戦ったと思うしかないのよね。期待にたがわない、ううん、期待以上の名作だわ。
それにしても、あの一本目の旗はどこに行っちゃったんだろうな。
アメリカ屋で探してみる?
いや、それじゃあ愚かなお偉いさんと一緒になっちゃうからやめとこう。
そうね、国民一人ひとりが冷静にならなくちゃね。
ふたりが乗ったのは、都バス<学01系統>
東大構内⇒東大病院前竜岡門⇒上野広小路⇒御徒町⇒上野駅前
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