「きみに読む物語」の原作者ニコラス・スパークの小説を、ラッセ・ハルストレム監督が撮った映画。
どおりで、なんとなく「きみに読む物語」をほうふつとさせる後味があるわけだ。
若い二人が気持ちをぶつけあう、いまどき珍しく素直な恋愛ものっていうところがね。
監督がラッセ・ハルストレムだから、映画もいたって素直な仕上がり。
この監督の映画って、ほんとに素直に観れて、そのぶん、職人監督化して、初期の映画にあったような、心に引っかかる部分が、どんどん、どんどん希薄になってきたような気がする。
スルッと観れて、悪く言えば、毒にも薬にもならない映画。
でも、父親のエピソードとか、ちょっと心にひっかかった。
あの自閉症気味のおやじさんには、胸を突かれたな。
ひとごととは思えない?
あのねえ、いくら俺でもあそこまで年取ってないって。どうも最近誤解されていけない。
でも、もう若い二人のほうには心が動かない?
そーゆーことはない。若い二人にも十分好感を持ったさ。
そう、そう。「毒にも薬にもならないかもしれないけど、好感の持てる映画」というのが、この映画にはぴったりの感想かもしれないわね。
本題のほうは、戦争で引き裂かれた二人っていうところなんだけど、そういう悲壮感よりはなにか爽やかな感じのほうが先に立って、あまり悲劇の主人公っていう感じはしない。
二人のキャラクターがあくまで健康的だから、暗い陰影とかはつかないのよね。
紆余曲折はあるんだけど、なんとなく微笑ましい。
ラストが強引って感じもするけど、恋愛なんてそんなもんかもしれないしね。
カップルで観に行くとバツの悪い思いをする恋愛映画もあるけれど、これは安心して観れる。
だから、私を誘ったの?若いあなたとしては。
・・・なわけないだろ。