【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「バード★シット」:業平橋駅前バス停付近の会話

2010-07-10 | ★業10系統(新橋~業平橋)

おお、これが噂のスカイツリーか。
鳥のフンの処理とか大変でしょうね。
なんだよ、いきなり夢のない話だな。鳥のフン、すなわちバード・シットか。
そう、ロバート・アルトマン監督の「バード★シット」もなんだか夢のない話だった。
鳥の翼をつくって空を飛ぼうとする若者の話だっていうから、もう少し夢というか、ロマンのある映画かと思ったら、さすがアルトマン、皮肉たっぷりの映画に仕上がっていた。
そもそも、空を飛ぼうとするという想像が間違いだもんね。彼が飛ぼうとしたのは屋根付スタジアムの中。はなっから空なんか見えない。人間が飛ぶなんてこんなもんに過ぎないんだよ、って言ってるみたいにね。
その彼の前に個性豊かな女性たちが入れ替わり立ち替わり登場するんだけど、彼の飛行計画に係わっているのか、いないのか、観客は想像の翼を広げるしかない。
そう、そう。この映画は作り手も受け手も思いっきり想像の翼を広げる映画なのよ。
妙な形で発情する女とか、背中に翼の跡がある女とか、つけまつげのお化けみたいな女とか。
あら、あのつけまつげの女は久しぶりのシェリー・デュヴァルよ。あいかわらずチャーミングだったじゃない。
久しぶり、ってお前、この映画がつくられたのは40年も前だぜ。“久しぶり”じゃなくて、“懐かしい”って言ってくれよ。
あら、40年ぶりの再公開なんだから“久しぶり”でいいじゃない。
いまはなきロバート・アルトマン、若気の至りの一作だったな。
それって誉めてるの、けなしてるの?
両方。
なんだか煮え切らないわね。
空を飛ぼうとする男の話に、鳥類学者の講義とか、鳥のフンによる殺人事件とかからんでくるんだけど、これが大団円に向って収束していくわけじゃなくて、脱線しっぱなし。ひとことでいうとやりたい放題。円熟した監督では、こうはいかない。
たしかに遺作になった「今宵、フィッツジェラルド劇場で」なんて、脱線ばかりしているように見えて、実はまとまりがよかったもんね。
「バード★シット」は飛び立つシーンも実にあっけなく終わる。
やっぱり、鳥の翼じゃなくて、想像の翼を広げる映画なのよ、この映画は。
俺たちも、想像の翼を広げて考えてみようか。
何を?
スカイツリーについた鳥のフンの処理方法。
完成前にね。




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