【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「あの夏の子供たち」:本所吾妻橋バス停付近の会話

2010-07-07 | ★業10系統(新橋~業平橋)

床屋の店先でクルクル回るやつ、あれ、なんで赤、青、白なんだか知ってるか。
フランス国旗をまねたんじゃない?
残念でした。もともとイギリスが発祥で、昔、床屋は外科医も兼ねていて血液と包帯の色から赤と白になったんだけど、その後、床屋と外科医が分裂したので、区別のために青を加えたらしいぜ。
へえ。妙なこと、知ってるのね。
「あの夏の子供たち」の父親も、近くに外科医を兼ねた床屋があったら助かったかもしれないな。
独立系映画のプロデューサーである父親が仕事上の行き詰まりから拳銃自殺して、妻と子供たちが残されるという、ミア・ハンセン・ラブ監督のフランス映画ね。
資金繰りやら、スタッフとの調整やら、映画をつくるって、洋の東西を問わず大変なんだなって、身につまされる映画だった。
身につまされるって、あなたはただの観客で、映画なんてつくってないじゃない。
ただの観客だって、こういう映画を観れば、映画を一本完成させるっていうのは命がけなんだなあ、どんな映画であれ、これからは襟を正して観なくちゃいけないなあ、って初心に戻ると思うぜ。
“最低映画鑑賞会”の推薦映画でも?
お、久しぶりに聞くね、その会の名前。
なに、言ってるの。あなたは、最低の出来の映画を選定する最低映画鑑賞会の会長でしょ。
会員は俺一人しかいないけどな。それに、最近は最低映画観賞会が胸を張って推薦できるような趣味の悪い映画も少なくて開店休業状態だ。
たしかジャン=クロード・ブリソー監督の映画「はじらい」以来、推薦作は出てないんじゃない?
ああ、あれも映画人が主役のフランス映画だった。でも、ああいう箸にも棒にもかからない映画と比べちゃあ、「あの夏の子供たち」に失礼ってもんだ。
同じフランス映画でも、「あの夏の子供たち」は子供たちの自然な演技も目を見張るほどみずみずしく、柔らかな光に満ちた明るい映画だったもんね。
父親の死があっても、観終わってみれば、記憶に残るのは生き生きとした子供たちの姿ばかりで、映画全体は沈み込まず、かといって肩肘も張らずに、なかなかチャーミングな映画だった。
人生を謳歌するのが得意なフランスらしい映画よね。
どんな悲しいできごとがあっても、人生はクルクル回っていく・・・って、なんだかあの床屋のサインみたいだな。
あれはやっぱりフランスの色なんじゃない?





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2 コメント

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存在 (ぺろんぱ)
2010-07-20 20:52:32
こんばんは。

「柔らかい夏の陽射し」というのを、私も同様に感じた本作でした。

あのお父さん、“死してから存在を放つ”じゃないですが、本作では彼の死後に彼の存在がより一層際立っていた気がしました。

佳い作品に出会えたって感じがした本作です。
ぺろんぱさんへ (ジョー)
2010-08-08 09:48:45
“死してから存在を放つ”。まったくそのとおりでしたね。
ちょっと悲しい気もしますが、それでも生きていく家族っていう感じで、したたかな物語でもありました。

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