【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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「ハゲタカ」:新宿駅西口バス停付近の会話

2009-06-04 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

新宿駅のすぐ近くにも、こんな横丁がまだあるのか。
世間の繁栄から取り残されたような、その名もわびしい、思い出横丁・・・。まるで、あなたみたい存在ね。
どうせ、おいらは世間のつまはじきモンよ・・・って、お前も痛いとこ、つくねえ。
でも、こういうご時世、証券バブルに踊らされるよりましかもね。
テレビドラマの「ハゲタカ」みたいな時代はもう終わったのさ。これからは、つつましく生きる。これに限るね。
そのドラマがテレビで放送されていたのが2007年。満を持して映画化されたのがドラマ版と同じ大友啓史監督の「ハゲタカ」。
満を持しすぎ。
そう?
たった2年で金融の世界もガラッと変わっちゃって、その影響をもろに受けたような映画になってしまった。
あわてて脚本を書き直したようだけど、やっぱり世の中の動きのほうがちょっと早かったかなあ。
苦心の跡はしのばれるんだけど、世の中の動きのほうが早い。
日本の自動車会社を中国の国際ファンドが乗っ取ろうとする話。目のつけどころは悪くなかったんだけど、GMのニュースとか聞いちゃうとねえ。
タイムリーな題材は陳腐化するのも早いってことか。
タイムリーではあるけれど、超タイムリーではなかった。
映画では、日本の自動車会社を守るべく、大森南朋がドラマ版以上の活躍をするんだけど、彼が熱演すればするほど薄ら寒い思いが募ってくる。
もはや、どんな手をつかったところで、金融の世界で勝者はいないことを私たちは感じてしまっている。
しょせん、マネーゲームの世界の話じゃないか、と頭の片隅で気が萎える。
テレビドラマでは、そのマネーゲームに踊らされる一般庶民が出てきて、共感を誘ったんだけど、映画はスケールアップしたぶん、私たちの思いを反映できるような一般庶民が出てこない。
派遣切りに遭う青年も出てくるんだけど、あわてて脚本に付け足したのか、扱いがどうも中途半端に終わっている。
中国のファンドっていうのは、不気味で結構リアリティあるんだけどな。
実際、GMのハマー・ブランドを中国が買うって噂もあるしな。でも、敵役の玉山鉄二があんな形で消えてしまっては、先が続かない。
彼も赤いハゲタカとして熱演してたんだけどねえ。
冒頭、大森南朋の暮らしている場所が、絵に描いたようなリゾートなのも笑っちゃうし。
製作者たちは、貧乏暇なしで、高級リゾートになんか行った経験がないんじゃないの?
俺たちも、ないけどな。
だからいっそう、そう感じる。
ワインをくゆらせりゃあいいってもんじゃない。
せめて007とか観てリゾートのリアリティとは何か、勉強しておかないとね。
ラストがまた冗長。
緊張感をはらんだドラマが決着したあとで、テーマに通じる余韻を残そうとしたんだろうけど。
弛緩した映像で、とってつけたようなオマケになっちゃった。
いっそ、ファーストシーンと同じカットを出して終われば締まったのにね。
あるいは、中国の大地にひざまづいて慟哭するとかね。
自分のやってることの虚しさに嗚咽をあげるってこと?
ああ。大森南朋には、もっと心の空洞を表現してほしかった。かつて、「仁義なき戦い・頂上作戦」の中で菅原文太が小林旭に「俺たち、間尺に合わん仕事したのう」と抗争の虚しさを吐露する名シーンがあったんだけど、あれくらい、主人公の空虚感が表現されていれば、ラストにも味が出てきたかもしれないけど。
そうすれば“いま”の映画になったかしら?
そういう可能性もあったのに、思わせぶりたっぷりな映像を流してもねえ。いつも口がすっぱくなるほど言ってるんだけど、どんな映画でも、話が終わっているのに余韻を残そうとスケベ心を出して尺を伸ばしても、ものほしげで品がなくなるだけ。スパッと切れ味良く終わってこそ、小股の切れ上がったいい映画に仕上がるっていうもんだ。
へんな表現。でも、いまどき貴重な社会派映画の力作なことはたしかよ。純粋にテレビドラマの続きとして観れば十分おもしろいし、10年後くらいにこんな金に狂った映画もあったなあと、思い出すのもいいかもしれない。
思い出横丁あたりでな。
あ、やっぱりリゾートじゃないんだ。





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「スター・トレック」:新宿駅東口バス停付近の会話

2009-05-30 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

スタジオ・アルタって、「笑っていいとも」を収録しているスタジオでしょ。
ああ、だから、毎日、たくさんのスターが出入りしている。
このあたりなんて、スターの通り道になっているんでしょうね。
スターの通り道・・・スター・トレックだな。
でも、映画の「スター・トレック」には、有名スターはほとんど出ていなかったわね。
ああ、スターありきの映画じゃなくて、映画の内容にふさわしい俳優を選んだ点は賞賛に値する。
映画をつくる正しいあり方よね。
そして、タイトルがなんといっても素晴らしい。
えっ、「スター・トレック」って、昔のテレビシリーズから続くタイトルそのままだけど。
そこが素晴らしいんだ。最近は「レッドクリフpartⅡ-未来への最終決戦-」とか必要もないのにサブタイトルをつけたがる映画が多いのに、この映画のタイトルは「スター・トレック」のみ。サブタイトルいっさいなし。なんとも潔いじゃないか。
たしかに「スター・トレック-新たな旅立ち-」とか「スター・トレック-若き日の挑戦-」とか、サブタイトルがついてもよさそうなもんなのに、何もついていない。それだけ、決定版だっていう自信があるってことかしら。
だから、ついつい、観に行ったのが間違いだった。
あら、急に否定的言い草。
スター・トレックのチームができあがるまでの物語だから、スター・トレックファンが観れば興味が尽きないとは思うけど、俺はスター・トレックファンでも何でもないからなあ。
私もスター・トレックファンでも何でもないけど、結構おもしろかったわよ。
そりゃ、ファースト・シーンからいきなりクライマックスの連続であきることはないと思うけど。
なーんか、奥歯にものがはさまったような言い方ね。不満でもあるの?
導入から、父が戦いに倒れ、同時に息子が生まれるドラマチックな展開。いやがおうにも、優秀な父を失った子がどのように成長し、どのように父を乗り越えていくのかって期待しちゃうじゃないか。
実際、そういう物語だったじゃない。
でも目のつけどころは、「スター・ウォーズ」同様でとってもいいのに、残念なことに、その背負った運命の描き方が微妙に中途半端で乗れなかったっていうことだ。
そんなこと、ないでしょ。この手のSF映画の中ではドラマ部分もよく出来ているほうだと思うわよ。
「スター・ウォーズ」の父と子の対決、あるいは、父が次第に悪に染まっていく展開に比べてみろよ。「スター・トレック」にはそんな身をよじるような葛藤はないし、どうしたら偉大な父を越えられるか悩むところもない。
なんか、求めていることが違ってない?基本は宇宙冒険活劇なんだから、あんまりそっちに力をかけちゃあ、本末転倒の映画ができあがっちゃうじゃない。もっと手に汗握るシーンとか、エンタープライズの勇姿とかに目を向けたら?
でも、「スター・ウォーズ」は本末転倒していなかったぜ。
そういうふうに、何でも「スター・ウォーズ」と比べたがるのは、えせSFファンの悪いクセよ。そもそも「スター・トレック」は「スター・ウォーズ」なんかよりはるか昔からあるんだからね。
そりゃそうだ。「笑っていいとも」よりはるかに昔からあるんだもんな。
そういう伝説の「スター・トレック」が復活したのはいいことよ。これからの動向に注目していきましょうよ。
そんなことより俺は「笑っていいとも」で復活した草 剛の今後に注目していきたいね。
彼がミスター・スポックを演じるとか?
話を混同するな!・・・でも、笑えていいかも。
笑っていいとも!





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「チョコレート・ファイター」:新宿追分バス停付近の会話

2009-05-27 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

紀伊国屋書店って、ここだけじゃなくてタイにもあるんだぜ。
そうなの?
バンコクの伊勢丹の中に入っているらしい。
タイと日本って、案外密接なつながりがあるのね。
そりゃそうだ。「チョコレート・ファイター」なんて、タイ映画なのに、日本映画なんだか、タイの映画なんだかよくわからないくらいだ。
舞台はタイなのに、いきなり阿部寛の日本語のナレーションで始まっちゃうんだもんね。
一瞬、日本語吹き替え版を観に来ちゃったのかと勘違いしちゃったぜ。
阿部寛扮する日本ヤクザとタイ・マフィアの女性の間にできた女の子が悪役相手に暴れ回るアクション・ムービー。
主演の女の子を演じるジージャーのアクションがハンパじゃない。
タイの新人女優らしいけど、ハエも殺さぬかわいい顔して、日本でいえばかつての志穂美悦子も真っ青の大活躍。
志穂美悦子?日本では彼女以来、本格的なアクション女優は育っていないってわけか・・・。嘆かわしい。
それにつけてもジージャーの動きの切れのよさ。惚れ惚れするわ。
志穂美悦子ほど大柄じゃないから、その落差がまたいい。
なんでも、タイではジージャーをこの映画のために基礎訓練からデビューまで4年の歳月をかけて大切に育てたっていうからね。
東南アジアの映画って、粗製濫造のイメージがあったけど、日本なんかよりよっぽど丁寧につくっているってことだな。
その年月をかけただけのことはあって、飛んだり跳ねたりのアクション・シーンは、見せ場に次ぐ見せ場。
「キル・ビル」みたいな奇妙にだだっ広い日本間での大立ち回り。
ファイトー、ひゃっぱーーつ!
下駄履きアパートみたいなところでの落ちたり上ったりの大アクロバット。
アクションの1000本ノーーーック!
な、なんだ。いい年して、お前までテンション上げちゃって。
だって、か細い女の子が大の男をバッタバッタやっるけるなんて、理屈抜きに痛快じゃない。
それをみんな、CGじゃなくて、生身の人間がやっているって言うんだから、目玉が飛び出る。
ジージャーだけじゃなく、ビルのひさしにガツンガツン背中を打ちつけながら地面に落ちなきゃいけない悪役たちも、もはや命がけよね。
実際、おまけのメイキングでは痛々しい姿のオンパレード。
飲み屋街の看板は日本語ばっかりで、もうタイだか日本だかよくわかんないけど、そんなことはどうでもよくなっちゃう。
そう、そう。アクションが始まるまでのドラマは少々まどろっこしいけど、始まってからはもうノン・ストップムービーの面目躍如。
こんなところでグダグダ話しているより、その目で体験して!としか言いようがないわね。
これこそ、スクリーンでしか楽しみようがない映画。
映画の原点。
紀伊国屋の前でナンだけど、どんな書物が束になってもかなわない世界だ。
難しい本を読むのが苦手なあなたには、ぴったりの映画よね。
あ、それって、バカにしてる?
してない、してない。偉大なるバカは、偉大なる天才に通じるってね。
いいこと言うねえ。この映画そのものだ。



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「重力ピエロ」:新宿三丁目バス停付近の会話

2009-05-23 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

ティファニーって、新宿三越に入っているのか・・・。
仙台にもあるわよね。
たしか、仙台でも三越の中にあったはずだ。
仙台にあって、壁に落書きはされていないの?
そんな、仙台中が落書きされているようなこと、言うなよ。
ごめん、ごめん。さっき、「重力ピエロ」を観ちゃったもんだから。
伊坂幸太郎の小説を「Laundry」の森淳一監督が映画化した作品か。
仙台のあちこちで落書きと放火があり、その謎を若い兄弟が解き明かしていくというミステリー映画。
ちょ、ちょっと待て。たしかにミステリー仕立てのストーリーではあるけれど、謎を解くのが主眼じゃなくて、謎を追ううちに浮かび上がってくるひとつの家族の在り方がテーマの映画だからな。誤解するなよ。
そんなこと、観ていればわかるわよ。最強の家族の物語でしょ。
そう。最強の家族の物語。って言ったって、ウルトラマン一家の話じゃないぞ。
だから、わかってるって。伊坂幸太郎がそんな小説を書くわけないじゃない。
そして、森淳一がそんな映画をつくるわけがない。
重力ピエロのエピソードをはじめ、物語に散りばめられた、琴線に触れるエピソードの積み重ねが、家族の絆、家族の姿とは何かを知らず知らずに教えてくれる。
いつもどおり、伊坂幸太郎の原作は、ギミックを利かせながらも、共感を覚える人物造型とウイットを利かせた会話に富んで、人が生きていくことに対する、いとおしいほどの思いが浮かび上がってくる。
そのエッセンスを丁寧に映像化して、後味のさわやかな家族映画ができあがった。
「Laundry」に通じる、森淳一監督独特のほわっとした空気感が原作と相性が良かったのかもしれないな。
中心にあるのは血のつながりとは何かという、結構ドロドロしたテーマなんだけど、出演者たちがまた、みな、軽やかに演じていて、みごとに好感の持てる映画に仕上がった。
血のつながる絶対悪との対決っていうギリシャ悲劇のようなディープで重たいシーンもあるのに、ふわっと明るい感覚で見終わることができるのは、原作者、監督を中心とするスタッフ、出演者のアンサンブルがいいからとしか言いようがない。
重たいものを軽々しく、ではなく、軽やかに表現して違和感がない。
そうそう。それはこの物語が言いたいことそのものだ。軽々しく生きるな、軽やかに生きろ!
最強の家族を演じるのは、父が小日向文世、母が鈴木京香、兄が加瀬亮、弟が岡田将生。
なかでも、「最強の家族だ」と笑顔で言い続けなければならない小日向文世の胸の内を想像すると、こちらまで息苦しくなってくる。
カツラ姿までがいとおしい。
そして、岡田将生。父、母、兄を演じる俳優陣がそれぞれいい仕事をしているのはあたりまえとして、弟を演じる岡田将生がこんなにいいとは思わなかった。
大胆さと繊細さを兼ね備えていて、いちばん輝いていたころの窪塚洋介をほうふつとさせる。彼が登場するだけで、画面にさわやかな風が吹いてくるから不思議ね。
「春が二階から落ちてきた」という、原作の有名な書き出しに呼応するようにスローモーションで登場する印象的な場面から、映画の空気感を一発で決めてしまった。
私のようなおばさんとしては、無節操にテレビドラマに出てつぶれてしまわないことを願うのみだな。
俺のようなおじさんとしては、お前みたいな無節操なおばさんファンがキャーキャー騒いで、逸材をつぶしてしまわないことを祈るのみだな。
大丈夫。この胸に輝くティファニーのアクセサリーのように大事にするわよ。
ちょ、ちょっと待て。買ってやるとは言ってないぞ、そのティファニー。



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「ブッシュ」:新宿二丁目バス停付近の会話

2009-05-20 | ★品97系統(品川駅~新宿駅)

ここ、新宿御苑の周辺って、意外と藪が多いんだよな。
藪?英語で言うと、ブッシュ?
英語で言うと、ブッシュ。ブッシュ大統領のブッシュ。
大統領の仕事って、結構、藪の中が多いから、ブッシュが大統領になったとき、ぴったりの名前ね、って思った記憶があるけど。
けど、映画になった「ブッシュ」を観ると、彼のしていることといえば、藪の中どころか、竹筒の中。
竹筒の中?
竹筒の中のように空洞。からっぽにしか見えない。
なるほど。
仕事は長続きしないし、女にはだらしないし、ホワイトハウスの会議でも「俺が大統領だ」って威張るばかりで賢明な判断をまるでしない。
40過ぎまでは誇れるようなことを何一つしてこなかったという意味では、「ミルク」のハーヴィー・ミルクと同じなんだけどねえ。
その先が違う。
片や、志半ばにおいて英雄になっちゃったのに、片や、大統領まで登りつめながら英雄になり損ねちゃった。
つらいのは、こういう映画を観ても、さもありなんと納得してしまうことだ。
こんないい加減なはずないでしょう、一国の大統領なんだから、実際はもうちょっとしゃきっとしているでしょう、って思えないのよね。
こんな人間に戦争を始められたんじゃ、相手国もたまんないよな。
大量破壊兵器がないようだってわかってから、「探す責任者は誰だったんだ?」なんてあわてられてもねえ。
こんなことを言っては失礼だけど、そもそもブッシュって、顔つきからしてどうも賢そうじゃないんだ。映画のブッシュは、身もふたもなく、それをそのままなぞっている。
だから、ブッシュを演じるジョシュ・ブローリンも軽薄そうなところが本人にそっくりといえば、そっくりなんだけど、知られざるブッシュの実像に迫ったっていうところがなくて、新たな発見に乏しい映画になってる。
というより、ブッシュそのものが魅力的な人物じゃないから、映画も弾けようがなかったんじゃないのか。
フロスト×ニクソン」なんて観ると、昔の人物でもある意味、十分迫力があるんだけどね。
ニクソンは悪いヤツではあるけれど、アホではなかったってことだな。だから、ちゃんとした映画になる。
そういう言い方、いらぬ誤解を生むわよ。
誤解ならいいけど、ブッシュの場合、結局、二世だから大統領になれたとしか、見えない。
それじゃあ、日本と一緒じゃない。
こら、それこそ、いらぬ誤解を生むぞ。
そんな人の映画をつくって何の意味があるのかしらね。
もう辞めちゃったし、ちょっと旬を過ぎた感じは否めないけど、教訓は残る。
なに?
人には器ってものがあるってことだ。
映画の中でもパパ・ブッシュが言ってた。アメリカでいえば大統領になる器、日本でいえば総理大臣になる器ってことね。
いや、映画になる器ってことだ。ニクソンは映画になる器だった。ブッシュは映画になるには軽薄すぎた。
ひるがえって、日本の総理大臣で映画になる器といえば・・・。
それこそ、藪の中だ。



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