宵闇の大学っていうのも妙に不気味な感じね。
誰かに襲われそうになったら、叫びをあげるんだぞ。
黒沢清の映画「叫」に出てくる女性みたいに?
ああ、それにしても黒沢清は健在だったな。
あなたが観るから、仕方なく観たけど、たしかにつまらなさは健在ね。
そうなんだよ。つまらないってわかってるのに、新作の映画ができると観たくなってしまうのが、黒沢清映画の不思議なところなんだ。
何見たっけ?
「CURE」「ニンゲン合格」「大いなる幻影」「カリスマ」「回路」「アカルイミライ」「ドッペルゲンガー」「LOFT」・・・。
思い出してもつまらない映画ばかりね。
ところが新作というとつい観たくなる。映画の中にこっそりと催眠術の素でも仕込まれてるのかな。
催眠術の素?
次の新作が観たくなる、催眠術。
それこそ、ホラー。
ホラーといえば、この映画の葉月里緒奈は最高のホラー顔してたな。あれは見ものだった。
ときどき見せる凍るような目つきがね。
生身の人間の役よりこういう役のほうがぴったりだったりして。
それって、ほめことば?
もちろん。
だけど、ときどきギャグかましたりしてた。
典型的な「お化けだぞー」スタイルになったり変な格好で空を飛んだりして、おちゃめ。
「LOFT」のときも思ったんだけど、笑わせるシーンとは思えないところで妙に笑えるシーンがあるのはわざとなの?
あれが黒沢清映画の特徴なのかもな。高尚にいえば異化効果。ふつうにいえば、いいかげん。
じゃあ、他には?
取調べ室とか医務室とか、明らかにリアルとは縁遠いチープなつくりなのに、妙にアートしてて映画の世界になじんでいる。あの造型力も黒沢清映画ならではの特徴だ。
そういう不可解なところが尾を引いてついつい次の映画も観ちゃうのかしら。
でも、今回の映画は黒沢清映画にしては、わかりやすくなかったか?
たしかにいつもの映画より理屈でちゃんと説明しようという努力はしてたわよね。
そのわりに最後のほうはいつもどおり、わけわからなくなってたけどな。
小西真奈美の存在なんて明らかに、娯楽映画してみました、っていう魂胆が見え見えだったわね。
詳しくは言えないけど、どんでん返し用の存在だよな。ラストシーンは、ま、かわいいいたづらということで。
それもまた、次の映画を観たくなる要因のひとつなのかしら。
何しても許されるみたいで、得だよなあ、黒沢清って。
そこは黒沢明と似てるわね。
いいや、二人は全然関係ないと思うよ。
あ、そう。
さ、暗くなる前に早く帰ろう。
暗くなったら、叫びをあげながら帰ろう。
アーアアー。
そりゃ、ターザンよ。
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