【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

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途中下車します。

2010-08-23 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)
 突然ですが、途中下車することになりました。いままで戯言におつきあいいただき、ありがとうございました。またいつか、お会いできる日まで、サヨナラ、サヨナラ
お前は淀川長治か。

FIN.
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「キャタピラー」:戸山町バス停付近の会話

2010-08-18 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

ポツポツとこの窓にくっついている豆粒みたいなのは、何だろうな。
豆電球じゃない?クリスマスとかの時期にはきっときれいに光るんでしょうね。
そんな華美な飾り付け、戦時中だったら非国民ものだ。
でも、いまは戦時中じゃないからね。
そういう、戦争を他人事みたいに醒めた目で見る人間にこそ観てほしいね、若松孝二監督の新作「キャタピラー」は。
これはもう、醒めた目じゃ観れないもんね。
戦争に行った夫が両手も両足もなくし、芋虫みたいな異様な塊になって帰ってくる物語。
有無を言わせぬその姿。しかも、頭にケロイド、ことばも話せない。そんな彼を周囲は「軍神」とあがめたてまつる。
こんな姿になるまで戦い抜いて、軍人の鑑だってわけだ。
実際、戦地でやってたことといえば、現地の女性の凌辱なのにね。
でも、国にすれば戦意を高揚させる、いいプロパガンダになる。ここまで勇敢に戦った男がいるんだから、君たちも頑張れと。勲章まであげちゃって。
でも、彼の介抱をする妻にしてみれば、たまらない。
極端にいえば、帰ってきたのは、一個の肉の塊にすぎないんだからな。
映画は、そんな二人の日々の暮らしをしつこいほど延々と見せつける。
それが戦争なんだから、目をそらすなってことだよ。
両手、両足をなくした軍人の話っていえば、どうしたって「ジョニーは戦場へ行った」を思い出してしまうけれど、あれは二十代の若者が主人公で、彼を戦場に送り出す恋人も初々しく、残酷な中にも何かみずみずしい部分があった。それに対して「キャタピラー」は夫婦の話ということもあるかもしれないけど、とにかく息苦しくて、切羽詰まった描写が続く。
妻を演じるのは、寺島しのぶ。いまや稀な映画女優だ。
愛の流刑地」とか「男たちの大和」とかの腑抜けた演技とは、まったく違って、迫真の姿を晒す。監督や題材によってこうも変わるのかっていう典型よね。
複雑な思いを抱える戦時中の女性を、表情を自在に変え、全身で生々しく演じている。
やがて、夫に仕えるだけの女から、夫を支配する女へ、微妙に言動が変わっていく。
戦争の話が夫婦の話にすり変わりそうになるんだけど、ときおりはさまれる天皇の写真や戦況を報じるニュースがそれを許さない。
個人と時代はつながっているんだという、その信念。図式になっても意にも介さない。
若松孝二監督の映画っていつもそうだけど、今回も怒りや叫びが直截に伝わってくる映画になった。
いい映画だった、なんて単純に感想を言うのを許さないようなね。
逃げ場がない。
私なんて、誰はばかることなくクリスマスに電飾を点けられるような時代って、それだけで幸せなのかもしれないって思ったりするけどね。



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「ぼくのエリ 200歳の少女」:国際医療センター前バス停付近の会話

2010-08-14 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

国際医療センターも新しい建物になったみたいね。設備も最新なんでしょうね。
じゃあ、万一ヴァンパイアに襲われたら、ここに駆け込めば助かるかな。
「ぼくのエリ 200歳の少女」みたいに?
そう、そう。永遠に年をとらないヴァンパイアの少女と、孤独な少年の交流を描いたトーマス・アルフレッドソン監督のスウェーデン映画。
スウェーデン映画っていうのがミソで、あくまでひんやりした感触は、ハリウッドあたりのにぎやかな映画とは明らかに一線を画す。
血の色までがなにやらひんやりとしているもんな。
人がボッと燃え上がる衝撃のシーンもあるんだけど、それも一瞬の描写で切り上げている。このストイックな姿勢。
主役を演じる少年、少女がまた、いかにも孤独を抱えている風情。
この二人が接近するのは必然としか思えない。
残酷なシーンも結構あるんだけど、心に残るのはやはり、孤独な魂のふれあいだ。
人間の少年のほうは学校でいじめに遭い、両親は離婚し、一方のヴァンパイアの少女のほうは、人間の血を吸わなければ生きていけないという悲しみを背負っている。二人は、たまたま人間とヴァンパイアの違いがあるだけで、心は通じ合うものを持っている。
けれど、二人の住む世界が違うことを思い知らされる出来事はいつか起きる。
君とぼくの血の契りだと言って少年が切った手から流れた血の匂いを前に、野生に帰った少女は、思わずずるずるとすすってしまう。
少女の意外な行動に愕然とする少年。
結局、異世界に住む二人は別れざるを得ないのかどうかは、自分の目で確かめてほしわね。
この映画、つまり、ラブ・ロマンスなの?と思うかもしれないけど、最初にも言ったようにスウェーデン映画。北欧の寒々とした風景の中で淡々と進行する物語を観ていると、なにかもっと奥深いものを感じてしまう。
スウェーデン映画といえば、イングマール・ベルイマンの世界だもんね。
そこまで巨匠と並べるのはオーバーだけど、どことなくつながるものがあるような気がするよな。
でも、いいわよね。スウェーデンならきっと200歳まで生きても、年金の心配しないでいいだろうし、国際医療センターみたいな立派な施設で医療を受けても、たぶん医療費の心配もいらないだろうし。
あ、結局最後の感想はそういうところに来る?
来る、来る。



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「トイ・ストーリー3」:戸山二丁目バス停付近の会話

2010-08-11 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

なんだ、あの煙は。おもちゃを焼いているんじゃないだろうな。
あれは、銭湯。ごみ焼却場じゃないわよ。
よかった。おもちゃが焼かれるところなんて、想像したくもないからな。
ところが、「トイ・ストーリー3」は、その焼却場のシーンがクライマックスになっている。
「トイ・ストーリー」シリーズでおなじみのおもちゃたちが、あわや燃え上がる炎の中に吸い込まれる。
真っ赤な炎を受けて舞い上がる幾千、幾万のゴミが、アニメとは思えない緻密さで描かれていて、それだけでもう十分に驚き。たかがゴミの山に感動するとは思わなかったわ。
それ以上に、もう助からないと覚悟したときにおもちゃたちがとった行動。あれには、心底、やられた。これぞ、名画、名シーンだ。
一瞬、アニメであることを忘れてしまうほどよね。
忘れてしまうと言えば、この映画、3Dで観たんだけど、あまりのおもしろさに途中からメガネをかけていることを忘れちゃったよ。
ほんと。3Dで観る必要がないほど、ストーリーがひきつけるのよね。
小さいころから一緒に遊んでいた男の子が大きくなって、もうおもちゃで遊ぶような年ごろではなくなってしまう。
大学へ行くために家を出ることになって、さて、取り残されたおもちゃたちの運命は・・・なんて、それだけで身につまされる。
小さいころは宝物だと思っていたおもちゃを何個無神経に捨ててきたか、と自分自身を振り返るとなんとも複雑な気分になる。
この映画には新しいキャラクターとしてクマのぬいぐるみが出てくるんだけど、持ち主に見捨てられた過去があって、いまや悪魔と化している。
いわゆる悪役だ。それも、かなり陰湿な悪役。
ピクサー映画のキャラクターって、だいたいキャラクターグッズになってディズニーのお店に並んだりするんだけど、このクマも並ぶのかしらね。
見た目はかわいいんだけど、とにかく性格がよくない。これからどういう扱いをされていくのか、興味深いな。
「トイ・ストーリー4」では正義の味方に変わってたりしてね。
「ターミネーター」シリーズのシュワちゃんみたいにか。
そう、そう。
とにかく、性格が悪いからって煙突の煙になってしまうような運命だけは避けてほしいよな。
経緯はどうあれ、かつては子どもの宝だったんだからね。



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「アイスバーグ!」:都営戸山ハイツ前バス停付近の会話

2010-08-07 | ★橋63系統(小滝橋車庫前~新橋駅)

毎日、うだるような暑さね。
こういうときは、木蔭に避難するに限る。
都会の真ん中にも、ところどころに、こういう林があるもんね。
ブリュッセルにはないのかな?
ブリュッセル?
「アイスバーグ!」の夫婦が住む町。暑さのあまり、妻は氷山をめざしてしまう映画。
違う、違う。あやまって働いているお店の冷凍庫に閉じ込められたのがきっかけで、氷の世界が好きになってしまい、氷山をめざすっていう映画よ。
ヘンな話だな。
ヘンな映画なの。
って、けなしてる?
誉めてる。
ねじくれた誉め方だな。
だって、監督がドミニク・アベル&フィオナ・ゴードンのパントマイム・コンビ。「ルンバ!」に続いて、また一本、ねじくれた映画をつくった。
つくったのは「アイスバーグ!」が先だ。俺たちが観たのも「アイスバーグ!」が先。
二本立てだったから、どっちがどっちだか、こんがらがってきちゃったのよ。
このコンビの映画を二本続けて体験すると、頭も体もフニャフニャになっちゃうからな。
映画としての完成度は「ルンバ!」のほうが上だと思うけど、アベル&ゴードンの個性はこの映画からすでにはっきり出ている。
肉体の使い方はもちろんだけど、俺はこの柄映画、彼らの服装とか、彼らが働く店や暮らす家とかが印象的だった。
シンプルよね。
シンプルのひとことに尽きる。
服装から建物まで、赤と薄茶で統一されていて、すっきり鮮やか。
それでいて、安っぽい感じは全然しない。
働いているファーストフード店のサインまでおしゃれだったしね。
色使いとか形状とか、この映画に登場するものって、なにやら北欧の家具を眺めているような印象がある。
なんか、日本映画で言えば、北欧でロケした「かもめ食堂」みたいな空気感もある。
それが氷山をめざしてからは、海洋冒険コメディに変わってしまう。
最後には、あろうことかイヌイットまで登場。
暑い夏にふさわしい映画だったな。
うーん、そういう印象の映画ではまったくなかったけどね。暑さにヤラれた頭で観ると、ますますヤラれちゃうかもよ。
涼むなら、やっぱり木蔭のほうがいいか。
涼むならね。



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