桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2011・3・31

2011年04月01日 | Weblog
だんだんだんだんお客さんが戻ってきている様な気がする。今日もTテレビのOさん、AN嬢、近所のTさんなど常連が地震以後初めて来店してくれたし、某国営放送局のIさんやN証券のFちゃんは地震以前と変わらないペースで飲みにきてくれている。みんなウチの店のことを心配してくれているんだと思うと嬉しい気持ちで一杯になるが、そんな中俺はひとりの常連客のことが地震以後ずっと気になっている。それはT電力のNさんだ。Nさんが最後にきたのは奇しくも3月10日、地震の前日だった。その夜、Nさんはその半日後に訪れる運命を想像することもなく、同じT大学出身のFちゃんのことや、子供の頃大ファンだったという岡まゆみさんのこと、そして「かっこうワルツ」は何日を予約しようか、毎日来て岡さんと飲んだりするのもいいねなんてことを、楽しそうに語りながら飲んでいたのだ。でも、そんな記憶が今は虚しい。多分「かっこうワルツ」は見に来て貰えないだろうし、T電力の社員だと知られているウチの店にしばらくは顔を出しては貰えないだろう。いや、ウチの店だけじゃなく、焼鳥屋に入っても隣り合わせた見知らぬ客が自分の会社の悪口を言い出しするだろうから居たたまれない思いにになることだろう。だからと言って自分の家からでないでいても、テレビや新聞は原発の話題で溢れかえっているし、隣近所の人々の視線も痛い。お子さんも友達からどんなことを言われているかわからない。辛いと思う。原発自体の問題はある。T電力の体質も問題もある。それなのにその中に進んで入って行って、恩恵を受けていたNさんを非難しようと思えば非難できる。被災者のことを考えたらT大出のT電力社員のNさんに同情するなんて許せないなんていう奴がいそうな気がする。でも、映画が好きで、芝居が好きで、お酒が程よく好きで、家族思いで、部下思いで、友達思いのNさんがそんな目にあっていると思うと、自分のことのように辛くなるのだ。Nさん、会いたいよ。会っても何も話すことはないかもしれないけど、カウンターに並んで坐って黙ってグラスを傾けていたい。今Nさんに俺がに出来ることはそれだけ。連絡をくれ。★COREDOは計画停電中も通常通り営業します。どうぞよろしく★COREDO PRESENTS 桃井章作演出作品・岡まゆみ一人芝居『かっこうワルツ~紅 風子、風速四十米の愛と冒険~』日時・5/6(金)19時半、5/7(土)19時半、5/8(日)14時[三日共開場は一時間前)料金・3000円 定員50名になり次第〆切ます。予約お問い合わせはコレドシアター(03ー3470ー2252 17時以降)まで。