元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

60歳超で働く方で厚生年金加入年数が40年未満は、報酬比例・定額部分ともに増加。

2014-09-21 03:16:16 | 社会保険労務士<後見人>
 65歳からの経過的加算という定額部分=基礎年金相当が増えます!!

 最近では、大学を卒業後、社会に出ていく方とか、いろんな事情で20歳を超えてから社会に入っていく方が増えてきました。というか大半がそういう部類に入っているのではないかと思う次第です。そこで、20歳を超えてから社会に入る方は、その社会に出た時点から、例えば大学を出てから社会に出ると、22歳は過ぎているわけですから、60歳まで働くとすると、38年間しか働けないわけです。ところが、基礎年金=国民年金の支給額の計算は、20歳から60歳までの40年間働いた場合に、満額をもらえることになっていますから、その働いた分に比例しての計算額しか、もらえません。満額の額を切りのいい額で78万円とすると、78万円×38年/40年≒74万円となるわけです。年単位で計算しましたが、実際は月単位で加入するわけですから、もっと細かく年で計算するのではなく、月単位での計算となり、38年は、月単位で456月、40年は、480月になり、78万円×456月/480月≒74万となるわけです。

 最近では、60歳を定年で辞めても、再就職とか、再雇用とかで60歳以上の雇用の方が増えてきました。そこで、この雇用の分は基礎年金=国民年金では見てもらえないのでしょうか。残念ながら、基礎年金の計算上は、20歳から60歳までの間しか計算できませんので、見ることはできません。
 しかし、経過的加算というからくりがあります。最初から段階的に説明します。

 特別支給の厚生年金は、現在(今書いているときは、H26年です。)において、60歳になる方は定額+報酬比例分の2つをもらえるのではなく、それ以前は60歳からこの定額+報酬比例部分をもらえたわけですが、今は61歳からの報酬比例部分しかもらえなくなっています。だんだんこの年齢も62、63歳と上がっていき、最終的には65歳しか報酬比例分はもらえなくなります。そして、65歳から、よく言う一階部分が国民年金=基礎年金という定額部分、2階部分が厚生年金という報酬比例部分という形となっていくわけです。

 65歳を境に、一階部分の特別支給の定額部分が基礎年金(=国民年金)に、2階部分の特別支給の報酬比例部分が厚生年金の定額部分に変わっていくわけです。この2階部分は65歳になっても計算上は、変わりなく額にも変わりありません。定額部分の計算については、65まで支給してきた特別支給と基礎年金(=国民年金)に若干の違いがあり、65まで支給してきた特別支給のほうが多くなっているのです。その差を65になってからの経過的加算の支給で埋めているわけです。

 では計算式を紹介しましょう。経過的加算は、
 1676円×厚生年金の被保険者の月数×スライド率0.961-772,800円×昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の国民年金の月数/480月 *注意1* となります。

 前の計算部分が特別支給の定額の厚生年金、後ろが基礎年金の定額部分の計算となります。前と後ろの計算のこの差が、経過的加算になります。

 後ろの基礎年金の定額部分の説明ですが、772,800円は26年度の基礎年金の満額を示しています。最初に示したところですが、実際に「基礎年金に加入した月数」に応じた額になるように、満額の額に、「基礎年金加入月数」を「満額がもらえる40年加入の480月」で割った比率を乗じて基礎年金の額を算出しています。そして、あくまでも、20歳から60歳までの期間に限ります。「昭和36年4月以降」というのは、国民年金=基礎年金が発足したときですから、それ以降しか計算しないよということです。

 前の特別支給の定額の厚生年金部分ですが、1676円は、H12年の基礎年金の満額を40年間加入したものとして月単位にした数字です。H12年の基礎年金804,200円÷480月(40年)=1675.416・・・≒1676円となります。なんでH12というかというと、現在の計算では、12年度を基礎におり、そのためにスライド率0.961を掛け、H26年度の基礎年金の満額相当の額にしています。すなわち、804,200円×0.961≒772,800円(H26 の基礎年満額相当)となるわけです。最後の乗じるスライド率はそういう意味です。ともかく1676円は特別支給の厚生年金の定額の月単価というわけです。

 ここまできてやっと本題にいれます。経過的加算というのは、再雇用や再就職で60歳を超えて働く人のためでもあります。国民年金の計算には、20歳から60歳までの計算になりますので、この期間は計算されませんが、前者の厚生年金の計算においては、厚生年金の被保険者の月数となっていて、この計算式には、60歳を超えて働いた期間も含まれます。したがって、60超の働いた定額部分の増額は、ここで計算されて経過的加算として支給されるというわけです。ただし、国民年金の計算式の調整上、この月数には制限があり、40年=480月をその上限としています。なんぼ働いたとしても、40年以上は、国民年金=基礎年金の調整上、40年=480か月以上は見ないということなのでしょう。

 ということは、経過的加算として、60超の働きによって増えるのは、厚生年金の加入期間が40年未満の人に限られてきます。厚生年金の加入期間が40年を超えると、経過的加算には反映されなくなってきます。最初の例ですと、大学を出てから38年働くわけですから、後の2年はこの経過的加算が増えることになります。再度いいますと、厚生年金の加入が40年未満の場合には、60歳以降も厚生年金に加入すれば、経過的加算という基礎年金そのものはもらえませんが、この基礎年金の定額に相当する額が支給されるというわけです。その間、もともと厚生年金に加入していますから、厚生年金に加入した報酬比例部分も増えてきますので、40年加入までは、定額部分と報酬比例部分ともに増えることになります。加入が40年をこえた場合は、厚生年金には、70歳まで入れますから、70歳までは厚生年金の報酬比例部分が増えていくことになります。

  *注意*
 この計算式は生年月日が昭和21年4月2日以降の方を考えていて、定額の月単価は、生年月日昭和21年4月1日以前の方は、この単価が少し高く設定されており、この点からも経過的加算が生じる要因になっています。

参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編
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