封筒の封の有無は家族の状況によるが、封をしないメリット<相続手続が直ぐに。家族の疑心暗鬼を防ぐ。>は十分考える余地あり
公正証書遺言は、証人の立会いの下に公証人に作成してもらわなければならないのでやっかいだが、自筆証書遺言は、自分一人で簡単に作成できて便利である。ただ、書き換えられる危険性がないかというと、ここが問題かもしれない。しかし、本当に手軽にできるし、書き方の基本は、自分の字で全文を書き、日付と自分の名前も自分で書き、これに印を押せば出来上がりである。ただ、訂正の方法は決まった方法でしないといけないのと、あいまいな表現があれば、死んだ人(=遺言者)に問い質すことができず、せっかく揉めないようにした遺言が、かえってトラぶってしまうことがあるので注意したい。
さて、遺言書を書いたら、そのままでも「遺言書」の効力があるが、普通は、封筒に遺言書云々と書いて、その封筒に入れた方が恰好がつくし、遺言書が汚れたり破損防止になると思われる。
ここからであるが、問題は、封はするのか、しないのかである。自筆証書の場合は、検認(家庭裁判所に提出しての検査)をしなければならない(民法1004条1項)ということは、良く知られているが、同じ民法の続く条文で、「封印のある遺言は家庭裁判所において相続人又はその代理人の立ち合いがなければ開封することができない」(民法1004条2項)となっている。封をすれば、結局、検印も開封も家庭裁判所に行かなければならず、別の言い方をすれば、開封は検印まで待たなければならないことになる。検認の手続きは1・2か月かかることになるので、それまで誰も見れない、もちろん相続人も見れないことになる。
一方、封をしなければ、相続人が内容自体は見ることができるし、目にかかればだれでも見ることができることになる。ただし、自筆証書遺言の場合は、先に言ったように、裁判所の検印だけは済ませなければならない。
そこで、封をするメリット・デミリットを、老活弁護士の大竹夏夫氏は次のように整理している。<封をしないメリット・デミリットは逆に考えればよいので、念のため>
・メリット
封をしておけば中身を見られないですみます。また、書き換えや入れ替えをされてしまうようなトラブルも防げます。
・デメリット
いったん封をすると、裁判所で検認を受けるまで開けることができません。開けてしまうと5万円以下の過料に処せられます。
封をすることは、裁判所で開けてみるまで内容が分からないと相続の手続きに時間がかかる点と、内容が分からない状態が続くことは、家族の関係にもよくない影響がある点を、同氏は指摘しているが、あまりまとまっていない家族の場合は、確かに疑心暗鬼が拡大することにもなりかねません。
しかし、ある程度(ここは微妙表現)まとまっている家族は、どうせ裁判所で開けなければならず、裁判所で開けるまではということで、遺言の内容に従うことが皆確信している場合は、誰かがそれまで変なことをしない点でも、「良し」ということかも知れない。
要するに、その家族の状況によって、封をする、しないを遺言者としては考えなければならないことになろう。
一番いいのは、⇒<「付言」で遺産分割の理由を伝える>で言ったが、残された家族の了解を得てから遺言にしたため、封をすればいいことになるが、そうはいかない場合もあろう。
そこで、封をしないデミリットをそうしないためには、貸金庫を持っている人であれば、そこに入れておくという方法もあるが、信頼できる人(第三者)がいれば、その人に預けるという方法もある。
なお、封筒をめぐる誤解いろいろとして、氏は次のように述べています。
「開けたら無効になる」とか「封をしていなければ検認はいらない」というには、どちらも誤解です。
⇒開けてしまっても有効(ただし、5万円以下の過料)、封はしてなくても、または封筒自体なくとも、検印は必要ということです。
⇒<「付言」で遺産分割の理由を伝える>
<参考>著者大竹夏夫「はじめての遺言書マニュアル」(秀和システム)
公正証書遺言は、証人の立会いの下に公証人に作成してもらわなければならないのでやっかいだが、自筆証書遺言は、自分一人で簡単に作成できて便利である。ただ、書き換えられる危険性がないかというと、ここが問題かもしれない。しかし、本当に手軽にできるし、書き方の基本は、自分の字で全文を書き、日付と自分の名前も自分で書き、これに印を押せば出来上がりである。ただ、訂正の方法は決まった方法でしないといけないのと、あいまいな表現があれば、死んだ人(=遺言者)に問い質すことができず、せっかく揉めないようにした遺言が、かえってトラぶってしまうことがあるので注意したい。
さて、遺言書を書いたら、そのままでも「遺言書」の効力があるが、普通は、封筒に遺言書云々と書いて、その封筒に入れた方が恰好がつくし、遺言書が汚れたり破損防止になると思われる。
ここからであるが、問題は、封はするのか、しないのかである。自筆証書の場合は、検認(家庭裁判所に提出しての検査)をしなければならない(民法1004条1項)ということは、良く知られているが、同じ民法の続く条文で、「封印のある遺言は家庭裁判所において相続人又はその代理人の立ち合いがなければ開封することができない」(民法1004条2項)となっている。封をすれば、結局、検印も開封も家庭裁判所に行かなければならず、別の言い方をすれば、開封は検印まで待たなければならないことになる。検認の手続きは1・2か月かかることになるので、それまで誰も見れない、もちろん相続人も見れないことになる。
一方、封をしなければ、相続人が内容自体は見ることができるし、目にかかればだれでも見ることができることになる。ただし、自筆証書遺言の場合は、先に言ったように、裁判所の検印だけは済ませなければならない。
そこで、封をするメリット・デミリットを、老活弁護士の大竹夏夫氏は次のように整理している。<封をしないメリット・デミリットは逆に考えればよいので、念のため>
・メリット
封をしておけば中身を見られないですみます。また、書き換えや入れ替えをされてしまうようなトラブルも防げます。
・デメリット
いったん封をすると、裁判所で検認を受けるまで開けることができません。開けてしまうと5万円以下の過料に処せられます。
封をすることは、裁判所で開けてみるまで内容が分からないと相続の手続きに時間がかかる点と、内容が分からない状態が続くことは、家族の関係にもよくない影響がある点を、同氏は指摘しているが、あまりまとまっていない家族の場合は、確かに疑心暗鬼が拡大することにもなりかねません。
しかし、ある程度(ここは微妙表現)まとまっている家族は、どうせ裁判所で開けなければならず、裁判所で開けるまではということで、遺言の内容に従うことが皆確信している場合は、誰かがそれまで変なことをしない点でも、「良し」ということかも知れない。
要するに、その家族の状況によって、封をする、しないを遺言者としては考えなければならないことになろう。
一番いいのは、⇒<「付言」で遺産分割の理由を伝える>で言ったが、残された家族の了解を得てから遺言にしたため、封をすればいいことになるが、そうはいかない場合もあろう。
そこで、封をしないデミリットをそうしないためには、貸金庫を持っている人であれば、そこに入れておくという方法もあるが、信頼できる人(第三者)がいれば、その人に預けるという方法もある。
なお、封筒をめぐる誤解いろいろとして、氏は次のように述べています。
「開けたら無効になる」とか「封をしていなければ検認はいらない」というには、どちらも誤解です。
⇒開けてしまっても有効(ただし、5万円以下の過料)、封はしてなくても、または封筒自体なくとも、検印は必要ということです。
⇒<「付言」で遺産分割の理由を伝える>
<参考>著者大竹夏夫「はじめての遺言書マニュアル」(秀和システム)
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