薬膳と団地住民の暖かさによって「ほっこりする」ドラマ
麦巻さとこは、医者から一生付き合わなければならない「膠原病」との病名を告げられ、もう無理はできないことから安い引っ越し先を探すが、その団地のオーナー・その同居人から「薬膳」の存在を知らされ、その団地住民の暖かさにふれながら、心身ともに健康を取り戻して、身近にある自分の幸せに気づくというストーリ。
(あのころの自分)具合が悪いと、とことん落ちていった。「死にたい」・・・
(今は)「なんてウソだけどね」とベットから起き上がる。
薬膳に触れなんとなく元気を取り戻したのだろうか。今では、「死にたい」というネガティブなことばを発した、その後から「なんてウソだけどね」という言葉が続くのだ。ネガティブなことばで自分の気持ちを整理して、そのあとで打ち消す。原作者の体験に基づいたのか、よいリカバリー能力(いや、技術かな)のように思う。
心理カウンセリングでは、自分の気持ち・考えを言葉にすることが重要だという。心の中が整理され先に進む手がかりが生まれるという。そのために、カウンセラーは相手の心の整理を手伝うのだという。さとこは、自ら、今の自分を言葉にして、そして打ち消して見せたのだ。
齋藤一人さんは、言葉は「言霊」というエネルギーを持ち、その使い方で運もついてくる(「ついてる」「ついてる」と言おう)といいます。愛ある言葉、人が嫌がる言葉を言わない、人の喜ぶ言葉を発しようと言います。さとこのように、ネガティブな言葉を発したら、そのときは、仕方ない、必ずそれを打ち消すことです。
なお、第4話において、ネガティブ・ケイパビィリティということばが、編集者の青葉乙女から飛び出した。ネガティブ・ケイパビリティ(Negative capability)は、「答えのない状況に耐える能力」を指し、たとえば現在の不確実の中にあって、直面する問題がすぐには解答が出ない状況下でも、投げ出さずに解決法を模索していく能力のことのようだ。従来の解答をすぐに求める仕事の能力とは、別物のようだ。
薬膳料理のレシピだけでなく、ところどころで思いがけないことば・ためになる話がちりばめられているのが、このドラマの特徴のようだ。心して見ていきたい。(第4話終了)
※原作は、好評の同名の漫画、作者:水凪トリ