元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

時間外労働の制限・所定外労働の免除(育児介護休業法)は、管理監督者には適用なし

2021-07-04 09:11:46 | 社会保険労務士
 労働基準法の管理監督者は使用者と一体的な立場なので労働時間の管理がないため⇒しかし、当該者からの請求があるのはなぜ?

 育児者を支援する制度を規定する育児介護休業法では、育児休業が主に知られているが、そのほかにも「時間外労働の制限」とか「所定外労働の免除」の制度がある。この「時間外労働の制限」は、小学校に行く前の子を養育する労働者がその子を養育するために請求した場合は、使用者は1か月に24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせることはできないことになっている。また、「所定外労働の免除」については、3歳に満たない子を養育する労働者が請求した場合には、使用者はその労働者に対して所定労働時間を超えて労働させてはならないとされている。※注

 ところで、この時間外労働の制限や所定外労働の免除について、いわゆる「管理監督者」から請求があるように聞く。管理監督者とは、労働基準法で使用者と一体的な立場にあるため、労働時間・休日・休憩の規定が適用されていない者であります。
 大雑把にいうなら、管理監督者とは、使用者と同じ立場に立つものであり、労働時間の管理も管理される者ではなく、自分で自分の労働時間を管理している者のことです。それゆえ、管理監督者にとっては、この時間外労働の制限とか所定外労働の免除というものは、対象外なのです。
 
 管理監督者からの請求があるという背景には、労働基準法の管理監督者であっても、管理監督者という意識がなく、労働時間も会社の労働時間に沿って仕事をしているという実態があるのではないかと思います。逆に、日本マクドナルド事件から始まったところであるが、ハンバーガー店長やコンビニ店長を管理監督者とみなし、時間外労働の割増賃金の未払いをした例について、その管理監督者性を否定したものがあります。

 このように、労働基準法そのものに管理監督者の定義がなかったことから、現在は裁判例などから一定の基準(後述の「なお書き」を参照)ができているようですが、従来、管理監督者の範囲があいまいであったことがこのことの原因であるように思えます。

 なお、日本マクドナルド事件では、「管理監督者にあたるといえるためには、・・・①職務内容、権限及び責任に照らし、労務管理を含め、企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか ②その勤務態様が労働時間等の規制になじまないものであるか否か ③給与(基本給、役付手当等)及び一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか否かなどの諸点から判断すべきである」とされています。

 ※注 「日雇職員」、「雇用された期間が1年未満の者」、「1週間の所定労働日数が2日以下の者」については、「時間外労働の制限」や「所定外労働の免除」の対象から除外することができる。ただし、「所定外労働の免除」については、「雇用された期間が1年未満の者」及び「1週間の所定労働日数が2日以下の者」は、労使協定を締結した場合のみ除外できる。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 時間外労働制限・所定外労働... | トップ | パワハラ対策は令和4年4月... »

コメントを投稿

社会保険労務士」カテゴリの最新記事