元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

特別項目の特殊健康診断の必要な有害業務とは?

2011-08-05 06:41:16 | 社会保険労務士
 就業規則~<健康診断>その3~について

 前回紹介しました、特定業務従事者の健康診断は、労働安全衛生法で言いますと、一般の1年1回の健康診断と同じ条文で規定されています。安衛法66条1項に「事業者は、労働者に対し、・・・医師による健康診断を行わなければならない。」とされていますので、同じ健康診断項目を、特定業務従事者以外は1年1回でよいが、特定従事者は6か月以内に1回行わなければならないという、検査回数頻度の問題だけなのです。

 今回紹介する、特殊健康診断といわれているのは、全く別の条文、安衛法66条2項に規定されています。
「事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行わなければならない。」とされています。
 特別の項目ですから、特定従事者で6か月に1回健康診断をしている者でも、そのうえで、特別の項目について、健康診断をしなければならないというわけです。

 その医師による特別の項目についての「特殊健康診断」をしなければならない有害業務とは、政令で次のとおり定められています。
(労働安全衛生法施行令第22条)

高圧室内作業(圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシャフトの内部において行う作業に限る。)
潜水器を用い、かつ空気圧縮機・手押しポンプによる送気又はボンベからの給気を受けて、水中において行う業務
放射線業務~X線装置の使用等一定の業務~施行令別表第2に詳しく記載されています。
第1類物質及び第2物質の特定化学物質を製造・取り扱う業務(一部業務を除く)/ベンジジン・石綿等の製造禁止物質を試験研究のために製造・使用する業務石綿等の取扱・製造に伴い石綿等の粉じんを発散する場所による業務~別表第3第1号及び第2号・第16条等に物質は詳しく記載
鉛の取り扱いの業務~別表第4に具体的な業務について工程名まで入れて詳しく記載
四アルキル鉛等業務~「四アルキル鉛が入っているドラム缶等の容器を取り扱う業務」など別表5に業務が詳しく記載
有機溶剤取り扱い業務~エチルアルコール等の物質名は別表6の2、隧道、暗きょ又はマンホール内部等の具体的に使用する場所は、有機溶剤中毒予防規則1条2項に詳しく記載、有機溶剤業務の定義は、同予防規則1項5号。

 
 6か月に1回の特定業務従事者の健康診断とは、放射線や鉛等の共通の要素を含んだ業務も見受けられますが、また違った人体に影響のある業務が並んでいます。

 
 この有害業務については、別表等を引用してありますので、そのまま詳しく書けば膨大な量になりますので、有害業務の概要と具体的に記してある別表などの番号を示してあります。ここでは、どんなものがあるのかを把握してもらえばいいと思って紹介しております。

 
 検査項目や検査の頻度については、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則 特定化学物質障害予防規則(別表第3に業務名と検査項目、業務名ごとに検査頻度の1年又は6か月に1回の区分)、石綿障害予防規則、電離放射線障害防止規則、有機溶剤中毒予防規則の鉛とか4アルキル鉛、石綿とか特定の名前の付いた、それぞれの規則に詳しくあげられています。

 
 検査頻度については、一般的に言って、四アルキル鉛が3が月に1回と短く、後はほとんどが6か月に1回、鉛業務等が一部1年に1回となっております。4アルキル鉛の健康診断の間隔が短いということは、それだけ短期間に中毒になる可能性が高いということなのでしょうか。

 前述の政令で定める有害業務の範囲や検査項目・検査頻度については、実際に現場で作業にあたっていらしゃる人のうち、行っている業務が関係のあると思われる方で、まだ確かめていない方は、是非その部分をひもといて見てください。その業務内容が具体的にどの範囲か、どのような健康診断の項目をすればいいのかが具体的に示してあります。前回説明の6か月の1回の特定業務従事者の健康診断とは違って、本当にどの作業かどの工程なのかが分かるように具体的に記載されています。この条文を書いた方の力の入れようが分かります。

 
 なお、6か月に一回の特定業務従事者の健診もこの有害業務の特殊健康診断もともに、健診を実施しなかった場合の罰則は、50万円以下の罰金になっています。 (労働安全衛生法66条)




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