「おれが若い時、或る人から大塩平八郎の著書だといつて、二冊本の語録やうのものを借りて見たことがある。ところが、その文章といひ議論といひ、実に卓抜なことばかりで、おれもこの本のために大層益を得たことがある。しかるに、その後、今の嘉納治五郎の親から明人呂心吾の『呻吟語』といふ本を借りて見たところが、先の大塩の著書といふのは、或はこの『呻吟語』を翻訳したものではあるまいかと思はれる点があつた。なにしろよほどの名著であつたが、惜しいことには、その後どうなつたか、行方が分らなくなつてしまつた。」(勝海舟「氷川清話」より)
二冊本の語録は大塩平八郎の「洗心洞劄記」と思われます。私は毎朝この「洗心洞劄記」を読んでいますが、心が洗われるし心にグサッと突き刺さる言葉ばかりです。この大塩平八郎の「洗心洞劄記」や呂心吾の『呻吟語』を読んで感銘を受けた勝海舟、またその本がどこに行ってしまったか語る勝海舟に親近感を覚えます。

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