8月は広島、長崎の原爆投下の日に終戦と悲惨さを感じる月でもあります。なぜ人間は悲惨な現実を繰り返すのか?ーこの答はやはり人間の心の中に反省を求めなければなりません。そして、それは過去のことではなく、常に人間の心の中に今もあるということです。戦前、戦中の外相であった重光葵はその著書で日本人の慢心として次のような言葉で書き記しています。
「日本の地位は躍進したが、日本は、個人も国家も、謙譲なる態度と努力とによってのみ大成するものである、という極めて見易き道理を忘却してしまった。これは、余りにも、日本的でないものあるが、物質文明の滔々たる濁流に流されて、実際寸前の利益感情に捉われ、個人及び国家の永遠の安寧や理想を顧みる良識を欠くに至っていた。これは昭和の動乱の原因でもあり、また動乱を通して見得る不幸なる現象であった」(重光葵「昭和の動乱」より)
重光葵の言う日本人の慢心は、今も現実に存在しているのではないでしょうか。いつの時代も常に人間の心の中に反省を求めなければなりません。