昨日の韓国公使の突然死の記事の続きです。
抗生剤、わかりました。
ロセフィン・・だそうです。
出所は、東京新聞
「併用禁忌薬品を投与 韓国公使輸液後急死
医療過誤の可能性」(8月6日)
関係筋によると病院は、公使にカルシウムを含有する乳酸リンゲル液を点滴する際、ロッシュ社製の抗生物質「ロセフィン」をあわせて注入した。ロ社や米食品医薬品局(FDA)は、カルシウムを含む薬品とロセフィンを併用しないよう警告していた。遺体解剖の結果、血管内に多くの血栓が生じていたという。韓国大使館は正式な死因が判明するまで、外国人を主な顧客とするこの病院での治療を控えるよう、中国在住の韓国人に注意を呼び掛けている。黄公使は二十八日昼に市販のサンドイッチを食べて腹痛を起こし、翌二十九日、病院で点滴開始直後、呼吸障害に陥って死亡した。
添付文章とロセフィンで掛け合わせても
なぜか出てきません・・・
医薬品検索から入っていくと・・
3.配合変化(輸液中での配合時):・・・・・・・・・また、カルシウムを含有する注射剤又はカルシウムを含有する輸液との配合により混濁等の変化が認められたとの報告があるので、配合は避けることが望ましい(なお、配合時には配合変化データを参照のこと)。
まあ、この範囲です。
混濁することもあるから気をつけて・・
というような。
リンゲル液ってことは
細胞外液だから、ラクテックみたいなものでしょう。
ここに含有されるカルシウムなんて
微々たるもの・・というか
体内にも含まれるカルシウムの濃度の範囲。
ラクテックのカルシウムと反応して
死亡するくらいのものなら
体内に入ってもすぐに反応しそう・・
ところが
カルチコールとロセフィンの配合変化表をみつけました。
カルチコールインタビューフォーム
さすがにここまで濃くなると
配合直後から白色沈殿をみとめています。
リンゲル液とロセフィンに
何らかの最悪の条件が
重なってしまったのでしょうか。
それとも、知りえない何かが
隠れているのでしょうか・・・・・
院内採用薬品でないと、わからないものですね。(いいわけ)
もし、同じ処方がきた場合、薬剤師は医師に問い合わせはしないかもしれません。
それが、今の(僕の)薬剤師のレベルだと思います。
ただし、経験上(?)抗生剤は配合変化が多いので、補液とは混合せずに、別ルートをとるようにお願いしています。
ロセフィンとリンゲル液(の中のカルシウム)の配合変化で、血管内に大量の血栓。どんなに可能性の低い配合変化でも、人命にかかわる結果になったことは非常に残念です。追跡調査して、原因をさらに追求してほしいですが、過剰報道や医療不安にならないよう冷静に対応してほしいです。(と思うのは医療人だからでしょうか)
また、自分の勉強不足に反省。
上記ホームページにセフトリアキソン(ロセフィンの薬剤名)の添付文書があり、配合変化試験の結果が記載されてます。ラクテックでは溶解直後では沈殿を生じず25℃24時間静置でごくわずかの白色沈殿を認めるのみだそうです。某掲示板ですが「ロセフィンとラクテックと混注した際に白濁した沈殿を認めた」とおっしゃっている先生もいました。抗生物質が正規品かどうか、乳酸リンゲル液がどの程度の質かで結果はだいぶ違うでしょう。
たしか、うちの病院では病棟に抗生物質を生食と5%ブドウ糖液のどちらで溶解するかの表がクリーンベンチにありました。力価の持続時間が2者で結構違うんですよね。どちらで溶解しても他の製剤と混ぜたら濁ることはありますが。そういえば研修医時代は何でも自分でしていたのでいろんな薬を白濁させました。よく使うラシックスなんかも結構白濁します。
個人的にはサンドイッチの食中毒でロセフィン?のほうが気になりました。軽症ならば抗生物質は使わないし、サルモネラならキノロンが第一選択(ロセフィンだめなわけではないですが)、出血性の病原性大腸菌ならHUSがあるので安易に抗生物質は使いません。東南アジアではロセフィン耐性のサルモネラがいるらしいですが結構使うんでしょうか?あまり安価な薬ではないはずなんですが。
軽快なコメントを拝見していると、
>また、自分の勉強不足に反省。
とは・・・謙遜しすぎです!いつも、刺激いただいています!!
Meganeさん
>抗生物質が正規品かどうか、乳酸リンゲル液がどの程度の質か
そこだと思うのです。今の中国なら、それも想像を逸脱しないのが、また、怖い。Meganeさんの病院はレベルが高いです。
下痢にロセフィン。スタンダードな使い方ではないですよね。
>東南アジアではロセフィン耐性のサルモネラ
本当ですか・・・
元大臣の赤城さんも、確か中国(北京ではなかったでしょうか?)で下痢していたと報道されていたことを思い出しました。