江戸前ネギ巻き寿司

オタク一匹の日常を綴る。
※各種作品のネタバレを含みます。
※最近は多肉植物・サボテンの観察日記的な要素も。

愛人[AI-REN]の思い出

2006年10月20日 17時43分15秒 | 漫画レビュー
 ども、某コンビニで78円の缶コーヒーを2本買ってきてガブ飲みしていた江戸です。何故か無性にコーヒーが飲みたくなる時がありますねぇ。ちなみにブラックが好き。


 さて、先日読んでいた漫画のレビューをしたいと思います(未読の人は重大なネタバレあるので、そういうのが嫌いな人は注意)。もう、読んでいたら「これは一度語っておかないと駄目だ」という気分になって来まして。とにかくマイナーなままで終わらせるのは勿体ないですよ、この作品は。
 で、その作品は何かと申しますと……

     
     愛人[AI-REN](田中ユタカ先生)

 ヤングアニマルで連載していた作品で、5巻にて完結しています。現在は古本屋でさがした方が見つけやすいかもしれません。

 正直言うと、この作品がヤングアニマル誌上で連載されていた初期の頃は読み飛ばしてました。気が付いたら載っていたという感じで、いつ頃から連載していたのかもよく分からないという状態です。田中ユタカ先生と言えば成年向け漫画のイメージが強かったので、そういう先入観もあってかこの作品も「よくある恋愛物」の一つとしてしかとらえてなかったんですよね。
 しかし、話が進むと作品のイメージが完全に逆転していきます。

 戦争。
 テロ。
 人口爆発。
 人類の種としての寿命。

     

     
     
 様々な事柄によって人類は追い詰められて行きます。丁度同時期に「アメリカ同時多発テロ」もありまして、まるで世界の行く末を暗示しているかのような内容には衝撃を受けました。

 そんな訳で作品に興味を持って単行本を買ってみたのですが、読んでみると最初っからいきなり絶望的です。主人公のイクルとあいは、命があと数ヶ月で終わるという所から始まっていたのです。この設定を知ると、それまでバカップルがじゃれ合っているようにしか見えなかった話が重い重い。普通ならなんでもないような些細な事柄にも重大な意味が生じて来ます。ある面において、この作品は人生最後の日まで「死」に抗う闘いの物語だとも言えます。

 そんな絶望的な状況下で、イクルとあいは愛や希望を育んでいきますが、既に決まっていた死の運命からは逃れる事は出来ません。その詳細についてはあえてここでは語りませんが、あいはともかくイクルの死は決して穏やかな物ではありませんでした。ある意味では最悪とも言えるかもしれません。

 それでも……

     
     大丈夫 ボクはひとりで死んでいける

 微笑みを遺してイクルは逝きます。私はこのシーンを10回読んだら10回とも泣いてしまいます。つか、このブログを書いてるだけで泣いている自分がいる。これほどまでに泣ける漫画を私は他に知りません。

 そんな訳で、「漫画で名作と思う作品は?」と尋ねられたら、私はこの『愛人[AI-REN]』を挙げるでしょう。とにかく作者が魂削って、それを作中に込めているっいうのが物凄く感じられるのですよね。色々悩んで、考えて、覚悟して言葉を紡いでいる感じがひしひしと伝わって来るのです。

     

 正直、万人にすすめられる作品なのかはよく分かりません。物語の最初から最後まで、救いようのない悲劇で満ちあふれていますから、人によっては読んでいると確実に鬱になれる作品ではあると思います。だから、嫌う人も多いかも知れません。
 でも、決して絶望的なものばかりではない作品なので、漫画が好きな人なら一度は読んで貰いたいと思う作品です。





     
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