普通のことを普通にやるだけだと思う。

先日、内科外来のバイト中に、経過と症状とCTからウイルス肺炎と思われ、かつ行動歴からCOVID-19が否定できない患者さんが来た。その病院では初めてのことでプチパニックになった。まあそれはいいのだけど、複数の人から、「先生、マスクしてた？」と聞かれたが、「手は洗った？」とは誰も聞いてくれなかった。

先日、当院の救急外来に、発熱も咳嗽もなく倦怠感だけで受診した患者さんがいて、理由は知らないが院内でPCRを出したところ陽性だった。その数日後のなんかの委員会で、「こういうこともあるので、皆さんマスクを着用しましょう」とアナウンスされたらしい。

最近、廊下を歩くときもコンピューターを操作する時も多くの医者がマスクをしている。医者は手指衛生をしないで有名なのに。

少し、心配だ。
特に二番目のケースの場合、マスクは患者接触後の手指衛生をする前に顔に触るのを防ぐ効果しかなく、逆にマスクをしていても手指衛生をしなければマスクを外してからアウトになる。このアナウンスをした人は、「手指衛生をするのは当然なので、それに追加してマスクの着用を促そう」という趣旨でこう言ったのであればよいのだけど、ねー。

最近、WHOがマスク着用について新しい動画をアップした。
この中で、
"Masks alone can give you a false feeling of protection and can even be a source of infection when not used correctly. "
と言っている。その通りだと思う。

マスクをするなと言っているわけではない。でも、着用者は手指衛生が伴って初めて意味をなすことを意識しないといけないし、マスク着用を促す人はそのことを必ず強調しないといけない。街中でマスクをしている人のそれなりの割合、病院内でマスクをしている人の一部は、手指衛生の重要性を認識していない気がする。
そこが心配。

患者さんに触れた後は手指衛生。
呼吸器症状のある患者さんを診療するときはマスク着用。
これは普通の標準予防策と飛沫感染対策であって、別にCOVID-19の流行のためにやることじゃない。

普通のことを普通にやるだけだと思う。