Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ショック患者にすぐノルアド。

2019年06月10日 | 循環
Permpikul C, Tongyoo S, Viarasilpa T, et al.
Early Use of Norepinephrine in Septic Shock Resuscitation (CENSER). A Randomized Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 May 1;199(9):1097-1105. PMID: 30704260.


タイの1施設RCT、N=310。
敗血症で血圧が低い患者さんに、さっさと0.05ガンマのノルアドを投与すると、いいかもね、という結果。

1施設だし、phase IIだし、これだけだとなんとも言えないけど、可能性は結構あるんじゃないかと思う。
というか、随分前からそう信じていて、例えば病棟でショックだと呼ばれてICUに連れてきたら、補液の反応なんか待たず、CV入れるのも待たず、末梢からノルアドを必ず始めるようにしている。
理由は、とりあえずショックのまま患者さんを放置したくないから。おまけとして、A-lineが入れやすくなるしね。

悪いことをしている気はしていなかったけど、こうやってRCTで示されると、ちょっと嬉しい。
これだけだとなんとも言えないけど。

それにしてもタイですよ。
こんなちゃんとしたRCT、しかもAJRCCM。
みんな、ビビろう。
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脳出血の手術適応と痙攣予防

2019年06月09日 | 神経
Angriman F, Tirupakuzhi Vijayaraghavan BK, et al.
Antiepileptic Drugs to Prevent Seizures After Spontaneous Intracerebral Hemorrhage.
Stroke. 2019 May;50(5):1095-1099. PMID: 30935318.


Gregson BA, Mitchell P, Mendelow AD.
Surgical Decision Making in Brain Hemorrhage.
Stroke. 2019 May;50(5):1108-1115. PMID: 30932784.


面白い。
文献が面白いのではなくて、脳出血なんていう超メジャーな病気の手術適応も、痙攣予防なんていう一般的な医療行為も、根拠を持って行うことができないっていうとこ。

不思議な病気だよね。
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朝飯食わずに座ってばかりいて運動しない奴は早死にする。

2019年06月08日 | その他
ん?
JACC君、俺のことを言っているのかい?

Rong S, Snetselaar LG, Xu G, et al.
Association of Skipping Breakfast With Cardiovascular and All-Cause Mortality.
J Am Coll Cardiol. 2019 Apr 30;73(16):2025-2032. PMID: 31023424.


Stamatakis E, Gale J, Bauman A, et al.
Sitting Time, Physical Activity, and Risk of Mortality in Adults.
J Am Coll Cardiol. 2019 Apr 30;73(16):2062-2072. PMID: 31023430.


でも週に150分以上運動すれば、座りすぎでもリセットされるらしい。
朝飯も時々食べれば大丈夫らしい。

2時間半かー。。。
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AIが医療従事者のコミュニケーション能力を評価

2019年06月07日 | AI・機械学習
ちょっと前のBMJ。
集中治療ではないけれど。

Ryan P, Luz S, Albert P, et al.
Using artificial intelligence to assess clinicians' communication skills.
BMJ. 2019 Jan 18;364:l161. PMID: 30659013.


一番最後の図がゴイスー。
あと数年で、こんな評価ができるようになっちゃうかも。
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HATにはプロカルだね!

2019年06月06日 | 感染
Marik PE.
Procalcitonin is an essential biomarker for hydrocortisone, ascorbic acid, and thiamine (HAT) therapy in patients with sepsis.
Crit Care. 2019 May 2;23(1):151. PMID: 31046800.


hydrocortisone, ascorbic acid, and thiamine
で、HATだそうです。

Marik先生、お会いしたことはないのですけど、聞くところによると相当エネルギッシュな方なんですって?
もうHATで1200人治療したんですって。
プロカルシトニンが指数関数的に減るんですって。
24時間で半分にならない人は、抗菌薬がはずれているか、ソースコントロールが不十分な時なんですって。
うーん、文章だけでもキャラがビシビシ伝わってくるわ。

こういう情報に踊らされることなく、かといってバカにすることなく、ニュートラルに行きたいと思います。
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重症度が高い患者にPPIで予防

2019年06月05日 | 消化器・血液
Marker S, Perner A, Wetterslev J, et al.; SUP-ICU investigators.
Pantoprazole prophylaxis in ICU patients with high severity of disease: a post hoc analysis of the placebo-controlled SUP-ICU trial.
Intensive Care Med. 2019 May;45(5):609-618. PMID: 30863936.


SUP-ICUのpost-hoc解析。
サブグループ解析とはいえ、重症度が高い群で介入が有害だ、という結果になるとさすがに調べようと思うのは人情。もしかしたら重症度スコアの収集に問題があったかもしれないけど、残念ながら結論には至らず。

結構重要な問題ではある。
普通、逆に考えるもんね。
さて、追試は行われるのかな?
重症患者はPPIが有害かもしれないことを仮説とする多施設RCT??
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不正を犯した人が書いた総説

2019年06月04日 | その他
Hartog CS, Perner A.
Narrative reviews from a fraudulent author: reasons to retract.
Intensive Care Med. 2019 May;45(5):719-721. PMID: 30762081.


麻酔・集中治療の世界では有名なBoldtさんの話。
こういう人が書いた総説もやっぱりヤバイんじゃね?
特にnarrative reviewは読みやすいし、こうするべきって書いてあるからみんな好きでしょ?
という指摘。まあそだわな。

それにしても、嫌われてるわー、この人。
ズルはだめだね、やっぱり。
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敗血症性ショックにおけるノルアドレナリン

2019年06月03日 | 循環
Hernández G, Teboul JL, Bakker J.
Norepinephrine in septic shock.
Intensive Care Med. 2019 May;45(5):687-689. PMID: 30631902.


ノルアドって、アルファ作用の強いカテコラミンでしょ、くらいの知識しかない人はこれを読みましょう。
2ページちょっとだからすぐだよ。
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慈恵ICU勉強会 190528

2019年06月02日 | ICU勉強会
5月28日 外傷患者に対する凝固因子補充戦略

救急っぽい話でした。
フィブリノーゲンにしてもTEGにしても、いやそれ以前に輸血全般について、まだまだ分からんなー。
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CVと透析カテを同じところから入れると、

2019年06月01日 | 腎臓
そりゃそうだろな、とは思うし、臨床でも話題になるけど、定量したのは初めて見たかも?

Frithiof R, Bandert A, Larsson A, et al.
Central Venous Line and Dialysis Catheter Position Affects Drug Clearance during Continuous Renal Replacement Therapy in an Animal Model.
ASAIO J. 2019 May/Jun;65(4):408-413. PMID: 29863633.


ほお。
ゲンタマイシンの濃度は1.5倍くらい違い、ノルアドの必要量は倍違うとな。

ただし、体表面積あたり1L/hrの透析液流量なので、普通の体格で1.7L。日本流の700-1000ml/hrだとこの半分か。
ノルアドの量とか、感覚的にはそんな感じかも?

影響がこの実験の半分だとして、投与するすべての薬剤が25%減る、とすると、それなりだね。
もちろん、カテの位置関係とかQBとか透析流量以外にもいろいろ修飾因子はありそうだけれど。
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