Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

慈恵ICU勉強会 160802 160809

2016年08月19日 | ICU勉強会
今回も二週間分をまとめてドン。
本当は毎週更新したいのだけど、勉強会開催後に手直ししたファイルをすぐ送ってきてくれないからさ、ブツブツ。

2日 AKIに対するRRTの適応と開始基準
9日 クエン酸CRRTアップデート
9日 NPPVでのマスク vs. ヘルメット(JC-JAMA)


RRTについての検討の歴史をざっとまとめると、
・1990年〜2005年くらい:CRRTでサイトカインなどの炎症物質が除去されて予後を改善するか。結論、ほとんど除去されないし、予後も改善しない。
・2005年〜2010年くらい:持続は間欠よりも予後に良い影響を与えるか。結論、どちらも予後に影響しない。
・2010年〜2015年くらい:CRRTの治療強度(IntensityとかDoseとかと表現)を上げると予後を改善するか。結論、少なくとも20ml/kg/hr以上では同じ。
・2015年くらい〜現在:CRRTを早期に開始すると予後に良い影響を与えるか。

最後の結論はまだ出てないけれど、多施設RCTがNEJMに出るようになってきた。
他にも現在進行中の研究はあるけれど、多分、今回も”予後に影響しない”という結論に終わりそう。
残念な話ではあるけれど、そうやって可能性をどんどん追求していかないと進歩が無いものね。

そうそう、つい最近のCritical Careに、我々の勉強会と同じように二つのRCTについて批評したコメントが載っていたね。

Bagshaw SM, Lamontagne F, Joannidis M, et al.
When to start renal replacement therapy in critically ill patients with acute kidney injury: comment on AKIKI and ELAIN.
Crit Care. 2016 Aug 6;20(1):245. PMID: 27495159


今後の研究を待ちましょう、という話。
そりゃそうだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 慈恵ICU勉強会 160719 160726 | トップ | 手のかかる患者さん »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ICU勉強会」カテゴリの最新記事