Dr内野のおすすめ文献紹介

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イタリアのAKIガイドライン

2015年09月16日 | 腎臓
Ronco C.
Italian AKI Guidelines: The Best of the KDIGO and ADQI Results.
Blood Purif. 2015;40(2):I-III. PMID: 26316177.


イタリアの腎臓学会、麻酔集中治療学会、集中治療学会(ふーん、二つあるんだね)の合同で、KDIGOのAKIガイドラインをイタリアで使えるように、翻訳およびアップデートをしたそうだ。そのやり方は、
1:正確に翻訳し、推奨やエビデンスレベルはそのまま
2:KDIGO発表後から2014年12月までの文献検索
3:複数の学会から発表されたKDIGOガイドラインに対するコメントを収載、異なる視点があることを利用者に示す
4:薬やデバイスなどが利用できるかどうかが違うので、イタリアの臨床に合わせられるようにコメントを追加
5:定義や略語のためのチャプターを追加
6:ガイドラインの使い方についてのガイドラインを追加

多くの国際的なガイドラインは、エキスパートたちによって相当な手間をかけて作られる。
KDIGOのAKIガイドラインもそうで、エビデンスレビューのためのチームを大学の疫学講座に作り、それをAKIの世界的な有名人たちが集まって吟味・議論して、約三年かけて作られた。
せっかくそういうものがあるのに、わざわざ各国で全部をやり直す必要はないし、やり直すことによって質が向上するとはとても思えない。

日本でもAKIのガイドラインを作成しようという話があるらしい。良いものを作りたいのであれば、是非このやり方を見習って欲しいと思います。
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