Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

酸素についての文献3つ

2024年07月27日 | 呼吸
Peng L, Qin X, Chen L.
Hyperoxemia may be more beneficial for patients with sepsis.
Crit Care. 2024 Jul 19;28(1):252. PMID: 39030635.

1施設の後ろ向き。敗血症患者ではPaO2>80を維持した方が予後が良かった。

Nielsen FM, Klitgaard TL, Bruun NH, et al.
Lower or higher oxygenation targets in the intensive care unit: an individual patient data meta-analysis.
Intensive Care Med. 2024 Jul 11. Epub ahead of print. PMID: 38990335.

2つのRCTのメタ解析。PaO2ターゲットが8kPaと12kPaで予後に差はなし。

Buell KG, Semler MW, Churpek MM.
Individualized treatment in critical care: the oxygenation paradigm.
Intensive Care Med. 2024 Jul 10. Epub ahead of print. PMID: 38985181.

過去の研究を簡単にサマライズ。
"The ICU–ROX, O2–ICU, HOT–ICU, PILOT, and ICONIC trials found no significant average treatment effect, whereas the Oxygen–ICU and HOT–COVID trials reported better outcomes with a lower oxygenation target and the LOCO2 trial reported better outcomes with a higher oxygenation target."

ご存知の通り、Mega-ROXとUK-ROXが現在進行中。Mega-ROXは4万例、合計すると6万例の巨大RCTになる予定。さて、いつ頃結果が出るのだろうと調べてみると、詳細はわからないものの、Mega-ROXの旧ツイッター情報からは、昨年1月に1万例到達、今年の1月に2万例到達したようなので、単純計算であと1年半、結果が発表されるのは2026年のどこかかな?

結果はどうあれ、集中治療リサーチの歴史に刻まれることは確定。サブ解析も山ほど行われることでしょう。
それまでは、酸素についての現在のプラクティスを大きく変えちゃダメですよ。
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