Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

公共におけるマスク着用が呼吸器症状の自己報告に及ぼす効果

2024年08月13日 | COVID-19
集中治療とは違いますが、以前マスクについては何度か書いたのと、ちょっと気になったのとで、紹介。

Solberg RB, Fretheim A, Elgersma IH, et al.
Personal protective effect of wearing surgical face masks in public spaces on self-reported respiratory symptoms in adults: pragmatic randomised superiority trial.
BMJ. 2024 Jul 24;386:e078918. PMID: 39048132.


5000例弱のRCT。公共の場でマスクをするかどうかで無作為割り付け、14日以内の呼吸器症状を自己申告するかどうかがprimary outcome。結果は、8.9% vs. 12.2%で有意にマスク着用群で少なかったと。

先日、5年ぶりに海外旅行でヨーロッパに行ってきた。誰もマスクしていない。旅行中の日本人と思われる人もしていない。そんな中で我々夫婦は頑なに屋内ではマスクをしていた。それほど奇異な目では見られなかったけど、最初は気持ち的に大変だった。

なのでこの研究結果は我が意を得たりと言いたいところだけど、さすがにちょっと。
まず14日で呼吸器症状が出るような感染を起こすか?この頻度だと、単純計算では平均で年に2-3回は風邪を引くことになる。それはいくら何でも。
そして何よりも、サブ解析でマスクの効果を信じているかどうかで分けているのだけど、信じている群ではオッズ比が0.64、信じていない群では1.66と逆転している。さすがに自己申告は無理があるのでは。実際、COVIDの発生はどちらも21例ずつ(これも自己申告だけど)。

客観性、大事ですね。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 酸素についての文献3つ | トップ | 人工呼吸を必要とする患者のI... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

COVID-19」カテゴリの最新記事