Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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急性脳損傷における頭蓋内圧亢進の治療法

2023年02月03日 | 神経
Robba C, Graziano F, Guglielmi A, et al.; SYNAPSE-ICU Investigators.
Treatments for intracranial hypertension in acute brain-injured patients: grading, timing, and association with outcome. Data from the SYNAPSE-ICU study.
Intensive Care Med. 2023 Jan;49(1):50-61. PMID: 36622462.


重症急性脳損傷(脳出血、SAH、頭部外傷)についての多施設観察研究、N=2320。最初の1週間で行われた治療強度をTherapy Intensity Level (TIL)を使って分類した。Extreme TIL群は全体の12.7%で、国・施設によってその施行頻度は大きく異なり、eTIL群に比べno-basic TIL群では死亡率が高かったが神経予後は変わらなかった。

TILって知らなかった。この文献のアブストラクトだけでなく本文のにもTILの説明は書いてないので、こちらをご参照ください。この表で言うところのTIL4とTIL0-1の比較をしている。

こういう研究では「この患者さんは頑張るぞ」、「この患者さんは難しいだろうから積極的治療は控えよう」というバイアスが必ず働くので、eTIL群で死亡率が低い理由は説明されてしまう。にも関わらず神経予後は同じ(実際はOR 0.94でp=0.088なのでeTILの方が悪い傾向)というのは、神経集中治療の難しさを示していそう。
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