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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ICU患者に対する鉄剤投与

2018年12月26日 | 消化器・血液
Shah A, Fisher SA, Wong H, et al.
Safety and efficacy of iron therapy on reducing red blood cell transfusion requirements and treating anaemia in critically ill adults: A systematic review with meta-analysis and trial sequential analysis.
J Crit Care. 2019 Feb;49:162-171. PMID: 30448516.


6つのRCTのメタ解析、合計805例。鉄剤投与はHbを少しだけ増やしたが輸血の頻度は減らさなかった。ただし、サンプルサイズが小さく、投与期間も短いけれど。

多施設RCTのネタとして、どうですか?
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血糖のターゲットは低い方が予後がいい。

2018年11月22日 | 消化器・血液
Hersh AM, Hirshberg EL, Wilson EL, et al.
Lower Glucose Target Is Associated With Improved 30-Day Mortality in Cardiac and Cardiothoracic Patients.
Chest. 2018 Nov;154(5):1044-1051. PMID: 29705217.


Cardiac ICUの患者の血糖管理のターゲットを、80-110か90-140で行い、その二群の予後を比較したら、80-110の方が良かった。ちなみにRCTではなく、propensity matching。

複数のRCTが行われて、どれも同じ結論(予後を改善しない、低血糖は増える)になったのに。
・DMかDMじゃないかでターゲットは変わるかもしれない。
・より厳密なプロトコル(コンピューターとか使ったりして)で血糖コントロールを行えば低血糖が発生しなくなるから、予後を悪化させる要素が減るので、有効性が示されるかもしれない。
という疑問が新たに生まれ、またちょっと混沌としてしまった感がある。
個人的には、もうごちそうさまなので、大きなRCTでやっぱりターゲットは低い方がいいですよと肩を叩かれない限り、気にするのはやめております。

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アジア人の胃切後のVTE予防

2018年11月12日 | 消化器・血液
Jung YJ, Seo HS, Park CH, et al.
Venous Thromboembolism Incidence and Prophylaxis Use After Gastrectomy Among Korean Patients With Gastric Adenocarcinoma: The PROTECTOR Randomized Clinical Trial.
JAMA Surg. 2018 Oct 1;153(10):939-946. PMID: 30027281


韓国の単施設RCT。胃癌術後にIPC(モミモミ)のみをするか、IPCに加えて低分子ヘパリンの皮下注をするかで比較。低分子ヘパリン併用群の方がVTEが有意に少なかったが(3.6% vs. 0.6%)、出血がおもいっきり増えた(9.1% vs. 1.2%)。

この研究を行った理由は、アジア人ではVTEが少ないと認識されているから、だそうだ。
そーなんだ。そう思っているのは日本人だけじゃないんだ。

基本的に、欧米のRCTは日本人には当てはまらないという話を聞くと、じゃあお前が多施設RCTやれよ、やらないなら黙ってなさい、と思う。負け犬の遠吠えみたいじゃんか。
だけど、VTE予防については、ちょっとそうかもなーなんて、ありきたりな考えを持っていたりする。

不幸な話だよね、これ。
本当はやった方がいいことをやってないのかもしれないし、
やらなくていいことを欧米のデータを元にやっているかもしれないし、
欧米に住んでいるアジア人は有害な予防方法を受けているかもしれないし。

でも、あまりにも場合の数(患者のリスクの数と予防方法の種類の積)が多いので、欧米のガイドラインを読んでいてもちょっと根拠に乏しいと感じる部分も少なくないくらいで、アジア人だけで全部評価しましょうとはなかなかいかないだろうな、きっと。

関連する症例数は膨大。
どこかに突破口はないもんだろか。
きっと、こういう研究を積み重ねていくしかないんだろな。
まあ、大変。
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肝切後の死亡例の半分は予防可能かも。

2018年11月09日 | 消化器・血液
Khaoudy I, Farges O, Boleslawski E, et al.
Half of Postoperative Deaths After Hepatectomy may be Preventable: A Root-cause Analysis of a Prospective Multicenter Cohort Study.
Ann Surg. 2018 Nov;268(5):792-798. PMID: 30080731.


肝切後90日以内に死亡した90例についてroot cause-analysisを行ったところ、47%は予防可能だったと判断された。

別に肝切の話をしたいわけではなく。
予定手術の患者さんがICUで亡くなりそうな状態になると、ほとんどの場合、医療者間でコンフリクトが起こる。そしてそのコンフリクトのほとんどの場合で、医師看護師含むICUスタッフ vs. 担当科の図式になる。先日もあったし、実は今もある。時々はICU医師と看護師の間でも起こる。
想像するに、これは当院だけのことではなくて、ICUというところでは普遍的に起こっていることではないだろうか。
立場や視点が違うから、当然と言えば当然。誰が正しい、という話ではない。

コンフリクトは楽しくない。でもどうしても起こる。困ったものだ。
と思っていたら、半分は予防できるかもというタイトルの文献があったので、紹介したくなったのさ。
おしまい。
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VA-ECMOとHIT

2018年09月30日 | 消化器・血液
Kimmoun A, Oulehri W, Sonneville R, et al.
Prevalence and outcome of heparin-induced thrombocytopenia diagnosed under veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation: a retrospective nationwide
study.
Intensive Care Med. 2018 Sep;44(9):1460-1469. PMID: 30136139.


なんかねー、HITって好きじゃない。
まあ好き嫌いで言うのも変なのだけど。
存在を否定はしないけど、重要性は低い(ことが多い)のに有名なやつ、というイメージかな。

フランスの20施設、約6000例の研究。
VA-ECMO患者(ヘパリン使いまくり)のうちHITは300人に1人発生、予後はHITを併発しなかった患者さんと同じ。

そうそう、そういう感じ。
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慢性肝不全の急性増悪の予後

2018年09月23日 | 消化器・血液
CCMばっかり紹介していると、そんなの知ってるよって思われちゃうから、そろそろ違う雑誌へ。

Meersseman P, Langouche L, du Plessis J, et al.
The intensive care unit course and outcome in acute-on-chronic liver failure are comparable to other populations.
J Hepatol. 2018 May 4. [Epub ahead of print] PMID: 29730473.


EPaNICのデータを使用し(ほぉ)、慢性肝不全の急性増悪でICUに来た71例を、敗血症71例と内科疾患71例と比較。患者背景と重症度でマッチングすると、慢性肝不全の予後は他のICU疾患と同程度だった。つまり、肝硬変が悪くなったら諦めよう、じゃないよね、というのがメッセージ。

メッセージとしては悪くない。LCの患者さんが更に何か合併症を起こして肝不全になると、いやーちょっと、、、と思ってしまったりはするし。そう考えてそもそもICUに相談してこないなんてこともあるだろうし。

ただ、重症度で調整したら、そりゃ予後は同じでしょ?
だってそうやって使うために作られたものなんだから、重症度スコアって。

一瞬、騙されかけた。それが紹介の理由。
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トロンボモジュリンのRCTの結果

2018年08月04日 | 消化器・血液
が、一部発表されたらしい。

ART-123の海外における第3相臨床試験結果(速報)について

ググっても、これ以上の結果は見つけられなかった。
ちなみにスタディデザインとかはこちら

ちょっとこの記載は微妙だけれども、とりあえず忘れてはいけないのは、そもそもphase IIbのRCTで結果はネガティブで、でもそのサブグループ解析に基づいてphase IIIの対象が決められたので、その更にサブ解析では有効ですとか言われても、ね。

細かい話はこちらを。

早く、結果が読みたいものだ。
でもPMXみたいに、なかなか出なかったりして。
そこが心配。
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HITの予防に免疫グロブリン?

2018年05月29日 | 消化器・血液
Warkentin TE, Climans TH, Morin PA.
Intravenous Immune Globulin to Prevent Heparin-Induced Thrombocytopenia.
N Engl J Med. 2018 May 10;378(19):1845-1848. PMID: 29742374.
(うまくリンクが貼れない)

あれま、NEJMにケースレポートが載っているぞ。それとも気がついてないだけで、よくあるのだろうか。分かりません。
内容的には確かにちょっと面白いが。でもNEJMレベルなのかは。。。
で、著者を見ると、ああ、Warkentinさんじゃないですか、HITで有名な。
ということは、ネームバリューか??
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ICUに来る肝硬変患者の疫学

2018年05月25日 | 消化器・血液
Skurzak S, Carrara G, Rossi C, et al.
Cirrhotic patients admitted to the ICU for medical reasons: Analysis of 5506 patients admitted to 286 ICUs in 8years.
J Crit Care. 2018 Jun;45:220-228. PMID: 29604566.


JCCの昨日紹介した文献と同じ号に、今度はイタリアのデータベースであるGiViTIの研究が載っていた。
ANZICSやICNARCには劣るけど、チョコチョコ文献を出しているデータベース。286のICU、2002年からの8年間で40万例。なかなかである。
JIPADとしては、まずこの辺を目標にするのがよいのかも。
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急性膵炎のガイドライン

2018年04月18日 | 消化器・血液
Crockett SD, Wani S, Gardner TB, et al.; American Gastroenterological Association Institute Clinical Guidelines Committee.
American Gastroenterological Association Institute Guideline on Initial Management of Acute Pancreatitis.
Gastroenterology. 2018 Mar;154(4):1096-1101. PMID: 29409760.


新しいやつ、出た。
これもICU勉強会で過去に取り上げているのだけど、こっちと同じで、新しいことが少ないように思えたので、今回はパスすることにする。

予防的抗菌薬って、もう"against"なんだよね。
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