徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

運動神経ゼロ犬…(其の五 …よわっ!)

2007-02-18 17:02:00 | 運動神経ゼロ犬
 鼻黒の小屋を家の横の小さな庭…庭と言っても隣の土地との間に僅かにあいた三角の土地だったが…其処に移した。
普段、親父の車を入れている場所で、車が戻ってくると鼻黒は上手いこと小屋の中に逃げて、親父が車から降りてくるのを待っていた。

 運動神経は鈍くても嗅覚や聴覚は良いらしく、まだ車の見えない状態でも親父が帰ってくることが分かるらしい。
鼻黒がきゅ~きゅ~鳴き始めてしばらくすると必ず車が入ってきた。

 裏の通りを通ってくるので姿は絶対に見えない。
それなのに車が到着する前に必ず鳴き出すのだった…。

 雨が嫌いで前足を振って歩いた鼻黒だが…実はもうひとつ前足を振ってしまうものがあった。

 それは…イモムシ…。
三角の土地には少しだけ植物を植えていたが…どうやらその隣が空き地だったせいもあって草が多く…イモムシや毛虫がよく出てきた。

 それも太さ2cmくらいのデカイモムシ…黄緑色のまあまあ綺麗なもこもこちゃんである。
イモムシが庭をもこもこ歩いてくると…鼻黒は動物の習性として追っかける。
追っかけるのはいいのだが…どうにも気味が悪いらしく…ウ~ウ~唸ってぴょんと飛びつくわりにはなかなか触れようとしない…。

 やっと決心したか…前足でペンッと叩いてみるが…ダメージを与えられない…。
イモムシは平気でそのままもこもこ歩いて行く…。
ところが叩いた方の鼻黒は…あまりの気味悪さに前足をブルブルッと振るのだ。

 今度は噛み付いてみる…。
けど…歯をたてる気にはならないらしく…これもイモムシは平気…。
鼻黒の方がいかにも嫌そうに顔をブルブルッと震わせるのである…。

 結局…最後には逃げられてしまった…。
イモムシ相手に毎度こんなことを繰り返す…気弱犬だった。


 そう言えばまだ木の小屋が出来上がっていなくって…段ボールの小屋で過ごしていた頃…こんなことがあった。

 或る日…オカンがdoveを呼んだ…。
近所に物凄いデブ猫が居るのだが…これが干してあった鼻黒の大事な段ボール箱を占領してすっぽり嵌り込んでしまっているという。

 行ってみると確かに…デブ猫が箱の中で満杯になっていた。
周りで鼻黒はわんわん吼えてはいるのだが…一向に相手にされていない…。
デブ猫は堂々と箱に収まりこんでいる…。

 やれやれ…犬が猫にバカにされてどうするんじゃ…。
オカンも…このでか過ぎる猫は怖いらしく近づかない…。

 doveが近づいてもこの猫は動こうともしない…。
のんびりしたもんだ…。
仕方がないので、段ボール箱をひっくり返した…。

ほら…出てけ…この箱はおまえんじゃないよ…。

箱をひっくり返されて…猫は渋々ゆっくりと立ち去っていった…。
堂々としたもんだ…。

鼻黒はその間中吼えていたが…弱い犬ほど…ってまんまだなぁ…と思った。
その頃はまだ子犬だったけど…。

 小屋ができて…鼻黒が成犬と言っていいくらいの大きさになった頃…オカンがまたdoveを呼んだ…。

あの猫が…再び小屋を占領したのだ…。
鼻黒は必死で唸り吼えているが…何処吹く風…。

よわっ!

 今度はひっくり返すわけには行かないので…箒かなんかでよいしょと引きずり出した…。
デブ猫はまた堂々とゆっくり歩いて去って行った…。

 その後…老いてボケた野良犬にも小屋を乗っ取られたことがある…。
野良犬の方が逆切れして吼えていたが…。

 たんびに…オカンがdoveを呼ぶ…。
わしゃ…犬のレスキュー隊か…?

しかし…鼻黒よ…。
おまえもオスなら少しは自分で何とかせいや…。

何を言っても意に介さず…にこにこすりすり…超甘えっ子な犬だった…。
 






続く…。

漫画…好きだったなぁ!

2007-02-17 16:58:00 | ひとりごと
 さて今日は…いつもの続きをお休みして…doveの好きだった漫画の話をしよう。
随分前の記憶ばかりなので…題名が間違っていたら御免ね…。

 doveの家がテレビを手に入れたのは東京オリンピックの頃…。
テレビが一般家庭に普及し始めたのもこの時代である…。

 国産のアニメ番組などはまだ作られておらず…漫画はもっぱら新聞とか雑誌に掲載されていた…。
ノラクロとかフクちゃん…といった親父たちの昭和初期世代の漫画はdoveの記憶にはない…。
サザエさん以降は少しは記憶に残っているが…新聞の漫画は子供には難しい。

 ディズニーの名作シリーズや「ポパイ」「トムとジェリー」などの外来ものはわりと早くから放映されていたように思う…。

 雑誌の漫画やアニメともに記憶にあるのは国産ではやはり手塚治虫時代からだろうか…。
「鉄腕アトム」「ビッグエックス」「リボンの騎士」「ジャングル大帝」「ワンダー3」「どろろ」「悟空の大冒険」…などなど…幼年期から少年期にかけて随分と楽しませて貰った。
その後の…「三つ目が通る」「ブラックジャック」「七色インコ」なども…。

特撮ものとしては円谷系「ウルトラQ」「ウルトラマンシリーズ」「怪奇大作戦」などなど…特にウルトラセブンは最高だったな…。

「魔法使いサリー」「秘密のアッコちゃん」「鉄人28号」「遊星少年パピイ」「宇宙少年ソラン」「スーパージェッター」「エスパー」「エイトマン」「げげげの鬼太郎」「バビル二世」「ハリスの風」「マッハGOGOGO」…等々。
マッハ号のプラモ…作ったよ…。
横山光輝…赤塚不二夫…桑田次郎…そういった漫画家たちが活躍してたね。

石ノ森章太郎の作品は多過ぎて…「サイボーグ009」「レインボー戦隊ロビン」「佐武と市捕物帖」「仮面ライダーシリーズ」「○○戦隊○○レンジャーシリーズ」「人造人間キカイダー」「猿飛びエッちゃん」「009ノ1」「ロボット刑事」「ナイトアンドンデイ」…etc.とても書ききれんわ…。

 他に思い出せるものは…「狼少年ケン」「怪獣王子」「カムイ外伝」「モーレツア太郎」「おそ松くん」「怪獣ブースカ」「オバケのQ太郎」「パーマン」「忍者ハットリくん」「いなかっぺ大将」「巨人の星」「レインボーマン」「ガッチャマン」「怪物くん」「バロムワン」「新造人間キャシャーン」「少年探偵団」「天才バカボン」「ジャイアントロボ」「マジンガーZ」「タイムボカンシリーズ」「空手バカ一代」「柔道一直線」「悪魔くん」「おろち」「へび少女」「仮面の忍者赤影」…などなど。
けど…藤子ものはいまいち好きになれない…。

 永井豪…「ハレンチ学園」「キューティ・ハニー」「デビルマン」「ドロロン閻魔くん」「バイオレンスジャック」…。
漫画が悪書と言われた頃だ…。
 子供のアニメに頻繁にヌードやスケベな場面が出てくる画期的な作風だった。
今なら問題にもならないが…。
セーラームーンだって何だって最近の変身ものにはヌード付きものだもんね…。

 さらに…一連の名作シリーズ…世界の名作をアニメ化したもの…。
「ハイジ」とか「赤毛のアン」とか…ね。

外国のものは…「バットマン」「スパイダーマン」「スーパーマン」「ドボチョン一家」「シャザーン」…などがあったな…。

「ルパン三世」…最高だね。

「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「キャプテン・ハーロック」「クィーン・エメラルダス」…好きでした。
友だちにヤマトのでかいプラモ貰ったよ。

女の子のものは…ほとんど見てないので御免…わかんないや…。

 最近のものはみんな知ってるから…あまり書かないよ。
「アラレちゃん」「ドラゴンボール」「ドラゴンクエスト」…鳥山明大好きです。
今のものでは「ワンピース」が好きだな…。

他にもいろいろあるけれど…これくらいにしよう…。
きりがないもんね。

 doveの家では親父が当時の親としては珍しく漫画好きだったんで…好きなだけ見せて貰えた…。
オカンも漫画を見ていたわけじゃないけどアニメの主題歌を口ずさんでしまうくらいの人…。
誰も文句を言わない我が家はアニメ天国だった…。

この中にあなたが好きだった漫画があるかなぁ…?

懐かしい題名を思い出してみたけど…これだけ漫画見てたら…勉強できないのは当たり前だよね…。







 








運動神経ゼロ犬…(其の四 これ僕の…だよ!)

2007-02-16 17:48:17 | 運動神経ゼロ犬
 犬は散歩が好きだ…。
ちゃんと散歩の時間を覚えていて…その頃になると毎日のように…キュッキュッキュッキュッキュ~ッ…と鼻を鳴らす…。
そろそろ時間だぞ~っと請求するのだ…。
放っておこうものなら…ワォ~ンワォン…ワォーンワォン…と悲しげに鳴き始める…。

散歩の時間を心待ちにしているので…引き綱(リード)を手に取ると途端に…もう我慢できないってくらいに騒ぎ出す…。

じっとしとれ…。

動かれると引き綱を首輪(カラー)につけるのが大変…。

 ようよう付け終わると…躾けの悪い奴だけに待っているということをしない…。
勇んで先に出ようとする…。

 今でこそ一般家庭の犬も躾と訓練が必要になってきているが…その頃は訓練される犬と言えば警察犬か盲導犬だった…。
放し飼いにしている人も結構居た…。

 鼻黒は雨の嫌いな犬で…オカンが雨あがりに散歩へ連れて行った時など…前足が濡れるたびに人間のように手(前足)を振り…水気を掃いながら歩いていたそうだ…。
その様子が相当可笑しかったらしく…オカンは笑い転げた…。

 縄張りを示すために並木や植え込みにマーキングするのだが…このあたりの犬はみんな同じところを歩いているわけだから…野生の動物のようにここは俺の縄張りだ…と主張してもまったく意味を成さないように思える…。

 だって…同じ木に一日何匹の犬がマーキングすることか…。
すぐ後ろ歩いている犬だって同じとこでやってるぞ…。

 それでも…彼等にとってはそれなりに意味があるんだろう…。
また…誰かここでやりやがった…ここは俺んだよ…とでも思っているんだろうか…な…。

鼻黒の散歩は親父が居る時は親父が、他はその時々で家族の誰彼が連れて行った。

 散歩道の芝生の切れ目あたりに金属の杭をチェーンで繋げたものが設置してあって、小学生くらいにもなれば簡単に飛び越せるくらいの低い位置まで鎖が垂れていた。

 引き綱引いて…自分が飛び越した後で…勢いよく飛び越そうとした鼻黒…鎖に前足蹴躓いて顎からくしゃっと芝生にこけた…。
怪我はしなかったようだが…見ていたこっちが固まった…。

おまえ…本当に…犬か…?

まだ廊下を走っていた頃にこけたのは偶然じゃないことが判明した…。

鈍…。

足が短いせいなのかどうかは知らないが…運動神経かなり鈍い…。
犬でも居るんだねぇ…。

えっ…?
飼い主に似たって…?
う~ん…確かに小学校の時はそうだったなぁ…。
鈍くさかった…。

いいのよ…doveは人間だから…。

 本犬は別にショックでも何でもないようで、そのまますたすたと先へ進んだ…。
周りより一段高くなっている芝生の植えてあるところをぐるっと回ってきた後で、段差に腰かけて休憩した…。

 こちらが休憩している間、鼻黒はあっちを眺めこっちを眺めしていた。
と…何を思ったかいきなり近づいてきて…あろうことかdoveの背中にマーキング…。

うぉぉぉぉ~何してくれてんねん…!

飼い主なめとんのかぁ…!

鼻黒…顔を覗いてにっこにこ…。
これ…僕の…とでも言いたげにすりすり…。

ううぅ~怒るに怒れん…。

仕方がないのでそのまんま散歩を続行して…戻った…。

後にも先にも家族の中で鼻黒におしょんかけられたのはdoveひとり…。
泣くべきか…笑うべきか…。

それが問題だぁ~!!






続く…。

運動神経ゼロ犬…(其の三 末は番犬…こりゃあかんわ…。)

2007-02-15 15:45:00 | 運動神経ゼロ犬
 硫黄風呂の効果で皮膚病の治った鼻黒は、その後は病気に罹ることもなく元気に家の中を駆け回っていた。
元気なのはいいんだが…少々難あり…。
 四足なのに…何も障害物のないところでこける…。
それも顎から…コテンッと…。
勢いよく走ったというわけでもないのに…。
まだ小さいし…廊下だから滑ったんだろう…とその時は気にも留めなかった。

 お手…お座り…待て…伏せ…といったこと以外に犬の躾けなどという考えが世間一般に普及していない30何年も前のことだから…鼻黒が廊下で粗相すると…ここでしてはだめ…と叱るに止まる…。
時々…こちらが気付かないでいると全部食べてしまうのには閉口した…。

 わんこ式リサイクル…ではあるけれど…それだけは止めて欲しい…。
後々…口の周りがとんでもない状態に…。
そのままの顔で甘えてくるんだから…。

 そのうちに陽気も好くなってきたので…親父はどこからか持ってきた廃材を利用して小屋を作った。
玄関の横の通りに面したところを金属の柵で囲いをしてその中に犬小屋を置き…其処が鼻黒の新居となった…。

 鼻黒は愛想の良い犬で…隣近所のお母さんたちにも随分と可愛がって貰った。
その頃は隣近所との付き合いがずっと近しいものだったので…○○ちゃんに…と惣菜の残りや鰻の頭などを持ってきてくれたりした。
今ならたとえ犬用であっても残り物や廃棄物を他人さまに差し上げるわけにはいかないが…当時としてはあげる方も受ける方も頓着無し…みんなに可愛がって貰えて大変有り難いことだった…。

 御近所さんだけではない…。 
当時…家の周辺ではあちらこちらで工事をしていて、従事している人たちがうちの隣の空き地の廃材の置いてあるところに集まってよく弁当を食べていた。

 愛想を振りまいた結果…鼻黒は工事のおじさんたちからも弁当のおかずや御飯を貰っていたのだ…。
おじさんたちが其処で弁当を広げる日には与えた餌を残すことがあった…。

 柴系の犬は主人に忠実で…他人に愛想を振りまかないはず…なんだが…。
やっぱり…偽柴…だからだろうか…ねぇ…。

育て方…の問題…?
うん…それはあると思うよ…。
だって…  …だもんね…。
 
 そんなわけで…誰にでも愛想を振りまいてしまう鼻黒は…たとえ玄関の真ん前に繋いでおいたとしても…絶対…番犬にはなりえないのだった…。

 




続く…。

運動神経ゼロ犬…(其の二 甘えんぼ…。)

2007-02-14 16:40:00 | 運動神経ゼロ犬
 鼻黒はめちゃめちゃ甘えん坊だった…。
自分ではあまり餌を食べようとしないので、病気かと思ったオカンがペットショップのおばさんに電話したところ、呆れるような答えが返ってきた…。

 「抱っこして食べさせたって頂戴…。 いつもそうやっとったで…。 」

抱っこして…犬に…餌を…食べさせるぅ~…!
なんだそりゃぁ…?

 ペットショップでもあのおばさんにかなりべたべたに甘やかされていたらしく…超甘えっこになっていた。
そう言えば…他の子犬はあのベビーベッドみたいなケースの中で子犬同士固まっていたのに…こいつだけはおばさんが大事そうにずっと抱いていた…。

 オカンが試しに抱っこして餌を与えてみると…なるほど食べる食べる…。
面倒見が悪くて自分の子供でも抱っこして食べさせたことはないのに、ワンコ抱っこして食べさせなあかんとはねぇ…。
そう言って…オカンはケラケラ笑った…。

こいつ…生存競争には負けるな…。

 そう思った…。
鶏襲った野犬たちとは大違い…。
まさに、過保護犬だった…。

 しかし、そんな過保護犬でも、犬社会の序列は本能的に分かっているとみえて、自分は末の弟よりひとつ上の位だと勝手に決めたようだった…。
だから末の弟の前では偉そうにしていた。

 家族が寝る頃になると鼻黒は段ボールの小屋を出たがり…いつの間にか親父の蒲団で寝ることを覚え…親父と一緒に親父の枕をして寝るようになった…。
親父の枕は中国製の長めの枕で…一人前半くらいの大きさがあったから…ひとりと一匹が並んで寝るには窮屈ながらできないことではなかったが…。

犬が枕を使う…ということを目の当りにしたのは生まれて初めてだった。

ぐっすり寝ちゃってるけど…犬って…確か…夜行性じゃなかったかぁ…?
ぽんっぽんっ…くふっくふっ…妙な寝言つきで…。

 「○○ちゃん…偽柴…過保護犬…五千円…。 」

…ってなことを言いながら…親父は鼻黒をあやしては遊んでいた…。

 メロメロ状態…。
子供にはこんなデレデレした態度をとったことは一度もない…。
女子大小路の綺麗どころには…どうだったか知らんが…。

あかん…親父トロケとる…。

 そんな生活をして居れば…犬にとっていいわけがない…。
この犬種は番犬にもなる外飼いの犬であって…お座敷犬ではないのだ…。
何しろ…段ボールの小屋には毛布だけでなく電気行火まで装備…。

 しばらくすると…鼻黒の毛があちらこちら禿げだした。
腹がすっかり禿げると…犬の腹にもともと毛があるかないかで…親父オカン…。

心の声:(親父よ…オカンよ…漫画じゃないんだから…在るに決まってるだろ…。
漫画の犬や狸はわざと腹を白く描いてあるの…。)

 そのうちに…犬にへそがあるとかないとかで…。
親父は理屈屋で数学には強いが…どっか抜けているので犬が哺乳動物だってことを忘れている。
オカンも生物学的確信があって言っているわけではない…。
漫画などの犬の腹に×マークがついているからあるんじゃないかなぁと思っているだけ…だ。

心の声:(だからね…親父よ…オカンよ…見難いけどあるんだよ…犬にも…。
いや…そこのそれはおっぱい…いぼじゃねぇよ…。
オス…オスだってあるさ…人間と同じだよ…。)

 親が変人と言って憚らないdoveはまったく可愛くない小学生…。
勉強できないくせに要らんことだけは知っている…。
両親の頓珍漢な会話にひくひくと顔が引きつっていた…。

 腹の毛や臍の在り処はともかく…子犬の禿げをどうにかしないと…。
毛が抜けて象さんの子供みたいになってしまって痛々しい…。
ようよう…其処に辿り着いた親父は鼻黒を医者に連れて行った…。

蒸れて皮膚病に罹り毛が抜けた…らしく…鼻黒はしばらくの間…毎日ム○ウハ○プの硫黄風呂に入れらることになった…。

 首から上だけふさふさの毛の残った身体は珍妙…。
その格好で毎日…卵の腐ったような匂いのする犬用に準備した盥の温泉に浸かる。
シュ~シュ~と嫌そうな声…。

 硫黄臭い日々を過ごすうち…だんだんと毛はもとに戻った…。
鼻黒が全快する頃には…人間の方が匂いに慣れて風呂にム○ウハ○プを入れるようになっていた。







続く…。

運動神経ゼロ犬…(其の一 ひと目惚れ…。)

2007-02-13 16:42:42 | 運動神経ゼロ犬
 doveが最初に飼った犬は(恩師が教えてくれたところによると)三河柴。
鼻黒で足の短い小型犬だった。

 誰…飼い主そっくり…と笑ったのは…?
そうなのよ~短いのよ…。
  …は置いといて…。

 小学生高学年…普段ものを強請ることのない長子doveがいきなり毎晩…犬が欲しいとしつこく親父に迫るようになり…時には夜中に泣きを入れたりして親父を困惑させた…。
doveとしては意図して騒いでいるわけではなく…無性に犬が欲しかっただけなのだが…相当…喧しかったらしい…。

丁度…鶏が野犬に襲われて食われた後で…うちには人間の他に動物が居なかった。

 根負けした親父は…見に行くだけだぞ…と固く言い含め家族を引き連れてデパートのペットショップへと出かけた。
店には何匹もの子犬が居た…。

 ただし…この頃は犬種が少なくて…柴犬・秋田犬・甲斐犬・紀州犬など日本犬がほとんど…。
チンも…日本犬かなぁ…? 多分…そうだね…。

 洋犬は…スピッツ・プードル・マルチーズ…。 ダックスフント居たかなぁ…?
他には…居てもシェパードくらいだったと思う…。
とにかく今みたいに洋犬が簡単に手に入る時代じゃなかったから…。

 今のペットショップみたいに一匹ずつケースの中に居るわけじゃなくて…ベビーベッドみたいな囲いの中に幾匹もの子犬が押し合いへし合いしていた…。

どれも可愛い…ふっかふか…。

見ているだけで夢心地…。

欲しい…絶対…欲しい…。
けれど…見るだけだって親父が…。

チラッと親父の顔を見ると…なんとデレ~ッと子犬を見つめている…。

 しかも…ペットショップのおばちゃんの抱いている柴の子に釘付け…。
その眼は…欲しい…絶対…欲しい…と言っている…。

 「その子…幾ら…? 」

おばちゃんはにっこり笑って近づいてきた…。

 「えぇ子だよ…。 五千円…。 」

 抱っこされてタレタレになっている柴の子は鼻黒でめちゃ可愛かった…。
オカンも気に入ったみたいでにこにこしながら見ている…。

 「この子にしよか…? 」

おいおい…見るだけじゃなかったんかよ…?

 このどこぞのCMにあったような…成り行きに驚いたのは子供たちの方…。
訊く間もあらばこそ…親父はさっさと鼻黒を買ってしまった…。
まあ…目的は達したので訊かんでもどうということはなかったが…。

 親父のひと目惚れで決まった鼻黒は…タレタレのまま箱に入れられ…バスには乗れないかもしれないというので…タクシーで家まで運ばれた…。

 車酔いでタレタレがクタクタになりながらも…鼻黒は家族の一員として我が家に到着…。
めでたく居間の端っこに置かれた段ボールの小屋をあてがわれた。

犬が欲しいと騒いだのはdoveなんだが…鼻黒はなぜか…親父の愛犬になった…。  






続く…。

やめときゃいいのに…。

2007-02-12 16:22:00 | 簡単手抜き料理
 本日のお昼御飯…デカ稲荷。
ぎっくり腰なんだからやめときゃいいのに…ついつい貧乏性で作ってしまった…。
さすがに普通サイズだと数が多いため腰に来るのでデカ稲荷…。
これだとそんなに長いこと寿司飯を詰める時に立ってなくてもいいからね…。

 海鮮ものを別にすれば…doveは巻き寿司より稲荷寿司が好き。
揚げが好きだから…ってこともあるけど…甘辛く炊いた揚げと寿司飯の酸味がほど良く口の中で混じり合って…単純だけどなんとも美味しいんだよね…。


 子供の頃…法事があるといつもオカンが助六を作っていた…。
いろいろな種類の煮物を作ったうえに助六を作るのは大変な作業なんだけど…昔は安易に店で買ってくるということができなかったんだ…。

 経済的にも豊かではなかったし…そういうものは家庭で作るもんだという考え方も根強くあった…。
doveが小学生低学年の頃までは助六も煮物もオカンが作っていたが…助六は時代とともにだんだんに寿司屋から買うようになっていった…。

 当節では家で作ったものでは出し渋ったみたいでお客さんに悪いとか…奥さんたちが忙しくて大変だとかいった様々な事情で…外から仕出しを頼んだり…料理屋の席を予約したりする家庭が多くなった…。

 doveは子供の頃から自分ちだけでなく親類の葬式や法事で裏方をやって働いてきたけど…確かに大変…。

 客の出入りや読経の間合いを見計らってお茶や菓子を出したり…膳を整えたり…その合間に食器を洗って次に備えたり…後片付けをしたり…。
料理屋で席を設ければ裏方要らずで簡単…。
最近では親類も代替わりをして呼ばれる法事も減ったし…あっても家で饗応する方が珍しいくらいなので…doveもすごく楽になった。

 まだ…長老衆が健在で…何もかもうちで作っていた頃…オカンが珍しくキンピラだけ買ってきた…。
doveはまだ煮物を担当していなかったから高校を出たばかりか…大学へ入ったばかりか…。

いつものように芋の煮ころがしや蒟蒻の煮しめ…がんもどきの煮含めたもの…など精進料理を作って…助六は寿司屋に持って来て貰った。

 前にも話したが…オカンの煮物は…多々難有り…。
それでも…まあまあ…今回は何とか…それなりにましなものを作ってあった…。

宴席が終わりかけると…中でも最も年嵩の大伯母さまがみんなの前で大声でオカンに声をかけた。

 「○○ちゃん…美味しかったわぁ…。 味がええ塩梅で…。
助六も美味しいし…特に…このキンピラが一番美味しかったわぁ…。 」

オカン…思わず噴出した…。
無論…事情を知っている家族も…。

未だに我が家族の語り草になっている話だ…。

 その後1~2度…doveが煮物を担当して…doveが就職してからは実家でも仕出しを頼んだり…料理屋に席を設けるようになった…。


 お稲荷さんを作りながらそんなことを思い出した。
これだって…買ってしまえば楽なんだけど…いつもなら買ってしまうんだけど…。
何でだか自分でも分からないんだが…あれだこれだ…と…何かを急に作りたくなる時がある…。

 作りたくなると…作らなきゃいけないような気になって…作ってしまう…。
別に誰かが…そうしろ…と言うわけでもないのにね…。


あ~ぁ…やっぱ腰に来た…。
痛てぇなぁ…。





節減に…ちょっとだけ…協力…!

2007-02-11 17:13:16 | ひとりごと
 マイ・バスケット買っちゃいました。
今週から行きつけのスーパーでも売り出したようで早速…。

 レジ袋を貰わない方法として…買い物袋を利用する…というのが主流だったんですけれど…それだとdove家のようにまとめ買いがしにくくて袋がいくつも要るんです…。

 けれど…これなら大丈夫…。
買ったものを詰め替えなくていいし…安定しているので車の中で袋が転げる心配がない。
肉や魚など水分の出るものでも傾かないから安心…卵も落としたりぶつけたりしないで済む…。
容量も大きくてふたつ在れば一回分の買い物にぴったりのサイズ…。

そのまま部屋へ運んで…冷蔵庫や棚に商品を入れるだけ…。

逆に荷物を小分けしてないので少々…重いのだけが難点かな…。

昔オカンの使っていた買い物籠を思い出しました…。

これで…少しは節減の役に立つかなぁ…。


 それから…御蔭様で…dove-3&dove-3…なんとか滑り止め私立本命クリア致しました…。 
応援してくださった皆様…有難うございました…。
わざわざ天神さんにお参りしてくださった方までいらして…ともども感謝致しております。

後は公立だな…。




続・現世太極伝(第百十三話 17年目のラブレター )

2007-02-10 16:46:46 | 夢の中のお話 『続・現世太極伝』
 西沢の体内に宿る滅のエナジー…ノエルが太極から聞いた話によれば…西沢がこの世から消えても吾蘭や来人に引き継がれていくらしい…。

 つまり…西沢の血を引く者たちは皆…滅のエナジーの継承者になっていく…。
まるで…HISTORIANのプログラムや天爵ばばさまの魂のようではないか…と滝川は思った…。

何のために…?

 新しいプログラムが西沢の中に組み込まれた…からには今現在がどうのこうのよりは…ずっと未来を見越してのことだと考えられる…。

 滅びが不可避であるならば…別段…今から滅びの種を人間に植え付けておく必要は無く…太極が滅ぼすと決めたその一瞬で事足りる…。

 それなのにわざわざ西沢の中に…そして西沢の子孫に…引き継がせていくのは何故なのだろう…?

 「これは想像の域を越えないんだけれど…わざわざ紫苑の中にあえて必要のない滅のエナジーを組み込んだということは…太極は宗主に対して契約の証を見せたと考えていいんじゃないか…。 」

契約の…証…?

西沢は身体ごと滝川の方に向き直った…。

 「そう…。 能力者側は…実際にエナジーを取られるわけだから別に証も要らないわけだが…太極側が本当に沈黙しているのかどうかは…はっきりしない。

無論…今現在…こうして生きているわけだから…契約自体は守られていることは分かるが…滅びに対する不安を抱えたままでいることになる…。

紫苑の中のそいつが眠っていれば…何の問題もない状態…と考えても差し支えない…そういうことじゃないだろうか…? 」

僕の中の…魔物…。

 「尤も…そいつは巨大なエナジーの一部に過ぎない…。
けれど…エナジー全体と繋がっている…。
 そいつが時ならぬ時に目覚めるということは…エナジーにとっても容易ならざる事態が起こっているということ…。

 そうでなければ…おそらく…紫苑が日々穏やかに過ごして居られる間は…そいつの眠りも続くだろう…。
ある意味…紫苑自身の心が封印の鍵となっているのかもしれない…。

 だけど…そんなものを背負っていくのは…ひとりでは無理だ…。
これまでだって抱えきれないほどの荷物を抱えてきたのに…。

 だからね…紫苑…。
この世を転覆させるほどの怒りと恐怖が…紫苑の心に芽生えてこないように…僕はここに居る…。
ずっと…傍に居る…。 」

ふたりで…背負っていこう…。

滝川は言った…。

それが僕の役目だ…紫苑…。
遠慮は要らねぇよ…。

 それが…いつ頃からだったのか…西沢もはっきりとは覚えていない…。
おそらく…あのラブレター事件から少しばかり後…滝川は相庭から西沢のケアを引き継いだ…。
 誰にそうしろと言われたわけではない…。
西沢に近づくことを西沢家と相庭が認めたので…ごく自然に…そうなった…。

 実母の絵里が亡くなって二年ほどは相庭と玲人が西沢家に許される限り傍にいて…時折…闇に引き込まれそうになる西沢を護っていた…。

 小学校に上がる頃から西沢家の干渉が強くなり…相庭も仕事の時以外はほとんど西沢の傍にいることができなくなった…。
養父の羽根蒲団を持ち出して遊ぶことで幼い西沢はなんとか自分を支えていた…。

 思春期に入って英武の症状が俄かに激しくなり…あまりにも状況が悪化し始めると…相庭は再び西沢を護るために動き始めた…。
滝川が西沢に接近したのを幸いに…滝川にすべてを託すことにしたのだ…。

 家門の異なる滝川に曰くのある子供を任せることは…相庭にとっては大きな賭けだったが…滝川は予想以上の働きをしてくれた…。
他家の者であるがゆえに西沢の境遇を詳しくは知らされてなかったにも拘らず…。

 「紫苑ちゃん…じゃなくて…紫苑を愛してるから…この際はっきり言っとくぞ。
眼のことは忘れろ…。

 僕は逃げ出したりしない…。 絶対に…おまえをひとりにはさせない…。 
和が亡くなった後…長いことひとりにさせてしまったこと…後悔してるんだ…。
傷口広げたようなものだった…。

 紫苑はもう…いいおとなで…お父さんで…我がまま言えない…弱音は吐けないと思ってるだろうけど…そんなことは考えなくていい…。
 怖いものは怖いし…つらいものはつらい…。
紫苑の受けた傷を癒すには…紫苑自身が自分の心に正直にならなきゃ…。

 いつもいつも強くて優しい紫苑じゃ疲れるし…他人には温かくても自分が冷え込んでちゃ切ないだろ…。
他人のためには懸命に頑張るくせに…自分のこととなると…諦めてばかりで…。

 輝にしたって…おまえがもっとはっきりとした態度をとれば結婚してくれてたかもしれないし…ノエルだってこれから先…手放さずに済むんだぞ…。

 とにかく…こんなことくらい何でもないんだから…僕のことは気にするな…。
おまえをひとりにしないと決めた以上…そのために何が起ころうと覚悟はできてるんだ…。 」

滝川の勢いに気圧されたのか…西沢は瞬時沈黙した…。
何ともいえない…奇妙な間が空いた…。

 「おまえ…今…告ったろう…? 」

西沢が笑いを堪えながら言った…。

 「紫苑ちゃんじゃなく…紫苑が好きだって…? 」

其処じゃねぇよ…僕が言いたいのは…。

そう思いながらも滝川は否定しなかった…。
西沢にも十分…分かってるはずだから…。

 「恭介から17年ぶりに告られた…って話しても…今さら誰も驚きゃしないなぁ…。 」

まあ…そうだろうな…。
普段から…そういうキャラだし…。

…って…だから…其処じゃねぇっつうの…。

 「僕と一緒に…こいつを…背負ってくれる…恭介…? 
すげぇ重いよ…。 何しろ…地球一個くらい平気でぶっ壊しそうなやつなんだ…。
僕ひとりでは潰されそうだ…。 」

躊躇いがちに…西沢が言った…。

 滝川はほっと胸を撫で下ろした…。
ようよう…持ち直したな…。
 それも…今度は自分から頼ってきた…。
17年目のラブレターが効いたか…。

 「当たり前だろ…。 紫苑のためなら何でもしてやるよ…。
紫苑の喜ぶ顔を見るのが僕の幸せ…だからさ…。 」

 そうさ…紫苑…。
おまえは要らない子なんかじゃない…。
僕の大切な紫苑なんだぜ…。

不意に西沢の手が滝川の頬に触れた…。

 「恭介…必ず…必ず…もう一度…カメラを持たせてあげるよ…。
どんなことしてでも…きっと…治してあげるからね…。 」

声が震えていて…西沢が泣いているのが分かった…。

泣き虫…紫苑…。

胸が迫って…そう呟くのがやっとだった…。



 上がり框に足をかけた途端…キッチンの方から冷蔵庫を開ける音がした…。
間に合ったかしら…と輝は不安げな表情を浮かべた…。

 「恭介…昼の仕度しちゃった…? 」

風呂敷に包んだ大皿をテーブルに乗せながら輝は訊ねた…。

 「いいや…今…なに作ろうかと考えてたところ…。 」

滝川はそう言って輝の方に向き直った…。

 「良かった…。 お稲荷さん作ったのよ…。 」

風呂敷を解くと美味しそうな稲荷寿司の匂いが漂った…。

 「へぇ~いい香りだ…。 それじゃ…吸い物でもあればいいか…。 」

滝川は棚から干し椎茸と花麩を取り出した…。

 「いいわよ…恭介…私がやるから…。 」

椎茸を戻して居る間に、輝は冷蔵庫から三つ葉を取り出すとさっと洗って、二本ごとに手早く結んだ…。

 「ノエルが子供たちを動物園へ連れて行くって言ってたから…お弁当用に作ったんだけど…倫お祖母ちゃんもお弁当を作ったみたいでね…。
ノエルはお稲荷さんも持っていくって言ったんだけど…やっぱり食べきれないと思うから…。 」

ふうん…輝の方が引いたんだ…。
結構…気を使ってんだね…輝も…。

滝川はそう言って笑った。

 「違うわよ…向こうは…ほら…残っても食べる人がなくて困るじゃない…。
こっちには紫苑や恭介が居るから…。 」

残らず捌けるからいいのよ…と輝は言った。

 「スタジオの方は大丈夫なの…?
随分休んでるでしょ…? 」

 そう…もうどのくらいになるか分からないくらい…。
普段の仕事は…スタッフの松村と武井に任せてあるが…滝川の名前を必要とする仕事は他の者にはできない…。

 一応…病気療養中ということで注文は受けないで貰っているが…あまり長く続けば…当然…お得意さんを失うことになる…。

 「滝川恭介も…終わりかな…。 案外短かったな…。 」

滝川は自嘲するように笑った…。
いいんだ…別に…。 後悔なんかしてないし…。

ただ…。

 「紫苑だけは…見えると嬉しいんだけどなぁ…。
それだけが…寂しいよ…。 」

あんたってば本当に救いようがないわね…。
輝は肩を竦めた…。

 「紫苑が根負けするわけだわ…。 」

忙しなく手を動かしながら輝が言った。
決して皮肉を言ったわけではなかったが…滝川はさも可笑しそうにクスクスと笑った…。



 思い詰めたような顔をして…松村が現われたのはその日の午後だった…。
そわそわして落ち着かない松村の態度に…スタジオで何か問題が起きたのかと…滝川は思った。

 「実は…西沢先生にお願いがあって来たんです…。 」

松村は滝川に…ではなく西沢に向かって話し始めた。

 「もう一度…滝川先生のモデルを引き受けて貰えないでしょうか…? 」

突然の申し出に…西沢も…滝川も面食らった。

 「松ちゃん…僕のモデルって…僕は今…撮れないよ…? 」

怪訝そうに滝川は訊ねた…。
分かっています…と松村は頷いた…。

 「でも…先生は完全に見えないわけじゃなくて…ぼんやりとは分かるんでしょ?
僕等スタッフ全員で…考えたんです…。
 先生の考えたイメージで…僕等が被写体をセットする…。
それを撮って貰うのはどうだろうか…って…。 」

無理だ…と滝川は思った…。
セットはできるだろうが…微妙な動きや表情の一瞬の変化を捉えることができない…と。

 「勿論…すぐにはできませんが…僕と先生とで二人三脚…合わせる訓練してみようと思うんです…。

被写体までの距離や照明の具合…あらゆる条件を実際に撮影しながら調整していって…武井にデーターを取って貰いながら…本番に備える…。

…だめでしょうか…? 」

 到底…無理だ…無理だが…もし…治らないのなら…これは松村にスタジオを引き継がせるいいチャンスかも知れない…。
滝川はそう考えた…。

 「条件がある…。 松ちゃんも同時に撮れよ…。 
僕に合わせるのではなくて…松ちゃん自身の写真を…。
それなら…OKするよ…。 」

滝川はそう言うとちらっと西沢の方を見た…。

 「僕は…それで構いませんが…西沢先生は…? 」

滝川の思惑に気付かない松村は懇願するような眼で西沢を見つめた…。

 「分かった…受けるよ…。 だけど…時間が欲しい…。 
僕はもう…簡単にモデルって言える齢じゃないんだ…。

 どんなイメージで撮るにせよ…できるだけ…身体作っとかないと被写体としては没…。
惨めな姿曝して…恭介にあまり恥かかせたくないからね…。 」

 松村の顔が輝いた…。
西沢に何度も礼を言いながら…スタジオのスタッフたちと至急日程を組むから…とあわてて帰って行った…。

 滝川が引退を考えていることに西沢は気付いていた…。
けれど…もしかしたら…これがきっかけで解決に繋がる何かが掴めるかも知れない…と西沢は思った…。

凶と出るか…吉と出るか…西沢の静かな戦いが始まった…。






次回へ

四季が消える…?

2007-02-09 12:32:00 | ひとりごと
 夕べから降っていた雨が上がった…。
ここのところ二月とは思えないくらい温かい日が続いている…。
受験生にとってはラッキーだけど…この暖冬は素直には喜べない…。

四季のない日本なんて…なんか不気味じゃない…?

 去年の春は雨が多くて、桜もすぐに散ってしまった。
春の陽射しのないままに梅雨に突入…。
ほんと…季節がはっきりしない…。

 スキー場も北国の雪祭りも雪不足で大変だと聞く…。
家電を扱う店も売上が低迷…。
鍋物なんかを扱う店にも影響が出ているんじゃないだろうか…。

 そういえば…この頃…雪だるまを見ていないな…。
このあたりは雪の少ないところではあるけれど、それでもdoveの子供の頃には雪合戦をしたり、雪だるまを作れるくらいには降った…。

 この冬の雪は積もるところまでいってなくて…チラチラッと舞うくらいで終わっている…。
過ごし易いけれど…後が怖い…。
いろんなところで思ってもみないような弊害が起きそうだから…。

これもみんな温暖化のせいなのかなぁ…。

 このままいったら完全に日本から四季がなくなるね…。
四季折々なんて言葉は…そのうち死語になっちゃうかも…。

 古くから日本に根付いているあらゆる文化が影響を受けるだろうね…。
日本の文化は四季と共にあるから…。

 文化をだけじゃないよな…。
自然環境の変化はあらゆる生命に危機を及ぼすだろう…。

これは…日本だけの問題じゃないんだけど…日本も考えなきゃいけない問題だ…。

科学者たちはすでに警告を発している…。

でも…最優先課題にしている国は…ほとんどないんだよね…。
他の事が忙しくて…他の事にお金がかかって…。

そうこうしているうちに…どうしようもなくなっちゃうのかもね…。

その日が来るのは…そんなに遠い未来ではないと思うよ…。