徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

運動神経ゼロ犬…(其の三 末は番犬…こりゃあかんわ…。)

2007-02-15 15:45:00 | 運動神経ゼロ犬
 硫黄風呂の効果で皮膚病の治った鼻黒は、その後は病気に罹ることもなく元気に家の中を駆け回っていた。
元気なのはいいんだが…少々難あり…。
 四足なのに…何も障害物のないところでこける…。
それも顎から…コテンッと…。
勢いよく走ったというわけでもないのに…。
まだ小さいし…廊下だから滑ったんだろう…とその時は気にも留めなかった。

 お手…お座り…待て…伏せ…といったこと以外に犬の躾けなどという考えが世間一般に普及していない30何年も前のことだから…鼻黒が廊下で粗相すると…ここでしてはだめ…と叱るに止まる…。
時々…こちらが気付かないでいると全部食べてしまうのには閉口した…。

 わんこ式リサイクル…ではあるけれど…それだけは止めて欲しい…。
後々…口の周りがとんでもない状態に…。
そのままの顔で甘えてくるんだから…。

 そのうちに陽気も好くなってきたので…親父はどこからか持ってきた廃材を利用して小屋を作った。
玄関の横の通りに面したところを金属の柵で囲いをしてその中に犬小屋を置き…其処が鼻黒の新居となった…。

 鼻黒は愛想の良い犬で…隣近所のお母さんたちにも随分と可愛がって貰った。
その頃は隣近所との付き合いがずっと近しいものだったので…○○ちゃんに…と惣菜の残りや鰻の頭などを持ってきてくれたりした。
今ならたとえ犬用であっても残り物や廃棄物を他人さまに差し上げるわけにはいかないが…当時としてはあげる方も受ける方も頓着無し…みんなに可愛がって貰えて大変有り難いことだった…。

 御近所さんだけではない…。 
当時…家の周辺ではあちらこちらで工事をしていて、従事している人たちがうちの隣の空き地の廃材の置いてあるところに集まってよく弁当を食べていた。

 愛想を振りまいた結果…鼻黒は工事のおじさんたちからも弁当のおかずや御飯を貰っていたのだ…。
おじさんたちが其処で弁当を広げる日には与えた餌を残すことがあった…。

 柴系の犬は主人に忠実で…他人に愛想を振りまかないはず…なんだが…。
やっぱり…偽柴…だからだろうか…ねぇ…。

育て方…の問題…?
うん…それはあると思うよ…。
だって…  …だもんね…。
 
 そんなわけで…誰にでも愛想を振りまいてしまう鼻黒は…たとえ玄関の真ん前に繋いでおいたとしても…絶対…番犬にはなりえないのだった…。

 




続く…。