徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

運動神経ゼロ犬…(其の五 …よわっ!)

2007-02-18 17:02:00 | 運動神経ゼロ犬
 鼻黒の小屋を家の横の小さな庭…庭と言っても隣の土地との間に僅かにあいた三角の土地だったが…其処に移した。
普段、親父の車を入れている場所で、車が戻ってくると鼻黒は上手いこと小屋の中に逃げて、親父が車から降りてくるのを待っていた。

 運動神経は鈍くても嗅覚や聴覚は良いらしく、まだ車の見えない状態でも親父が帰ってくることが分かるらしい。
鼻黒がきゅ~きゅ~鳴き始めてしばらくすると必ず車が入ってきた。

 裏の通りを通ってくるので姿は絶対に見えない。
それなのに車が到着する前に必ず鳴き出すのだった…。

 雨が嫌いで前足を振って歩いた鼻黒だが…実はもうひとつ前足を振ってしまうものがあった。

 それは…イモムシ…。
三角の土地には少しだけ植物を植えていたが…どうやらその隣が空き地だったせいもあって草が多く…イモムシや毛虫がよく出てきた。

 それも太さ2cmくらいのデカイモムシ…黄緑色のまあまあ綺麗なもこもこちゃんである。
イモムシが庭をもこもこ歩いてくると…鼻黒は動物の習性として追っかける。
追っかけるのはいいのだが…どうにも気味が悪いらしく…ウ~ウ~唸ってぴょんと飛びつくわりにはなかなか触れようとしない…。

 やっと決心したか…前足でペンッと叩いてみるが…ダメージを与えられない…。
イモムシは平気でそのままもこもこ歩いて行く…。
ところが叩いた方の鼻黒は…あまりの気味悪さに前足をブルブルッと振るのだ。

 今度は噛み付いてみる…。
けど…歯をたてる気にはならないらしく…これもイモムシは平気…。
鼻黒の方がいかにも嫌そうに顔をブルブルッと震わせるのである…。

 結局…最後には逃げられてしまった…。
イモムシ相手に毎度こんなことを繰り返す…気弱犬だった。


 そう言えばまだ木の小屋が出来上がっていなくって…段ボールの小屋で過ごしていた頃…こんなことがあった。

 或る日…オカンがdoveを呼んだ…。
近所に物凄いデブ猫が居るのだが…これが干してあった鼻黒の大事な段ボール箱を占領してすっぽり嵌り込んでしまっているという。

 行ってみると確かに…デブ猫が箱の中で満杯になっていた。
周りで鼻黒はわんわん吼えてはいるのだが…一向に相手にされていない…。
デブ猫は堂々と箱に収まりこんでいる…。

 やれやれ…犬が猫にバカにされてどうするんじゃ…。
オカンも…このでか過ぎる猫は怖いらしく近づかない…。

 doveが近づいてもこの猫は動こうともしない…。
のんびりしたもんだ…。
仕方がないので、段ボール箱をひっくり返した…。

ほら…出てけ…この箱はおまえんじゃないよ…。

箱をひっくり返されて…猫は渋々ゆっくりと立ち去っていった…。
堂々としたもんだ…。

鼻黒はその間中吼えていたが…弱い犬ほど…ってまんまだなぁ…と思った。
その頃はまだ子犬だったけど…。

 小屋ができて…鼻黒が成犬と言っていいくらいの大きさになった頃…オカンがまたdoveを呼んだ…。

あの猫が…再び小屋を占領したのだ…。
鼻黒は必死で唸り吼えているが…何処吹く風…。

よわっ!

 今度はひっくり返すわけには行かないので…箒かなんかでよいしょと引きずり出した…。
デブ猫はまた堂々とゆっくり歩いて去って行った…。

 その後…老いてボケた野良犬にも小屋を乗っ取られたことがある…。
野良犬の方が逆切れして吼えていたが…。

 たんびに…オカンがdoveを呼ぶ…。
わしゃ…犬のレスキュー隊か…?

しかし…鼻黒よ…。
おまえもオスなら少しは自分で何とかせいや…。

何を言っても意に介さず…にこにこすりすり…超甘えっ子な犬だった…。
 






続く…。