徒然なるままに…なんてね。

思いつくまま、気の向くままの備忘録。
ほとんど…小説…だったりも…します。

其の十「ボウリング事始め」…親父と歩いた日々

2007-05-01 17:46:00 | 親父
 隣町の繁華街に簡易ボウリング場ができたのは…doveが小学生の頃だったと記憶している…。
当時はテレビでも頻繁にボウリングの試合が中継され、人気女性プロボウラーが活躍していた…。

 新しいもん好きの親父は、早速、家族を引き連れてボウリング場に出かけた。
勿論…本人はすでに何度も遊びに行っている…。
何かが流行りだすと、すぐにお勉強に行きたくなり、考える前に手を出すのが、親父の行動の常だった…。

 ボウリング場…とは言っても、そこは繁華街のビルの何階かに作られた簡易なもので、最近のボウリング場のように設備が整ったスマートなものではなかった。
何しろ…飲み屋街の表通りに面したビル…べろべろに酔っぱらった金のない系のおっさんたちが飲み屋のお姉ちゃんを連れて余興に出る…くらいの規模…。

 悪く言えば…的当てゲームのボウリング・バージョン…。
同じ頃に他の町にできたボウリング場とは比べものにならない設備だった。
ゲーム料金も…当時としては他よりも100円くらい安かったような気がする…。

 今時は何もかもコンピュータ任せで、遊ぶ方はボールを投げるだけでいいのだが、その頃はスコアも自分たちで記入しなければならないので、いちいち計算しながらのゲーム…それはそれで面倒ながらものんびりとして面白かったように思う…。

 そこまでは…このボウリング場も他と何ら変わりないのだが…料金が安いのにはそれなりにわけがある…。
このボウリング場のピンは…なんと…ひも付き…。
客が倒したピンは、しばらくするとひもで上の方に引っ張りあげられ、ゆっくり下へ降ろされる。

 常時10本のピンで済む、極めて安上がりな仕組みになっていたのだ。
ピンの位置の正確性にはかけるが…ここで国際試合があるわけではない…。
安いから文句を言う者も居なかったのだろう…。

 しかし…いくら安くても迫力に欠ける…。
なんと言っても…ダサイ!
女の子連れてこんなところへ来たら…ふられること間違いなし…!
飲み屋の綺麗なお姉ちゃんたちも…どうせなら金ある系のおっさんと…もっと豪華な遊びがしたかろう…!

 周りに新しい設備の整ったボウリング場がいくつもできると、このボウリング場はあっという間に消えてしまった…。
親父も家族を連れて行ったのが最後で…すぐに新しいボウリング場の方に鞍替えした…。
料金の違いなんて考えるような男じゃなかったから…そりゃぁ…面白い方を選ぶに決まっている…。

 ボウリングには…結構…長いことはまっていたが…またまた…楽しげな玩具を見つけるとやめてしまった…。
とことん遊ぶが…切り替えは早い…。
親父は…いつでも…新しいものを追っかけていた…。    

 あの辺りに住んでいる人たちも…おそらくはもう…覚えてないだろう…。
ひもでつったピンのある…小さなボウリング場のことを…。