岐阜県の美濃と飛騨の境に当たる所に七宗町がある。ここは私が大学を出て初めて赴任した思いでの場所だった。 そこを離れて岐阜の方に戻っていっても 結婚しても年に何度か訪れていた場所だったけれど その頃にお世話になったおばさんの訃報 それをきっかけに訪れることも無くなってしまった。
今思うと若気の至りという言葉で言い訳するしかないような悔やまれることもたくさんあって 申し訳なかったり いたたまれなかったり そんな思いが懐かしくて大好きな場所というよりも 重くなってきた。 自分が子育てをするようになってよけいにその思いが強くなったのかも知れない。
神淵にはいつも名前の出る山が三つあった。 水晶山 天王山 納古山 そして納古山は ネット上のレポートでも良く聞く名前だった。「言ってみようかなっ」って思ったのはピーちゃんが行きたいって言ったのがきっかけ。
2月の16日に決行を決めて 亭主も誘った。 そうして構えていたけれど ピーちゃんは急に仕事が決まっていけなくなった。 豊橋のオモニを誘った。彼女も忙しい人だけれど 快諾してくれた。
そんないきさつで 16日に行ってきた。前の日に雪が降ったらしく雪景色。 ふつうに歩ける程度だったけれど この冬はきららの森で雪を見ただけで 全然お目に掛かってないので嬉しい。
思ったより速い時間で登れる山だった. 登り切っても尾根にしか付けなくて ぴーくに着くたびにがっかりするような ちょっとだまされたような気がする山だったけれど 面白かった。
頂上の展望は半端じゃない。360度見渡せる。 御岳もぽっかりと天空に浮かんでいて もう少し晴れていると乗鞍や槍まで見えるとか
白山も見える。 伊吹も鈴鹿の山々も 飛騨川の蛇行が日の光を受けてきらっと見えるし 木曽川も・・
この間縦走した継鹿尾さん方面も見える。
恵那山も・・・
なんだか不思議 地球の一点に腰掛けて 下界を見下ろしているような錯覚を起こす。 なんている素敵な場所なんだろう?
すっかりお気に入りの山になってしまったのだけれど・・・そしてまた来ようと思ったのだけれど
頂上までたどり着くのに 一人で乗り越えるのが どうしても怖いところがあった。
きのうピーちゃんにおやすみがとれたからどこか山に行きたい と言われたとき 凄く迷った。 あそこ登れるだろうか?
でも気づいたら メールしていた「納古山いこっ!」あ~ぁ 嫌ではないんだよ。只不安だった。でも もう一度挑戦して やり直したいと言う気もあった。 それに巨木好きのピーちゃんに 神淵神社の大杉を見せてやりたかった。
さて 昨日は二つの課題を課してみた。一つは岩登り
前に ネット仲間の宮さんに 頂上近くのフィックスロープは 厳しいものがあり非力な女性には無理かも・・・と書かれていた。 私は非力な女性だったらしくて 亭主にぎゅうぎゅう押し上げてもらってやっと登った。 今度はもう少し落ち着いてやってみよう。
最初の岩場は 岩のクッションを積み重ねたような岩場だったので 、階段の様にゆっくり登っていけば何とか着いた。高さはあるけれど これは前にもクリアできた場所。
途中で岩のテラスの様になっていて そこからのぞいた山々にお~ぉ!と叫んだ。
問題は次のピークを急下りして鞍部から登る岩場。ロープが二本ぶら下がっているけれど 左に集中していて 私の使いたい岩の出っ張りからはちょっと遠い。
仕方ないので今回はこの二本を使って左の斜めのくぼみに足を乗せて膝も使ってロープをひっぱった。 あらら 足がつりそう。もう少しなのに・・・ ピーちゃんに少し押してもらう。何とか一足先に進む。 後は岩の出っ張りに手をかけて三点確保でゆっくり登る。 断層の歪曲した岩なのでその後は斜めに足をかけて上がっていくけれどつるつるの岩では無いので 何とかなる。 やはり問題は 最初の一歩。
少しだけ力を借りて 今回も登り切ったけれど まだまだ一人ではダメだった。 帰りは初心者コースだな。 もっともっとこの岩の位置とか足の効果的な運び具合が解るようになったら 下りにこのコース使ってみる。しばらくは 登り専門。
さてもう一つの課題。 この山の中腹に塩の道とよばれる古道がある。 古道を通って飛騨の方まで塩を運んでいたらしい と聞いてどうしても歩いてみたかった。分岐は中級コース最後の水場を登った所の途中にある。案内は無い。意外と広い踏み後にそれだと確信していただけ。 歩いてみたい。
案内が無いと言うことは通れないのだろうか? 途中ですれ違ったおじさんは幸い地元の人だった。 「塩の道 倒木があって歩きにくいよ。 一度木を切ってあるけるようにしないといけないのだけれど。」 「跨げますか? くぐれますか?」
「3年ほど前の事だから・・・今は歩く人もあんまりいないし・・・」と少々歯切れが悪い。
初心者コースは 大下りで まっすぐ下に転がっていくような道なので 膝が痛くなる。 武儀郡神淵村と加茂郡七宗町境界の碑を過ぎて暫くすると それらしい 道があった。私の考えでいくと この道を行けば中級コースにぶつかるはず。
「ダメだったら戻れば良いね」
全体としては 道は分かったものの時々迷う。あるはずが無い左への踏み後が二度 倒木に行く手を塞がれることの数回。(でもこれは跨いでしのげた)谷の上に出るはずと思っても谷を何度も下に見ても 思っている谷にはなかなか出ない。 多分そんなに時間は経っていないのに 気は焦る。 考えてみれば林道歩きを20-30分して元にもどるのだからそう簡単にたどり着くはずは無い。
それに悪いことに もどると言う勇気はなかなかでない。ついもう少し もう少しって思ってしまう。今回は幸いなことに どうしようかと思っているうちにいきなり中級コースの下りの看板に出会った。
かくして 週二度納古山を訪れることが出来て そのたびに気になっていたことが解決できて 気分良い山歩きになった。
もう少し 同じコースを歩いて 弱いところを極めないとね。
それにしても塩の道 観光マップにも乗っている。 どうして歴史的に意味のある道を大事にしないのだろう? 手入れの行き届いた道にする必要は無いけれど せめて案内があったらな! と初心者二人は そう思ってしまったのでした。