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自律神経失調症の漢方治療 ⑤

2007-01-23 12:31:28 | うんちく・小ネタ

柴胡疏肝散(さいこそがんさん) ストレス性肝気鬱結の治療

ストレスは万病の源です。「生きることはストレスを積み重ねる」と断言しても過言ではないでしょう。中国漢方医学では何千年にも渡ってストレスが生命体に与える影響を研究してきました。「したいことが出来ない」「やりたくないことをしなくてはならない」「見たくないものを見なくてはならない」「言いたくないことを言わなくてはならない」、、例を挙げればきりがありません。

中国漢方の世界には郁症(鬱症 うつしょう)という概念があります。西洋医学でいう鬱病(うつびょう)も含む広い概念です。

   郁症(うつしょう)とは?

郁証は精神的なストレスが原因となり、気の流れが悪くなることによる憂鬱(ゆううつ)、精神不安定、胸肋脹痛(わき腹の痛み)、或いは、怒り易い泣き易いなどの情緒不安定、及び咽喉に異物が詰まるように感じる梅核気(ばいかくき)、不眠などの各種の複雑な症状を呈する病症です。

   西洋医学の病名との関係

 ノイローゼ、神経衰弱症、ヒステリー、更年期症候群などの治療には、郁症の治療が役に立ちます。

    中国医学の考え方

生体が精神的なストレスを受けると、特に心、脾、肝に影響が現れます。このうち特に郁症と関係するのは肝気の流れの停滞です。これを気郁(きうつ)あるいは肝気郁結(がんきうっけつ)といいます。気郁からの病理産物として火 痰 湿 食滞 淤血が生じ、それぞれ郁症の病型(タイプ)を形成すると中国医学は考えます。

    肝気鬱結(がんきうっけつ)の症状と治療

気分がさえない、うつ傾向がある、情緒が不安定である、溜め息がよく出る、遊赱性の固定しない痛みがわき腹にある(病院で検査をしても痛みの原因がわからない)、上腹部の、痞えたような不快感がある、げっぷがよく出る、腹が脹る、食欲が減退している、時々吐き気や嘔吐をする、すっきりとした排便感が無い(病院で検査しても原因が不明である)、生理不順があるなどの症状があります。消化器内科、婦人科を受診して、血液検査、胃カメラ、ホルモン検査などをして、自律神経失調症という診断をうけることが多いようです。舌苔は薄膩、脈は弦であることが多いのですが、西洋医学の病院では舌や脈に注意を払うことはありません。

    肝気鬱結の症状に対する中国医学の考え方

この部分は将来漢方医を目指す方へ紹介する専門的な分野ですので、一般の患者さんには難解です。一部ご紹介します。

「情志失調、肝失条達のため、精神抑鬱、情緒不安をみる。厥陰肝経が少腹を経し、胃を挟んで胸肋に分布するため、肝気鬱滞、気機不暢、気滞血淤、肝絡失和により、腹脹、胸悶、肋痛、生理不順をみる。肝気犯胃、胃失和降のため、腹部悶、げっぷ、食欲不振、嘔吐をみる。肝気乗脾のため、腹脹、大便異常をみる。舌苔が薄膩、脈が弦は肝胃不和の証候である。」 一般人には難解です。

    

    柴胡疏肝散(さいこそがんさん)明代 景岳全書

柴胡 香附子 芎  陳皮 白芍 炙甘草 が組成です。

ブルーは涼薬、グリーンは平薬 赤は温薬です。

効能は疏肝解郁(そがんかいうつ)といい、郁滞した肝気の流れを良くする方剤です。

四逆散(しぎゃくさん)(柴胡 枳実 白芍 炙甘草)から発展した方剤です。肝気の流れを良くする四逆散の枳実を同様の作用をもつ枳壳 に変えています。四逆散には芍薬甘草湯の白芍と炙甘草の組合わせも含まれています。平滑筋の緊張収縮に伴う痛みを除く作用があります。柴胡、枳殻、香附子で疏肝行気解郁に働き、川、芍薬、甘草で活血化止痛の効能が増強されます。郁金(うこん)、青皮を加え、解郁の強化を行うことも可能です。ゲップがひどい場合には旋覆花(せんぷくか) 代赭石(たいしゃせき)を加えると効果的です。

柴胡(さいこ)は肝陰を損なうと考える学派が中国には存在します。この学派を柴胡傷陰派といいますが、白芍(酸味がある)と炙甘草(甘味がある)の組み合わせは酸甘化陰(さんかんかいん)といい肝陰を補うとする考えがあり、柴胡の傷陰を間接的に防止していると説く漢方医が存在します。

香附子(こうぶし)は婦人科の要薬(ようやく)とされ、理気作用にすぐれ各種の生理痛などに有効な生薬です。

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柴胡(さいこ)(和解退熱 疏肝解郁 昇挙陽気)

胆肝 三焦 心包が帰経。中国では掌握了柴胡走遍天下(柴胡を使いこなせれば天下をとる名医となれる)の言葉がある。疏肝理気作用は南柴胡(軟柴胡)春柴胡が優れ、解熱退熱作用は北柴胡、(秋柴胡)が優れる。日本人に馴染み深い方剤では逍遥散(しょうようさん)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、小柴胡湯(しょうさいことう)などに処方されている。

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2007_123_008

香附子(こうぶし)(疏肝理気解郁 調経止痛)

肝 三焦に作用。中国では肝気鬱結 婦人科の要薬とされ、平静なので長期投与が可能であり、理気薬でありながら「血分」にも入いることが出来るとみなされ、重用されている。

    続く、、