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サリドマイドによる癌治療・・ですかぁ

2006-09-16 11:21:23 | うんちく・小ネタ

ふむふむ・・・サリドマイドって確かに一般的なイメージとして良いものじゃないですものねぇ。先入観が可能性を押しつぶしてしまう・・・

偏ったものの見方は時として人を不幸にしてしまいますね。

いやぁ~勉強になりますよ、これは。人としての生き方にも繋がります。

ん~いつの間にやら漢方講座が人生講座に・・・。

今日は何やら「考える人」になっております。

秋ですねぇ・・・(って何よ??(笑))

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時代がかわれば役割も変わる

活性酸素でがん細胞をやっつけられないか?続編 サリドマイドとの併用

前回フリーラジカルそのものでがん細胞をやっつけられないか?

という試みにおける青蒿(せいこう)というキク科ヨモギ属の漢方薬草についてお話をしました。

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[中医臨床のための中薬学(神戸中医学研究会 編著)より]

青蒿から抽出されるマラリア治療薬のアーテスネイトは分子の中に鉄イオンと反応してフリーラジカルを産生する性質を持っているので、細胞内に鉄イオンを多く含むがん細胞をフリーラジカルでやっつける可能性が高いとお話しました。経口、あるいは経静脈的に鉄剤を投与して癌細胞内の鉄の量を増やしておくと抗がん効果があがります。幸いにも正常細胞は鉄イオンをあまり含んでいませんので正常細胞の障害は少なくてすむわけです。

昔はマラリアの特効薬、現代では癌治療薬として時代が変われば役割も変わる」例です。

今回は「昔は悪者、今は救世主」と、ちと誇大表現ですが「サリドマイド」についてお話したいと思います。

サリドマイドは、ドイツ(西独)のグリュネンタール社が開発した催眠剤です。胃腸薬としてもサリドマイド製剤は販売されました。後に妊娠初期の妊婦が服用することによって胎児に独特の奇形(アザラシ症)が生じることがわかり、日本では1962年に販売が中止されました。しかし、回収が徹底していなかったため、その後も被害者が生まれました。これが有名なサリドマイド事件です。

昔はまさに「薬害を代表する悪者」でありました。ところが近年になって、サリドマイドに抗がん性があることが判明してきました。いくつかのがん治療臨床試験では、催奇形の防止として、患者は男女ともそれぞれ避妊対策が施されることになっています。サリドマイドの奇形性の発症メカニズムの研究により、胎児の奇形は新生血管の発生阻止によりもたらされるとの動物実験の結果が報告されています。

その催奇形性をがん治療に逆利用するというところに近年のサリドマイドの見直しがあります。また、サリドマイドにはがん患者の悪液質を改善するという報告もあります。

サリドマイドのような血管新生阻害剤を使用すると癌組織は低酸素状態になるため、癌組織(暴力団)の生き残り戦術として、血管新生を促進しようとします。ここで面白い現象が現れます。血管新生を促進しようと癌組織がもがけばもがくほど、低酸素状態のがん細胞にさらに鉄が蓄積されやすくなります。このメカニズムについての詳細は省略しますが、癌細胞内に鉄イオンが蓄積された状態を誘導してやり、そこに、鉄イオンと反応して活性酸素を放出する青蒿の抽出成分であるアーテスネイトを投与すれば、がん細胞内にフリーラジカルが多量に出現してがん細胞が殺傷されるという筋書きです。

 理論(筋書き)は実証されて始めて正確な理論として認められます。実験は大方の場合、人知の予想を裏切る結果を示します。現在、多くの臨床試験や実験が行われている最中です。「筋書き」が「正当な治療法」に昇格できるかどうか?

サリドマイドの試練は当分続くことでしょう。