三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

トリオ TS-530V の手入れ(3)

2024-07-02 21:31:45 | 日記
トリオの無線機TS-530Vの特性を調べていたら,いつの間にか送信が正常にできなくなっていることに気づきました。
さっそく無線機テスターで調べたところ,高周波出力が周期的(?)に大きく変動しています。1秒程度の周期でしゃくっているような感じです。発振しているような気もします。無線機の前面パネルのメータでは高電圧(B電圧)が低下しているようです。

ということで,まずは電源を調べます。
ケースを外して中身を見るとこんな感じです。

上の写真で,赤の長方形で囲まれた部分がプリント基板上に組み立てられた電源回路です。平滑用コンデンサはその左下の赤丸で囲まれた部分です。また,緑の長方形で囲まれた部分は電源変圧器です。以上の3者が電源回路の立役者です。

B電圧が低下している原因として整流ダイオードの故障が考えられます。しかし,ブリッジを構成する4つのダイオードはどれもみな健全なようでした。
では波形を見てみましょう。

驚きました。大きく脈動しています。ピーク値は400Vほどありますが,落ち込んだときは200V程度になっています。これはもう平滑用コンデンサの容量抜けでしょう。交換するしかありません。しかし,500V,100μFという高電圧大容量のコンデンサは手に入れるのが容易ではありません。真空管全盛の時代では比較的容易でしたが,半導体の低電圧回路が主流になった現在では高電圧部品はなかなか手に入らないのです。もちろん,価格も含めての話です。
一晩寝て頭を冷やします。

そうそう,古い無線機の電源回路に使っていない電解コンデンサがありました。思い出しました。「使っていないコンデンサが実装されている」というのは奇異な感じがしましょうが,回路変更に伴って不要になったのです。取り外すのも面倒なのでそのままにしておいたものです。

ということで,移植するドナーが見つかったのでまずはTS-530Vの件のコンデンサを外さなければなりません。シャシの上から見るとこんな感じです。

コンデンサは赤丸で囲んでいます。また,電源変圧器は緑の長方形で囲んでいます。外すのは容易です。
コンデンサを単体にして抵抗を測ってみました。

何と!180kΩに低下しています。これはもうコンデンサとは言えませんね。
コンデンサを交換した後のB電圧波形です。

約400Vの直流です。
送信機能も正常に戻りました。

ところで,B電圧という用語について一言。
真空管を使ったラジオなどの回路では大きく3種類の電圧電源が必要でした。そして,それぞれをA電源,B電源,C電源と名付けたそうです。
A電源: 真空管のヒーター用電源(一般に6V程度の低い電圧)
B電源: 真空管の陽極などに印加する電圧(一般に数百Vの高い電圧)
C電源: 真空管の制御格子などに印加する偏倚(パイアス)電圧(負電圧)
真空管を使った回路ではB電圧に要注意です。触ったら大変です。
以上

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