電気・電子技術者・学生がタイトルの式を見たらこれは並列接続された抵抗の合成抵抗を求める式だとピンと来たのではないでしょうか?あるいは直列接続されたコンデンサの合成容量を求める式と言ってもいいでしょう。
この簡単な式でも加算・乗算・除算の3つの演算が必要です。最も簡単な加減乗除しかできない電卓では結構大変です。まして,計算尺ではかなり困難な気がします。
しかし,計算尺でも加減算ができます。ただ,あまり適していないだけです。上の式の加算 x + y はつぎのように変形して計算します。
x + y = ( x/y + 1 ) y
つまり,除算して1を加え,さらに乗算を施せばいいわけです。ただしここで +1 は暗算で行います。
すると,タイトルに提示した式はつぎのようになります。
z = xy / ( x+y ) = xy / (x/y + 1 ) y = x / ( x/y + 1 )
しかし,この式どおりに計算することはできません。どうしても分母の方を先に計算しなければならないからです。(分母の計算結果をメモしておくのなら話は別です。)
この場合,逆数を使えば簡単に解決します。つまり,
z = 1 / { (x/y + 1 ) / x }
とします。逆数は計算尺にとっては簡単なことです。下の写真をご覧ください。
これは 14 / 8 = 1.75 を計算したところです。楕円のところが 14 / 8 であり,右側の矢印の先に答えの 1.75 が出ています。ところが,このとき左の矢印のところにその逆数つまり 8 / 14 = 0.571 が出ています。つまり,この計算の場合,答えの逆数が同時に求まるのです。
さて,以上のことを踏まえて例題をやってみましょう。
1.5 kΩ と 2.2kΩ の抵抗を並列に接続したら合成抵抗は幾らになるか?
R = 2.2 // 1.5 = 2.2 × 1.5 / ( 2.2 + 1.5 ) = 2.2 × 1.5 / { (2.2 / 1.5 + 1 ) × 1.5 }
= 2.2 / ( 2.2 / 1.5 + 1 ) } = 1 / { ( 2.2 / 1.5 + 1 ) / 2.2 }
を計算します。
まず,2.2 / 1.5 を計算します。下の写真です。
楕円のところが 2.2 / 1.5 で,矢印のところに答えの 1.466 が出ています。
これに1を暗算で加えて 2.466 を 2.2 で割ります。つぎの写真です。
左の矢印に商( 2.466 / 2.2 )が出ています。また,右の矢印にその逆数が出ています。
左側を拡大しましょう。
1.12 と読めるでしょうか?
右側の矢印部分を拡大します。
1.12 の逆数 0.892 と出ているのがお判りいただけるでしょうか?そうです,答えは 0.892kΩ です。
この計算は分母が x - y でもできます。
なお,この記事を書くきっかけとなった加減算の計算方法に関してはインターネットの「計算尺秘密基地」の記事を参考にしました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
いやー,計算尺は面白い。
以上
この簡単な式でも加算・乗算・除算の3つの演算が必要です。最も簡単な加減乗除しかできない電卓では結構大変です。まして,計算尺ではかなり困難な気がします。
しかし,計算尺でも加減算ができます。ただ,あまり適していないだけです。上の式の加算 x + y はつぎのように変形して計算します。
x + y = ( x/y + 1 ) y
つまり,除算して1を加え,さらに乗算を施せばいいわけです。ただしここで +1 は暗算で行います。
すると,タイトルに提示した式はつぎのようになります。
z = xy / ( x+y ) = xy / (x/y + 1 ) y = x / ( x/y + 1 )
しかし,この式どおりに計算することはできません。どうしても分母の方を先に計算しなければならないからです。(分母の計算結果をメモしておくのなら話は別です。)
この場合,逆数を使えば簡単に解決します。つまり,
z = 1 / { (x/y + 1 ) / x }
とします。逆数は計算尺にとっては簡単なことです。下の写真をご覧ください。
これは 14 / 8 = 1.75 を計算したところです。楕円のところが 14 / 8 であり,右側の矢印の先に答えの 1.75 が出ています。ところが,このとき左の矢印のところにその逆数つまり 8 / 14 = 0.571 が出ています。つまり,この計算の場合,答えの逆数が同時に求まるのです。
さて,以上のことを踏まえて例題をやってみましょう。
1.5 kΩ と 2.2kΩ の抵抗を並列に接続したら合成抵抗は幾らになるか?
R = 2.2 // 1.5 = 2.2 × 1.5 / ( 2.2 + 1.5 ) = 2.2 × 1.5 / { (2.2 / 1.5 + 1 ) × 1.5 }
= 2.2 / ( 2.2 / 1.5 + 1 ) } = 1 / { ( 2.2 / 1.5 + 1 ) / 2.2 }
を計算します。
まず,2.2 / 1.5 を計算します。下の写真です。
楕円のところが 2.2 / 1.5 で,矢印のところに答えの 1.466 が出ています。
これに1を暗算で加えて 2.466 を 2.2 で割ります。つぎの写真です。
左の矢印に商( 2.466 / 2.2 )が出ています。また,右の矢印にその逆数が出ています。
左側を拡大しましょう。
1.12 と読めるでしょうか?
右側の矢印部分を拡大します。
1.12 の逆数 0.892 と出ているのがお判りいただけるでしょうか?そうです,答えは 0.892kΩ です。
この計算は分母が x - y でもできます。
なお,この記事を書くきっかけとなった加減算の計算方法に関してはインターネットの「計算尺秘密基地」の記事を参考にしました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
いやー,計算尺は面白い。
以上