三昧日記

小心者川筋男の後悔日誌

丸型振子時計修理譚

2022-02-05 08:33:36 | 日記
またまた時計修理の話です。
先日知人から時計の修理を頼まれました。症状は「すぐ止まる」というこ
とでした。
丸形の振子式掛け時計です。

前面の風防は上に持ち上げるタイプです。珍しいですね。
文字盤には SEIKOSHA と表示されています。精工舎ですね。終戦前かどう
かは不明ですが,古いものに違いありません。と言うのは,私見ですが,
精工舎はその後精工と呼ぶようになり,アルファベッド表記も SEIKOSHA
から SEIKO に変わりました。これは1960年代前半のことではなかったかで
しょうか?

さて,件の時計,確かにすぐに止まります。
文字盤を外して内部を見ました。

この状態で振り子をつけて動かしながら内部の動きを観察します。――なか
なか原因がわかりません。
ほとんどあきらめかけた時,振子と歯車とを連結する部分のガタツキが気に
なりました。

上の写真の一番上の歯車と一番下の振子とを連動させるための湾曲した真鍮
棒がおわかり頂けるでしょうか?その部分をつぶさに見ると,はんだ付けが
不完全になっていることがわかりました。どうも素人がはんだ付けしたよう
で,いわゆる「いもづけ」状態です。
取り外してはんだ付けしなおすことに。(取り外し方がわかりませんでした
が,試行錯誤で強引にはずしたものです。)
この部分は鉄と真鍮の接続部です。鉄をはんだ付けするのは難しい。
まず,超音波の沐浴です。これではんだ付けの大敵である油・酸化物・その
他の不純物を徹底的に取り除きました。

洗浄機は眼鏡のレンズを洗う超音波洗浄機です。
大型半田鏝で施術。何とかうまくつきました。

もとに戻すとバッチリ!止まることはなくなりました。
要所要所に注油して修理完了。
以上