勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

珍客

2008-08-06 01:38:36 | Weblog
 昼頃、突然空がくもり大粒の雨が落ちはじめた。遠くから雷鳴が響いてくる。そのとき、ベランダから鳥の鳴き声。見ると椿の枝に美しい一羽のインコ。
 そっとカメラを構える。シャッターの音と同時にフラッシュが光る。しかし驚いた様子もなく、平然と毛づくろいをしている。

 しばしの毛づくろいが終ると羽を広げ、開け放した窓から部屋に飛び込んできた。少しも怖がる様子はない。

 部屋の隅々まで探険をしながら、鏡の前で不思議そうに自分の姿を見つめている。

 やがて僕のそばに来ると、人懐っこい顔で僕を見上げた。手を出すとうれしそうに手のひらに乗ってくる。腕を渡り肩に乗るとチー・チー・チューン、と鳴いた。可愛い仕草に心が和む。外に出る気配は全くない。僕がキッチンに行けば、暖簾をくぐって飛び込んできて肩に止まる。

 お腹を空かしているようだ。茹でたとうもろこしをテーブルに置くと、美味しそうに食べはじめた。よほどお腹を空かしていたのだろう、食べては僕の肩に飛んでくる、そして遊んではまた食べる。可愛さが増してくる。

 人馴れしたインコ、どこかで飼われていたのに、迷子になったのか?仕事に行く時間が過ぎてしまった。しばし遊ばせたら外に放してやろうと思っていた。数時間一緒に遊んでいるうちに、飼い主のところに帰れなかったら生きて行けるだろうか、と思うようになった。あまりの可愛さに、本当は別れたくなかったのだ。

 部屋の窓を閉め、電気を消して仕事に行った。暑くないようにと、一箇所だけ出窓を開け、レースのカーテンを閉めた。仕事から急いで帰って部屋の電気をつけるが、何の気配もない。部屋中を探すがどこにも見当たらない。逃げて行ってしまったのだろうか。

 がっかりしていると、どこからか羽ばたく音。見上げると、シャンデリアの上ですましている。ホッとすると同時に、さてこれからどうしようかと考える。